マレー死の行進 アリスのような町

劇場公開日:

解説

一九五六年カンヌ映画祭出品を日本政府の抗議で中止された問題作。真珠湾事件直後、日軍占領下のマレー半島で、捕虜となった英人男女の生態を通して戦争の惨酷さを描出する。ネヴィル・シュートの同名ベスト・セラーからW・P・リプスコームとリチャード・メイスンが共同脚色、「砂漠の決闘」のジャック・リーが監督し、ドキュメンタリーな描写に腕を見せる。撮影は「暗黒大陸」のジェフリー・アンスワース、音楽はマチアス・セイバー。主演は「暗黒大陸」のヴァージニア・マッケナ、「覆面の騎士」のピーター・フィンチ。

1956年製作/イギリス
原題または英題:A Town Like Alice The Rape of Malaya
配給:BCFC=新外映
劇場公開日:1956年10月10日

ストーリー

一九四八年一月、日本の侵略戦争も終った或る日のロンドン。弁護士から五万ポンドの遺産が与えられると聞いたジーン・パジェット(ヴァージニア・マッケナ)は、戦時中、一緒に暮したマレー半島コタバルの原住民に会うためロンドンを出発。現地で原住民の大歓迎を受ける中、日本軍に殺された筈のオーストラリア人捕虜ジョー・ハーマン(ピーター・フィンチ)が生きていると知り喜ぶ。--七年前当時十九歳のジーンは兄と共にクァラ・ランプールのゴム会社に勤めていた。やがて日本軍は真珠湾攻撃から程なくマレー半島北端に電撃上陸を敢行、バツウ・タシクという僻地に住むホーランド家に寄寓していたジーンは、三人の幼児を連れたホーランド夫婦と着のみ着のまま逃げる途中、車が故障し、他の英人共々日本軍の捕虜となった。男達はそのままトラックで収容所へ送られたが、十三名の婦人と子供らはトラックがないので道案内の軍曹と共に炎天下シンガポールまで徒歩行進。ジーンは途中で死亡したホーランド夫人の乳呑児を抱き、幼い二人の手を引いて歩き続けた。ある日、日本軍のトラックを運転していたオーストラリア人捕虜ジョウが一行の姿を認め、秘かに食糧の包みを投げ与えた。その夜、ジーンとジョウは監視を逃れて逢い、互いに深い愛情を感じた。彼は生れ故郷の小都市アリス・スプリングの話をし理想郷建設を語る。だが菅谷大尉の鶏を盗んで彼女達に与えたのが発覚し、日本憲兵を殴ったジョウは死刑を宣告、捕虜の眼前でハリツケにされる。翌日、一行は再び強行軍を開始。美人のエレンは遂に堪えられなくなり、日軍将校の招くままジープで何処かへと去って行った。沼沢地帯に差し掛ると倒れる者が続出。八月になってやっとコタバルに辿り着いた時、忠実に道案内をつとめてきた高木軍曹もマラリヤで倒れた。ジーンは戦争の惨めさを痛感するが、人種的差別を超えて英国婦人達は不幸な高木軍曹に人間愛を感じたのだった。道案内を失った一行は、とある村で長老マット・マミアンに事情を話し、三年を村で過すうち終戦となった。--ジーンとジョウは入れ違いにオーストラリアとロンドンへ向ったが、あきらめてダーウィン飛行場を去ろうとするジーンの前に、着陸したばかりの飛行機からジョウが降り立つ。二人は固く抱き合った。

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