雪の降る街に

劇場公開日:

解説

「犯行現場」の阿部桂一のオリジナル・シナリオを新人村野鐵太郎が第一回目に監督したメロドラマ。撮影も新人山本修右。

1962年製作/120分/日本
配給:大映
劇場公開日:1962年4月4日

ストーリー

雪に閉された秋田の町にある日大事件が持ち上った。東京クラウンズのエース辺見が現われたからだ。妹のスキーのおつき合いという振れこみだが、町の人々はその裏に超高校級と噂されている小森信夫投手の偵察という目的が隠されていると信じこんでいた。信夫は全く学校の英雄だった。その腕には二千五百万円という契約金がかかっていた。彼の家は、大きな造り酒屋で、成績も良い信夫は女子学生のアイドル的存在だった。ある日、辺見兄妹が、信夫の家に酒造りの見学にやって来た。信夫はその時以来、久美子のことで頭が一杯になってしまった。だが、久美子は信夫の兄一郎に惹かれるものを感じた。一郎は二年前、スキー選手として活躍したが、競技中転倒して骨折以来、陰うつな男となっていた。信夫は久美子をスキーに誘ったり、一郎の大事なこけしを贈ったりして一生懸命だった。その信夫の調子が突然狂ったように乱れ出した。一郎の冷えきった心を何とか暖めたいという久美子の願いに、二人の心が急速に近づいていったことを信夫が知ったからだ。信夫の苦しみは、一郎が久美子に教えるのだといってスキーを持ち出した日に頂点に達した。兄のストックを折ってしまった信夫は、その足でスキー場へ出かけ、久美子に一郎が来ないと告げると、折から発せられた暴風雪警報を無視して、山を奥へ奥へと進んで行った。久美子からこのことを聞いた一郎は信夫を追った。夕方になって一郎は雪に埋れて眠る信夫を発見した。嵐の中を、信夫を肩に一郎は歩きつづけた。数時間後、救助隊は信夫に自分のアノラックを着せ、シャツ一枚で倒れている一郎を発見した。信夫は助かったが一郎は凍死していた。久美子は一郎の思い出を胸に秘めて、東京へ帰るのだった。

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