波止場(1963)
解説
レオ・ベンヴェヌーティ、レナート・カステラーニ、ピエロ・デ・ベルナルディの共同脚本を、「愛してご免なさい」の第一話を監督したレナート・カステラーニがイタリアの三つの港、ジェノバ、リボルノ、シチリア島のメシーナを背景に、港に住む人々の哀歓をうたいあげた作品。撮影はトニ・セッチ、音楽は「ブーベの恋人」のカルロ・ルスティケリが担当した。出演は「黄金の男」のジャン・ポール・ベルモンド、「皇帝のビーナス」のジーナ・ロロブリジーダ、「太陽の誘惑」のトマス・ミリアン、「イタリア式離婚狂想曲」のオドアルド・スパダーロほか。製作はフランコ・クリスタルディ。
1963年製作/イタリア
原題または英題:Mare Matto
ストーリー
イタリア北西部の港ジェノバ。マルゲリータ(G・ロロブリジダ)は兄と一緒に船員相手の下宿屋を営んでいる。シチリア島から来た青年ベネデットは、他の船員が買い取った乗船の権利を横取りした上、下宿代をふみ倒して出港してしまった。彼は下宿を逃げ出す時、自分の代りに“リボルノから来た男”(J・P・ベルモンド)を自分のベッドにもぐりこませた。この“リボルノの男”は粗野で、もちろん下宿代など払わない。だがマルゲリータはこの男に魅かれた。“リボルノの男”はマルゲリータが船員たちの給料をピンはねしていることを知り、これを皆に暴露した。彼女は怒ったが、結局は彼の魅力に屈服してしまうのだった。そして彼女は、自分と兄の持ち船に彼を乗せ、出港させた。一方、故郷シチリア島の港シメーナに帰ったベネデットは、結婚前の六人の妹たちがみな男にだまされたのを知り、相手の男たちを、片っぱしから殴ってまわった。貧しい妹たちへの、せめてものいたわりだ。“リボルノの男”は、マルゲリータの下宿で知りあった老人ドルードを、船員なみの給料で船長として彼と共に乗船させた。ブドウ酒を満載した船は途中、台風にあい、酒樽は海にほうり込まれた。台風の予報を無視して出航したため、ドルード船長は船主に訴えられた。しかし、“リボルノの男”や弁護士のはからいで罰金だけですみ、ドルードは養老院に入れられることになった。ドルードの歳で船での仕事はもう無理なのだ。彼の行く養老院には、かつて海に生き、恋に生きた港町ジェノバの人々の生活の、すべての終末があった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- レナート・カステラーニ
- 脚本
- レオ・ベンベヌーティ
- レナート・カステラーニ
- ピエロ・デ・ベルナルディ
- 製作
- フランコ・クリスタルディ
- 撮影
- トニ・セッチ
- 音楽
- カルロ・ルスティケリ