青い性(1964)
劇場公開日:1964年8月22日
解説
石坂洋次郎の「金の糸銀の糸」を「どろ犬」の池田一朗が脚色「十七才の狼」の井上芳夫が監督した青春もの。撮影もコンビの中川芳久。
1964年製作/88分/日本
原題または英題:Green Fruit
配給:大映
劇場公開日:1964年8月22日
ストーリー
冬の長い北国の城下町。高校三年生の柿崎加奈子は、太陽の輝く夏には、すばらしいことが起りそうな予感をもっていた。ところが、今年の夏は、大変な事件から始った。加奈子の姉民子の婚約者で、インターンの坂本一雄が突然家出したのだ。坂本の行方を案じた加奈子は、彼の親友矢口を訪ねたが、原因は判らなかった。数日後、柿崎家に泥酔した坂本が訪れ、家族の前で婚約の解消を宣言した。思いあまった民子は、県立病院に坂本を訪れ、理由を糺した。ようやく落着いた坂本は、母文子が父亡き後、阿部医師と結んだ不倫を知り、痛飲したあげく、看護婦の秋子を犯したことを話した。一雄を愛する民子は、彼の心を救うため、一緒に温泉旅行に行くことにした。宿屋の一夜は民子にとって、坂本の崩れた心を鞭うつと共に、一雄との新しい生活への心構えとしていた。帰って来た民子は、羞恥と迷いの心を、妹の加奈子の無邪気さでまぎらわしていた。九月になって、阿部医師の情事が明るみに出た。文子未亡人の他に、看護婦とも関係があったというのだ。やがて、坂本医院も阿部の追放で明るさをとり戻した。加奈子は姉と坂本が、今こそ結ばれる時と、再び温泉行を提案した。坂本と民子は再びお互いの愛を確めた。帰って来た民子から「理性ではなく、もっと素朴な生き物が燃えあがった」と聞かされ、加奈子は、青春の鼓動を覚えた。それから二日後、一雄と民子の結婚式が行われた。今年の夏は、やはり素晴しい実を結んでくれた。帰り途、加奈子は、胸をふるわせて、矢口の口づけを受けた。