翔べイカロスの翼
劇場公開日:1980年1月26日
解説
無難な人生の軌道に乗ることに背を向け、サーカスの世界に飛び込んで花形ピエロになりながら、超満員の観衆の前で綱渡り中に落下して死んだひとりの若者を描く。“ピエロのクリちゃん”の愛称で親しまれたキグレサーカスの栗山徹の短い生涯を記録した草鹿宏の同名のノンフィクションの映画化で脚本は「人間の証明 Proof of the Man」の松山善三、監督は「わが青春のとき」の森川時久、撮影は中尾駿一郎がそれぞれ担当。
1980年製作/112分/日本
配給:映画センター
劇場公開日:1980年1月26日
ストーリー
昭和四七年、カメラマン志望のひとりの若者がサーカスの写真を撮りたくて、キグレサーカスを訪れた。その青年、栗山徹は巨大なテント、ジンタの響き、命をかけた曲芸、緊張、拍手、歓声、そして、サーカスで生き生きと働く人々に魅せられ、無難な人生に背を向け自分もサーカスの世界に生きていくことを決意する。そこに働く人々を撮り続け、生活をともにしていくうち、笑いの原点“ピエロ”を志願した。サーカスに造詣の深い三木のり平、パントマイムのヨネヤマママコの教えを受け、メイクも自分で工夫し、訓練を重ね、次々と難しい芸を覚え、晴れ舞台に踏み出していく。“ピエロのクリちゃん”が誕生、多くの子供たちや大人たちに愛される。その魅力が広がり始めたとき、悲しい事故が起った。昭和五二年十一月、クリちやんが興行中の高綱渡りの最中に落下して亡くなった。青春のすべてをピエロに賭けた若者、栗山徹二十八歳、もう“ピエロのクリちゃん”の姿は二度と見ることができなくなった。