寝台の秘密
劇場公開日:1955年7月21日
解説
寝台にまつわる四つのエピソードを集めたオムニバス映画一九五四年作品。第一話《宿泊許可書》は、「上級生の寝室」のアンリ・ドコアンが監督したものでモーリス・オーベルジュとジャック・ファノが脚本を担当した。撮影は「女優ナナ(1955)」のクリスチャン・マトラである。「バルテルミーの大虐殺」のジャンヌ・モローと「豪族の砦」のリチャード・トッドが主演する。第二話《離婚》は「O・K・ネロ」(製作)のニッコロ・テオドリの脚本から「わたしの罪ではない」のジャンニ・フランチョリーニが監督したもので、撮影は「われら女性」のエンツォ・セラフィンである。主演は「パンと恋と夢」のヴィットリオ・デ・シーカと「月蒼くして」のドーン・アダムス。第三話《リヴィエラ急行トラック》は「女性の敵」と同じくラルフ・アビブが監督し、フランソワーズ・アルヌールが主演するもので、脚本はジャック・ファノ、台辞は「バルテルミーの大虐殺」のポール・アンドレオータ、撮影は「永遠の争い」のアンリ・ビュレルの担当。「裁きは終わりぬ」のマルセル・ムールージが共演する。第四話《ポンパドゥルの寝台》は、「愛の迷路」と同様ローラン・ローダンバック、ジャン・ドラノワ合作の脚本からジャン・ドラノワが監督に当ったもの。ローダンバックとアントワーヌ・ブロンダンが台詞を書いた。撮影は第一話と同じくクリスチャン・マトラである。主演は「女優ナナ(1955)」のマルティーヌ・キャロル、「二百万人還る」のベルナール・ブリエ、「オルフェ」のフランソワ・ペリエである。全篇を通じての音楽は「女優ナナ(1955)」のジョルジュ・ヴァン・パリスが担当した。
1954年製作/フランス
原題または英題:Secrets d'Alcove
配給:ジェネラルフィルム=映配
劇場公開日:1955年7月21日
ストーリー
三人の外交官を乗せた車が真夜中霧のため動けなくなり、踏切番の家に一晩泊ることになったが、寝台があいにく一つしかない。運転手を入れた四人はやむなく一晩を明かすことにし、一人一人が寝台にからむ物語を始めた。 〔宿泊許可書〕まず最初はイギリス外交官の話。--戦時中のフランスのある小村、英軍のデイヴィドスン大尉(リチャード・トッド)は宿泊許可書を持ってジャンヌ(ジャンヌ・モロー)の家を訪れた。彼女は臨月のおなかを抱えていたが、五日も眠っていない彼を心からもてなしてくれた。さてデイヴィドスンが寝台に横になったとき、突然ジャンヌが陣痛で苦しみ出した。医者を呼ぶひまもなく、大尉は仕方なく産婆代りになって、男の子を取り上げた。朝になって一睡もできなかった大尉は、出発までの少しの時間を利用して路傍のジープの中で眠ろうとすると、ジープの中には仔を生んだばかりの猫がうずくまっているのだった。 〔離婚〕次ぎはイタリアの外交官の話。--ロベルト(ヴィットリオ・デ・シーカ)は、ジャネット(ドーン・アダムス)という美人とニューヨークのとあるホテルにやって来た。これは、ロベルトが、俳優をしている彼の妻と離婚するために仕組んだ芝居で、離婚斡旋所に依頼してジャネットを派遣してもらい、彼が浮気をしているという離婚理由をつくるためだったのだ。ジャネットは仕事熱心で、人のいるときはロベルトと猛烈なラヴ・シーンを展開したが、これもハドスン河の渡船の運転士をしている許婚との結婚費用を稼ぐためのアルバイトだった。その夜、ジャネットの身を心配した許婚の青年は渡船の往復ごとにホテルへ電話をかけてうるさくてたまらない。一夜明けたときかえってロベルトとジャネットは意気投合する仕末と相成った。二人が結ばれたのはもちろんである。 〔リヴィエラ急行トラック〕これは運転手の夢のような話。--荷物自動車を運転していたリケ(マルセル・ムールージ)は、パンクして困っていた金持の娘マルティヌ(フランソワーズ・アルヌール)の車を修理してやった。その夜、道ばたに車を止めた彼が車の中で眠ろうとしたとき、マルティヌがやって来て彼を豪華な邸に招待した。シャンパンでいい気持になったリケがベッドに入ると、美しい夜着に衣がえしたマルティヌがそのそばにすべりこんで来て--。 〔ポンパドゥルの寝台〕最後はフランスの外交官の話。--時の総理大臣(ベルナール・ブリエ)は、その愛妻に由緒あるポンパドゥルの寝台を贈ったが、運搬人がまちがえて隣に住む娼婦アニェス(マルティーヌ・キャロル)の家に運びこんだ。それからアニェスは総理大臣の寵を得、またかねて想っていた騎兵大尉ラトゥル(フランソワ・ペリエ)とも想いをとげることが出来た。総理の更迭で寝台が売払われ、一時彼女も落目になったが、新総理の寵とベッドとを再び得てもり返した。その後アニェスはベッドとともにアフリカへ渡ったが、七十歳になったとき、骨董店を営んでいたラトゥルのところへその好運のベッドを売りに実た。買いとったラトゥルはたちまち若い時のアニェスそっくりの美人と結婚することができた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アンリ・ドコアン
- ジャンニ・フランチョリーニ
- ラルフ・アビブ
- ジャン・ドラノワ
- 脚本
- モーリス・オーベルジュ
- ジャック・ファノ
- ニッコロ・テオドリ
- ローラン・ローデンバッハ
- ジャン・ドラノワ
- カルロ・リム
- 台詞
- ポール・アンドレオータ
- アントワーヌ・ブロンダン
- ローラン・ローデンバッハ
- 撮影
- クリスチャン・マトラ
- エンツォ・セラフィン
- アンリ・ビュレル
- セット
- ルネ・ルヌー
- ルネ・ムーラエール
- 音楽
- ジョルジュ・バン・パリス