姿三四郎(1977)
劇場公開日:1977年10月29日
解説
明治十五年から二十年、怒涛のように押し寄せた西洋文化の前に、みるみる衰退していった日本の柔術。その中で、日本人の心を失わなかった一握りの人々が、やがて新しい「柔道」を完成させていく姿を描く。脚本は「世界名作童話 白鳥の王子」の隆巴、監督は「青葉繁れる」の岡本喜八、撮影は「八甲田山」の木村大作がそれぞれ担当。
1977年製作/143分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1977年10月29日
ストーリー
姿三四郎は会津の生まれで、父も母もすでにない。かなりのあばれん坊で、柔術だけはめっぼう強い。ふとしたきっかけで鎮台兵相手に大立ちまわりを演じてしまった彼は、先輩の安吉とともに故郷を去り、東京へとむかう。時は明治十五年。東京は文明開化にわいていた。三四郎は、俥挽きをしながら柔術の師を探しもとめる。三四郎が門馬三郎の道場に入門をもとめた日、門馬と弟子たちは矢野正五郎に闇討ちをしかけた。大学を卒業し、理論的な柔道の確立をめざす正五郎は、多くの柔術家の反感をかっていた。門馬と弟子たちをまたたくまに投げとばす正五郎を見て、三四郎はその場で彼の弟子になる。正五郎によって技をみがかれた三四郎は、みるまに上達した。とくに、彼の得意技“山嵐”にかけては並ぶものがないほどになった。正五郎のひきいる講道館柔道は、警視庁の武道師範の座をかけて、良侈心当流の村井半助と闘うことになる。この試合の対戦相手に選ばれた三四郎は、村井の娘、乙美と知り合い、胸をときめかせる。父の勝利を祈る乙美は、三四郎を父の相手とは知らず好意を寄せる。三四郎は全力を尽くして村井を倒した。村井は、その時受けた打撲が原因で他界する。村井の弟子であり、乙美の許婚者と自認していた桧垣源之助は、三四郎に決闘を申し入れた。優れた柔術家として名高い飯沼恒民の立ち合いのもとに、二人は右京ガ原で相対した。死闘の末、源之助を倒した三四郎は講道館を去り、修業の旅に出る。その三四郎を源之助の二人の弟、鉄心と源三郎がつけまわす。二人は空手の達人であった。そして他にも三四郎をつけまわす柔術家は多かった。日本の軍閥化を恐れる子爵南小路光康の娘、高子はふとした事故がもとで知り合った三四郎に恋心を抱く。しかし、三四郎には初恋の人乙美がいる。乙美はお仙の経営する牛肉屋に勤めながら、三四郎をいつまでも待っていた。こうした中で、三四郎は柔術をみにつけようと必死に修業を続ける。そして、彼の行く先には鉄心、源三郎との対決が待っていた。鍛えられた三四郎ではあったが、野獣と化した二人の前では身がひきしまる思いであった。