君恋し(1962)
劇場公開日:1962年2月3日
解説
時雨音羽の原作を「街に気球があがる時」の岡田達門と池みちるが共同で脚色。「白い雲と少女」の森永健次郎が監督した歌謡メロドラマ。撮影は「カミナリお転婆娘」の藤岡粂信。
1962年製作/68分/日本
配給:日活
劇場公開日:1962年2月3日
ストーリー
銀座裏のバー、シャトウは連夜客でいっぱいだ。常連の客の眼をひくのは、どことなく清楚な感じのする津村明美である。彼女は田舎の病院で看護婦をしていたが、そこで知り合った宮坂裕之を追って上京して来たのだ。彼女は叔母のバーで仕事がみつかるまで働いているのだが--。名刺を頼りに裕之を訪れた明美が彼の母親から聞いたのは、すでに裕之には婚約者があるという言葉だった。叔母の心配もよそに、明美は酒を飲まずにいられなかった。毎夜泥酔する彼女に、叔母の澄子は田舎へ帰ることをすすめるのだが、明美は承知しなかった。一方裕之は、明美への愛と、婚約者由美子の家への義理との板ばさみになり悩んだが、すでに裕之の心は由美子との関係に堪えられないほど彼女から遠く離れていた。再会した明美と裕之の二人は誤解もとけ、裕之は明美のことを打ち明けようと由美子を訪れたが、病身の由美子にどうしても言い出す勇気がなかった。由美子の誕生日、裕之の訪れを待つ彼女のもとに裕之は現れなかった。心乱れた由美子は、深夜の道を裕之の家へと車をとばした。交通事故。由美子は死んだ。彼女の死に責任を感ずる明美。由美子の死によって裕之の心を永久に失ってしまった……と、ぼんやり考えこむ明美の耳には、「君恋し」の哀愁に満ちた調べが流れてくるのだった。