野獣戦争

劇場公開日:

解説

大都会のブラック・ゲットー内に巣喰うギャングの縄張り争いに巻き込まれた私立探偵の活躍を描いたブラック・シネマ。製作総指揮・脚本はジョン・D・F・ブラック、製作はジョエル・フリーマン、監督はこれが処女作のアイヴァン・ディクソン、撮影はマイケル・ヒューゴー、音楽はマービン・ゲイ、編集はマイケル・カーンが各々担当。出演はロバート・フックス、ポール・ウィンフィールド、ラルフ・ウェイト、ウィリアム・スマイザース、ジュリアス・W・ハリス、ビル・ヘンダーソン、ヴィンス・ハワード、ラリー・クックなど。

1972年製作/アメリカ
原題または英題:Trouble Man
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1973年4月14日

ストーリー

カリフォルニア。黒人の私立探偵、ミスターT(ロバート・ファックス)はタフでおしゃれで、ウルトラ・モダン・アパートに住み、高級車コンチネンタルを乗り回すナウな野郎だった。彼は、友人のジミー(ベル・ヘンダーソン)が経営する球つき場に事務所を置いていた。ある日Tの事務所に2人のやくざが尋ねてきた。1人はチョーキー(ポール・ウィンフィールド)、もう1人はピート(ラルフ・ウェイト)で、2人は南ロス・ギャンブリング・シンジケートに属する顔役で、彼らの来意は、最近彼らが賭場を開くと必ずライバルのギャンブラーに襲われ、有り金を強奪されるので助けてくれというのだった。Tは10 000万ドルの報酬を条件に、ギャンブラーとして賭場で待機した。予想通り覆面のギャングが乱入してきて有り金を奪い去った。が、実はこれはチョーキーとピートが巧みに仕組んだ芝居だった。2人は手下を集めてギャング団を組織し、それに誘拐したライバル・ギャングの1人を加えてもっともらしく演出したばかりでなく偽もののギャング団がズラかる時、チョーキーとピートが誘拐したライバル・ギャングの1人を射殺した。この巧みな演出はさすがのTも見抜けなかった。賭場荒しの強盗事件を洗うことになったTは、早速、聞き込みのために友人でボクサーであるボビーにあうために彼のジムを訪ねた。チョーキーとピートのライバル・ギャングの親分は、ミスター・ビッグ(ジュリアス・W・ハリス)と呼ばれる巨漢で、ボビーの話しによればミスター・ビッグの殺された子分は親分に直接命令されない限り絶対に賭場荒らしなどしないというのである。Tがボビーのジムを出ようとした時、殺人事件の容疑者としてジョー・マークス警部(ウィリアム・スマイザース)に逮捕された。だがこれは証拠不充分で直ちに釈放された。Tは、チョーキー側とミスター・ビッグ側との間にわだかまるトラブル解決に本腰を入れることになり、両者に話し合いをさせることにした。場所は彼の事務所であるジミーの球つき場と決めた。約束の時間に現われたのはミスター・ビッグだった。すると間もなく警官隊に化けたチョーキーとピートの部下が襲撃してきた。Tは、ギャングの縄張り争いに巻き込まれ、あわよくば自分を逮捕させその上でミスター・ビッグを血祭にあげてからギャンブルの縄張りを独占しようという、チョーキーとピートの企みに気づいた。怒り狂ったTは、恋人のクレオを安全な場所に移してから、警察に行き、美人警官の眼をかすめて拳銃を持ち出した。Tはチョーキーとピートの事務所に忍び込み、激しい銃撃戦の末、抵抗する2人を射殺してしまった。そして先ほどこっそり持ち出した拳銃を例の美人警官のスキに乗じて再びロッカーに返してから、涼しい顔をして彼女を誘い出し、警察を後にした。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

3.5シャフトと夜の捜査線の影響が明らか

2018年6月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ブラックプロイテーション 黒人向け映画 源流は1967年のシドニーポアチエ主演の夜の大捜査線 続編もでた 黒人が主人公として白人を向こうに回してカッコ良く描かれて大ヒットした これが映画に於ける黒人市場の発見だったと思われる 1971年に、黒人スタッフだけで黒人しかでない映画スウィートスウィートバックが作られ、黒人が映画館に詰め掛けた 1972年のこのジャンルの金字塔スーパーフライの特典映像の中で関係者が口を揃えてこれが史上初のブラックエクスプロイテーションだと言う 何しろ黒人が金を払って黒人しかでない映画を観てるぞ!と黒人の映画関係者全員が仰天したと これに刺激を受けて大手映画会社も黒人の映画撮れる奴にこういうのを作らせろということになり同年黒いジャガーシャフトが作られ、少し遅れて年明けにスーパーフライも公開され共に大ヒットした 前者はメンフィスはスタックスレーベンのアイザックヘイズ、後者はシカゴのカートムレーベルのカーティスメイフィールドが音楽を担当しサウンドトラックのレコードはどちらも売れに売れてヒットチャートの上位に長く居座った この状況に黒人音楽業界の盟主を自認するモータウンが黙っている訳がない そこで出遅れを取り返すべく、モータウンのトップ歌手マービンゲイを音楽に起用して撮られたのがこの1972年の野獣戦争 内容はNYのハーレムばかりだった舞台をLAに移した私立探偵と犯罪組織のボスとの闘いで構造はシャフトと変わらない 主演男優はシドニーポアチエに似ている 衣装も夜の大捜査線で黒人主人公バージル刑事のようにパリッとしてオシャレ 映像もどこかブリットを思わせるようなカメラでカッコ良く撮れている 筋自体は大したことは無い マービンゲイの有名な主題歌は映画冒頭に流れる程度で期待したほど彼の歌が聴けるわけでも無い しかしソウルミュージック好きな方はいちどは観ても損はないと思う ブラックエクスプロイテーションは この年ボビーウーマックを音楽に起用した110番交差点もヒットして益々盛り上がっていく そしてこのブラックエクスプロイテーションの女王パムグリーア主演のコフィ、フォクシーブラウンの誕生に繋がっていく

コメントする (0件)
共感した! 0件)
あき240