霧の夜の戦慄(1947)

劇場公開日:

解説

「第七のヴェール」「灰色の男」のジェームズ・メイソンが主演す映画で、「第七のヴェール」「情炎の島」と同じくシドニー・ボックス作品であるが、主演者メイスンも共同の製作者である。原作はジョン・P・モナハンのオリジナル・ストーリーで、原作者とメイスン夫人であり女優であり女流作家であるパメラ・ケリノが協力して脚色し、「間諜M1号」のローレンス・ハンチントンが監督し、「第七のヴェール」のレジナルド・ワイヤーが撮影した。音楽はバーナード・スティーヴンスの作曲である。メイスンと共にパメラ・ケリノと「青の恐怖」のロサムンド・ジョンが主演し、新顔の少女俳優アン・ステーヴンスをはじめ、モーランド・グラハム、ブレフニ・オルーク、其他が助演している。

1947年製作/イギリス
原題または英題:The Upturned Glass
劇場公開日:1947年4月

ストーリー

ロンドンのある大学で、一講師が週一回の講義をしている。講義は犯罪心理学で、社会的地位もある精神正常者の殺人心理を説き、その例として人物はすべて仮名であると断って、次の話をしたのである。外科医マイケル・ジョイスは、脳外科専門で三つの病院をカケ持ちする多忙の身で、その手術の巧さは定評がある。しかし結婚生活は失敗で、妻とは別居生活をしており、妻が離婚を承知しないという不自由、不自然の環境におかれている。ある日失明しかけた十二歳位の娘をつれた母親が診察を乞いに来た。空襲の時の負傷の手術が拙く、視神経網が異物で機能を障害されているのだった。手術で視力は回復するが、放置すれば徐々に失明し盲者となる。母親のエマ・ライトは夫の地質学者が海外で研究中で数カ月は帰国しないといい、独断で手術を依頼する。手術は成功したが、視力回復の結果が完全になるまでには数週間またねばならぬ。その数週間エマとマイケルは毎日会った。二人とも音楽に趣味があり、共に演奏会へ行きあるいはマイケルの自宅でピアノを弾いた。二人は愛し合う仲となった。娘のアンは全快して退院し、ロンドンからポーツマス街道を数マイル離れた田舎にあるライト邸へ帰った。アンの退院後も二人は時々会ったが、エマの夫も近々帰国するというので、二人は永久に別れようと決心し会わないでいた。所が夫の帰国を前に、エマは二階の寝室から落ちて惨死した。マイケルは審問廷を傍聴した。事以は午後六時で、死者の義妹ケイト・ハワードがその日訪問していたが、六時前に帰ったという証言があった。所がアンの証言の時、ケイトが何か合図するとアンはその指図通りに、肯定あるいは否定しているのをマイケルは知った。途中でマイケルはロンドンへもどり、審問の際聞いたホテルにハワード夫人を訪ねた。彼女は未亡人で、マイケルとの交際を喜び間もなく彼に想を寄せた様子である。マイケルはケイトを観察し、アンと直接会って話をし、売りに出ているライト邸を検分して、エマはケイトに与えられた精神的苦痛の余り、一時的に逆上して墜落したことが判る。ケイトは手を下さずともエマの死を誘発した責任を負うべきだ。マイケルはケイトを誘ってライト邸に赴き、同じように墜死させ、当局は自殺と認定した。--講師は話を終ると、車をチェルシー河岸に走らせて停めた。話の中の夫人が来て車に乗り、話の中の邸へ行った。そして講師は夫人の首をしめ窓から落したが、自殺と見せることに失敗したので、海に捨てる計画で死体を車に乗せて走ると濃霧となり、一医師に同乗を求められ、その医師に重傷患者の立会診断をこわれた。彼は診断ばかりか応急手術までしてやった。医師は女の死体が車中にあることを知り、彼は立派な外科医の手腕を持っているが、精神は平常でなくパラノイアだと宣言した。彼は再び車を走らせて断がいの上に来た。夜明けであった。貴方は気狂いだわと連呼する女の叫びが聞えて来る。彼は断がいから逆さまに身を投げた。

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