赤い犯行
劇場公開日:1964年5月17日
解説
吉岡道夫のオリジナル・シナリオを「めす犬の賭」の若松孝二が監督した風俗ドラマ。撮影もコンビの伊東英男。
1964年製作/91分/日本
劇場公開日:1964年5月17日
ストーリー
セールスマン水島が得意先の土屋家を訪れたとき、由布子が同居している義弟、敏夫に挑まれているのを目撃、由布子を救った。検事である由布子の夫募は、夫への義理立てのために偽証した妻を信じ、水島を傷害暴行罪で告訴した。嵐の夜、護送車から脱走した水島は許婚者明美のアパートを訪ねるが、明美は、無実を信じないばかりか、警察に密告した。傷心の水島は逃亡を企てたが由布子への復讐も考えた。忍び込んで来た怒りに満ちた水島を見て由布子は驚いた。謝まって済む問題ではない。由布子は水島と共にその逃避行に加わらざるを得なかった。そのとき、勤務中の敏夫が立ち寄った。口論するうち水島は誤まって敏夫を殺害してしまった。由布子の心に変化が起った。夫や義弟と違う、素朴な体臭と善良さを水島の中に認めた。死体を車のトランクに入れ、二人は東京を後にした。神奈川県の海岸で乗り棄てられた車から発見された死体、帰って来ぬ妻、募は刑事を動員して水島を狂気の如く追いはじめた。二人は恐怖と絶望に固く結ばれていった。ある火山口の近くにある宿で、幾日目かの朝を迎えた水島は、一人そっと宿を発った。由布子にこれ以上の迷惑はかけたくないと思ったからだ。そのとき、刑事と募の捜査の手がのびた。水島は--火口を目指して黙々と歩きつづけていた。そして火口に身を投げた。声を限りに泣き叫ぶ由布子の姿があった。