三つの恋の物語
劇場公開日:1953年5月3日
解説
「哀愁」のシドニー・A・フランクリンが製作した3つのエピソードを集めたオムニバス映画で、テクニカラーの1953年作品。第1話『嫉妬深い恋人』は「奥様は顔が二つ」の製作者ゴットフリード・ラインハルトが監督にあたり、脚本は「山のロザンナ」のジョン・コリアー。主演は「五本の指」のジェームズ・メイスン、「ホフマン物語」のモイラ・シアラー、「ショウ・ボート(1951)」のアグネス・ムーアヘッド。第2話『マドマアゼル』は「可愛い配当」のヴィンセント・ミネリの監督。アーノルド・フィリップスの原作を「フォーサイト家の女」のジャン・ラスティグと「血闘」のジョージ・フローシェルが共同脚色した。主演は「巴里のアメリカ人」のレスリー・キャロン、「見知らぬ乗客」のファーリー・グレンジャー、「脱獄者の秘密」のエセル・バリモアで、「赤い風車」のザザ・ガボール、子役のリッキー・ネルソンとドナ・コーコランらが助演。第3話『均衡』は第1話と同じくゴットフリード・ラインハルトが監督しジョン・コリアーが脚色している。ラディスラス・ヴァイダとジャック・マレの原作を、第2話の脚色チーム、ジャン・ラスティグとジョージ・フローシャルが潤色した。「探偵物語」のカーク・ダグラスと「明日では遅すぎる」のピア・アンジェリが主演し、「血闘」のリチャード・アンダーソンが助演する。3篇を通じて撮影は「血闘」のチャールズ・ロシャーと「雨に唄えば」のハロルド・ロッソンの2人、音楽は「黒騎士」のミクロス・ローザの担当。
1953年製作/アメリカ
原題または英題:The Story of Three Loves
配給:メトロ日本支社
劇場公開日:1953年5月3日
ストーリー
ニューヨークへ向かう大西洋航路の豪華船上のこと、著名な舞踊監督チャールズ・カウトレイ(ジェームズ・メイスン)は、彼の新作バレエ「アスタート」が初日だけで幕を閉じた理由をある青年から尋ねられた。彼にはそれにまつわる悲しい想い出がよみ返ってきた。 〔嫉妬深い恋人〕ロンドンのある劇場で舞台稽古中のこと、カウトレイの目の前で夢中になって踊っていたバレリーナのポーラ(モイラ・シアラー)が、突然倒れた。心臓が悪く、医師から忠告されて練習を遠ざからなければならなかった。バレエ「アスタート」の初日、小屋のはねたあと、カウトレイは人気のない舞台で1人熱心に踊っているポーラをみつけた。「アスタート」を不満に思っていた彼は、彼女の踊りに霊感を得、その夜自分のスタジオに連れて来た。ポーラは彼の指導をうけながら、魅せられたように踊りまくった。2人の芸術上の共感はそのまま愛情に変わった。しかし、その夜の踊りは彼女の死の踊りでもあった。翌朝、カウトレイはポーラの死んだことを知った。ー―船の上、少女の足音にカウトレイは我にかえった。そこへ少女の家庭教師であるマドマアゼル(レスリー・キャロン)と呼ばれる若い女が来た。彼女にも不思議な想い出があった。 〔マドマアゼル〕彼女はローマで米国の外交官キャンベル家にフランス語の家庭教師として雇われていた。1人息子の少年トミイはフランス語の勉強が大嫌いで、彼女をうとましく思っていた。トミイはある日魔法使いだといわれているペニコット老夫人(エセル・バリモア)と知り合い、夫人にもう勉強しなくてもいいように大人にしてもらいたいと頼んだ。夫人は夜の8時から12時まで願いを叶えてあげようと魔法のリボンをくれた。青年になったトミイ(ファーリー・グレンジャー)は、公園でマドマアゼルに会った。2人は星空の下でいつか愛情を感じた。だがキャンベル家は明朝ローマを去るので彼女も同行することになっていた。帰途、2人は明朝10時駅で会う約束をした。翌朝、マドマアゼルは青年を待ちうけたが勿論現れなかった。涙にぬれた彼女はひとりローマに留まる決心をしたが、そこへペニコット夫人が現れ、いつまでも待たない方がいいと言って魔法のリボンを与え、立ち去った。ー―デッキで想い出にふける彼女に声をかける青年(R・ホートン)があった。彼女にとっては見ず知らずの青年だったが、彼は彼女がローマのプラットフォームにいたことを知っていた。彼はいつのまにかマドマアゼルの落としたリボンを拾っていたのだ。青年は彼女を夕食に誘った。この2人のそばで海を見つめていたピエール・ナーヴァル(カーク・ダグラス)も不思議な恋の経験をもっていた。 〔均衡〕パリで、彼は身投げした女を助けた。彼女はニーナ(ピア・アンジェリ)といい、スキーのジャンパーだった。ピエールは空中曲芸師で、数年前パートナーの女を事故で失ってから、サーカスを断念したかに見えたが、ニーナを知って再び希望に燃え立った。ニーナは彼の希望をいれてパートナーになった。激しい訓練を経て、ニーナは立派な曲芸師になり、ある日アメリカから来た興行師の前で空中曲芸を見せることになった。愈々始まろうというとき、ピエールは不安におそわれた。空中曲芸師には禁物の恋愛を、彼はニーナに感じていたのだ。だがニーナは平然と演じとおし、契約は成立し、2人は、いま渡米の途にあるのだ。
スタッフ・キャスト
受賞歴
第26回 アカデミー賞(1954年)
ノミネート
美術賞(カラー) |
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