ベトナムの少女

劇場公開日:

解説

同時に輸入された「若い兵士」と同様、フランス支配者と闘うベトナム人民の姿を描いた作品。北ベトナムでは、一九五九年にハノイに映画学校を創設、この「ベトナムの少女」は第一回卒業生の卒業製作として作られた、記念すべき作品である。実話に基いてドキュメンタル・タッチで撮った作風は、若い北ベトナム映画人の感覚を理解するのに好材料となろう。

1961年製作/北ベトナム
原題または英題:Con Chin Vanh Khuyen
配給:共同映画
劇場公開日:1966年10月18日

ストーリー

ベトナム人民がフランス支配者と闘っていた一九五〇年のころ。南ベトナムの自然はまるで戦争の暗い影など感じられないほど、平和で静かな明るい太陽に輝いていた。少女ガー(ト・ウェン)は、きょうも野や林を走りまわり、なわとびで遊び、渡し場の船頭の父(ト・ブー)に甘えていた。青々と広がる大空に凧のうなる音が響いている。ガーはもっと高く揚げようと思って、父に叱られた。その凧は、ベトミンの人たちに、安全を知らせる合図だった。その凧をべトミン狩りのゲリラ、フランス軍人と部下が物陰に隠れていてじっとみつめていた。その頃、ガーと父親は河向うから叫ぶ女の声を聞いた。声の主はヒィン姉さんだった。ヒィン姉さんは父親の止めるのもきかず、祖国の独立のために危険なべトミンの工作員となっていた。そしてヒィン姉さんは幼いガーの気持を強く捉え、今ではガーの理想の女性となっていた。ヒィン姉さんからの連絡は、「明日幹部が四人くるから用心して渡して下さい」という重大な仕事だった。翌朝、ガーはあやしげな一隊が渡し場に行くのを見た。彼女は彼等の捨てたタバコのすいがらを拾い、フランス軍人だとさとった。凧はあがっている。そしてその時はもはや、幹部が船にのる寸前だった。ガーは夢中で渡し場へ走った。そして大声で「敵がいるよ!きてはだめよ」と必死で向う岸へ叫んだ。その時、フランス人の狙った一弾が幼い彼女の体を貫いた。父親の血の吐くような叫び。ガーは水ぎわに倒れた。渚の水にゆっくりと血の波紋が広がった。ガーは最後の力をふりしぼって上着のポケットからみそさざいをとりだし、空に放してやった。小鳥は、祖国のために幼い命を捧げたガーの願いをこめて、自由な大空に羽ばたいていった。

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