怪奇な恋の物語
劇場公開日:1971年11月20日
解説
現代文明の異常性によって精神を錯乱させられてしまう男の恐怖を描く。製作は「サテリコン」のアルベルト・グリマルディ、監督は「殺人捜査」のエリオ・ペトリ、トニーノ・グエッラとペトリの共作小説をペトリ自身とルチアーノ・ヴィンセンツォーニが脚色、撮影はルイジ・クヴェイレル、音楽はエンニオ・モリコーネ、編集はルッジェーロ・マストロヤンニが各々担当。絵はアメリカ前衛画壇の一人者、ジム・ダインが描いている。出演は「裸足のイサドラ」のヴァネッサ・レッドグレイヴ、「キャメロット」「続荒野の用心棒」のフランコ・ネロ、ジョルジュ・ジェレ、ガブリエラ・グリマルディ、リタ・カルデローニ、レナート・メネゴットなど。
1970年製作/107分/イタリア
原題または英題:A Quiet Place in the Country
配給:ユナイト
劇場公開日:1971年11月20日
ストーリー
ミラノの高名な画家レオナルド・フェッリ(F・ネロ)は、最近妄想に悩まされていた。彼のエージェントである愛人のフラビア(V・レッドグレーブ)とのエロチックな殺人劇が夢に現れるのである。正常な神経を取り戻すため、二人は“静かな田舎”に邸を借りた。静かだが荒れはて、邸の周りをめぐる塀には銃弾の痕が残っていた。静養にきたはずのレオナルドはここでも奇怪な事件に悩まされた。キャンバスはメチャメチャに引きちぎられ、弾痕のある塀の下には花束が置かれ、美しい女の悩めかしい姿態が幻となって現われては彼の心をかき乱したのだ。そしてフラビアが訪ねて来ると必ず彼女の身に危険なことが起こり、まるで邸全体がフラビアの来訪を拒絶しているようだった。フラビアは恐怖のあまり邸を出た。レオナルドは塀の下に花束を置いた肉屋のアッティリオ(J・ジレ)に、この呪われた邸の過去を聞き出した。一九四四年の空襲時、アッティリオは若くて多情な金髪美人ワンダ(G・グリマルディ)とこの邸の小部屋での逢いびきを重ねていた。ある日、その小部屋でドイツ兵との情事に耽るワンダを見つけた彼は、怒ってドイツ兵をシャベルで撲殺してしまった。そして死体をワンダと二人で理めおわった時、空襲にあい、ワンダは機銃掃射で死んだというのである。この話に魅せられたレオナルドは、その小部屋で寝起きするようになった。フラビアが心配して戻ってきた夜、レオナルドは村の人たちを集め、霊媒を呼んで、ワンダの霊を呼びだすことに成功した。しかしその暗闇の中でフラビアは何者かに首を絞められた。恐怖に顔のひきつったフラビアはレオナルドの手首についたひっかき傷を見てさらに驚いた。絞殺しようとしたのはレオナルドたったのだ。邸を逃げようとするフラビアを追ったレオナルドは、ドイツ兵が殺されたそのシャベルでフラビアを殺し、死体を切り裂いて、自分の絵と一緒に冷蔵庫の中に収めてしまった。完全に狂人と化したレオナルドは邸に閉じこもり、錯乱行為を繰り返した。警察が乗り込みレオナルドを連れ去った。パトカーの助手席には死んだ筈のフラビアがいた。アッティリオは罪の意識におののきワンダ殺害犯人は自分であると自白した。その後、再び創作意欲をとり戻したレオナルドは、数知れない絵を描き続けていたが、そのアトリエは精神病院の一室であった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エリオ・ペトリ
- 脚色
- ルチアーノ・ビンチェンツォーニ
- エリオ・ペトリ
- 原作
- トニーノ・グエッラ
- エリオ・ペトリ
- 製作
- アルベルト・グリマルディ
- 撮影
- ルイジ・クヴェイレル
- 音楽
- エンニオ・モリコーネ
- 編集
- ルッジェーロ・マストロヤンニ
- 絵画
- ジム・ダイン
- 字幕監修
- 清水俊二
受賞歴
第19回 ベルリン国際映画祭(1969年)
受賞
銀熊賞 | エリオ・ペトリ |
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