喜劇 "夫"売ります!!
劇場公開日:1968年11月9日
解説
岸宏子の「ある開化」(墨水書房刊)を劇化した花登筐の「喜劇・売らいでか!」を「昭和のいのち」の池上金男と「喜劇 競馬必勝法 一発勝負」の瀬川昌治が脚本を執筆し、瀬川昌治が監督した喜劇。撮影は「不良番長」の山沢義一。
1968年製作/92分/日本
配給:東映
劇場公開日:1968年11月9日
ストーリー
神代家は、伊賀上野市きっての富豪であるとともに、由緒ある格式を誇っていた。だが、神代家の当主里子は、男運に恵まれず、過去二回も夫に先だたれていた。彼女は、外聞をはばかって三度目の結婚を諦めていたが、淋しさをぬぐいきれず、気分の優れぬ日々を送っていた。神代産業の副支配人石上弘は、里子の病気を男欲しさの欲求不満とみてとり、神代産業の運転手山内を使って、早速その解消にあたらせた。弘には野心があったのだ。里子にホテルをつくらせ、その支配人になり、事務員のきく子と結婚することだった。弘の計画は予定通りに進行し、里子は山内と夜を過すようになってから、仕事に積極的な意欲をみせはじめた。ところが、山内の妻なつ枝は、高価な香水の匂いをつけて帰る山内に怒り、どうせ稼ぎの悪い夫と見きりをつけ里子に売りつけた。値段は五十万円。男狂いの発覚を恐れる里子は、自分の誇りを買うつもりで金を払うのだった。この頃ホテル事業に反対の石上支配人は、弘と山内の計略を里子に告げた。だが里子は、動ずるどころか、山内をホテルの支配人に任命し、いよいよ事業への熱意をみせた。あてがはずれたのは石上と弘。特に弘は、計画の総てが挫折、挙句にきく子にも逃げられる始末だった。五十万円の現金を得たなつ枝は、それを元手に組紐作業場を増築、会社を設立して社長に就任した。一方、里子の方は建設中のホテルに不穏な中傷が流れ、工事は暗礁に乗りあげてしまった。エロホテル絶対反対の町民運動が起り、銀行の融資も断わられ神代産業は創立以来の危機に立たされた。不渡り寸前の手形支払は、社員一丸の努力で、あと五十万円というところにこぎつけた。ちょうどその頃、山内は弟松雄が、なつ枝に亭主買い戻しを懇願していた。なつ枝は、父のない子供の寂しそうな様子をみるにつけ亭主の買い戻しの決意をした。なつ枝から五十万円を受けとった里子は、手形を落すと建設中のホテルを電鉄会社に売り、胸をなでおろすのだった。