倒れるまで

解説

「弾丸か投票か」「俺は善人だ」のエドワード・G・ロビンソンと「札つき女」「化石の森」のベティ・デイヴィスが主演する映画で、フランシス・ウォーレス作の大衆小説を「弾丸か投票か」「Gメン」のシートン・I・ミラーが脚色し、「進め龍騎兵」「海賊ブラッド」のマイケル・カーティズが監督に当たり、「大森林」「科学者の道」のガエタノ・ゴーディオが撮影したもの。助演者は「札つき女」「化石の森」のハンフリー・ボガートを始め、「太平洋横断機」のウェイン・モリス、「札つき女」のジェーン・ブライヤン及びベン・ウェルデン、「黄金(1936)」のハリー・ケイリー、「カリアンテ」のソレダッド・ヒミメス、ウィリアム・ハード等である。

1937年製作/アメリカ
原題または英題:Kid Galahad

ストーリー

ボクシング家のマネジャーとして名を知られているニック・ドナティは、彼の商売敵ターキイ・モーガンに自分の選手が買収されているのを知らないで試合をさせ、見んごと試合に敗け、賭けた大金も失ってしまう。僅かばかりのこった金で、ニックは敗北自慰の盛宴をはかり、主婦役は彼の恋人フラッフが勤めた。この宴会に図々しくモーガンは彼の選手チャック・マグロウを連れて乗り込んだ。モーガンが人殺しくらいは平気でやる男であることを知っているニックはいやいや二人の出席を承諾した。図に乗ったマグロウがフラッフに侮辱を与えた時、ボーイのワード・ギーセンベリイが一撃を加えてマグロウをノックアウトした。これを見たニックはワードを立派な重量ボクシング家に仕立ててやろうと考える。フラックは、彼女を勇敢に救ってくれたワードに「キッド・ギャラハッド」の名を与えた。ニックは自分の故郷へワードを送った。そこでトレイナーのシルヴァーが懸命にワードの身体を作り、ワードはニックの妹マリイと恋に落ちた。ワードの最初の試合はマグロウの弟との顔合わせだったが、彼は見事に敵を打倒した。以来、ワードは地方の都会を巡って幾多の敵をことごとく敗り、またボクシングについての経験を積んだ。そしてついに重量世界選手たるマグロウと顔を合わせることとなった。ニックはこの試合にワードを敗けさせて大金を掴もうと考えた。ニックはワードに「乱打」戦法で行けと命じたのである。ワードがマネジャーの命を遵奉すればマグロウの勝は明らかで、ニックは大金を得るのだ。試合は始まった。ワードの乱打戦法はマグロウの好餌となり、凄いパンチを食らわされた。ワードの恋人マリイも、フラッフも、シルヴァーも唖然として驚き見守った。ワードの旗色はいよいよ悪い。戦法を変えろ、と皆に言われて、さすがのニックも良心に目醒めた。第八回目、ニックは戦法を変えさせた。ワードはジーン・タニイ型の、守りつつ強打を狙い撃つ戦法を取り、ついに第十一回目に到ってワードの右強打はマグロウをノックアウトした。一同が更衣室に入ろうとする時、ターキイ・モーガンは突如ニックを狙撃した。倒れながらニックが放った一弾はモーガンの心臓を射抜いた。しかしニックも致命傷だ。彼はワードと妹に祝司を述べ、フラッフに「俺はチャンピオンを育て上げたぞ」と自慢して瞑目した。

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映画レビュー

4.0ボクシング&恋愛のドラマにノワール的展開が面白い!

2022年10月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

エドワード・G・ロビンソン、ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガートなど共演の「ボクシング映画」&「恋愛映画」だけでなく「ノワール映画」っぽくなるマイケル・カーティス監督の面白い映画。

原題『Kid Galahad(キッド・ギャラハッド)』は物語の軸となるボクサーの名前だが、邦題の『倒れるまで』という付け方はナイスだと思う。
「ボクサーが倒れるまで」というのと「銃撃戦で倒れるまで」の2つの意味を持たせる上手いタイトル。

物語は、ボクシング・コーチのニック(エドワード・G・ロビンソン)は才能を見込んでボクサーを育てているが、なかなかチャンピオンにさせられない。ニックにはフラフという恋人(ベティ・デイヴィス)がいる。そして、ボクシングの商売敵としてモーガンなる男(ハンフリー・ボガート)がいて、役者が揃った感じあり…(^^)
ニックが育てたボクサーを商売敵モーガンに金で取られて、金も選手も失ったニックがパーティを開いたところにやって来たイケメンの給仕ボーイ(ウェイン・モリス)が、パーティ会場に入って来たボクサーが失礼な事をしたので、彼を一発で殴り倒してしまう。
ニックは彼を給仕からボクサーにさせてチャンピオンを目指すが、彼がニックの妹と出会ってイイ仲になったこと、自分の恋人フラフがイケメンに恋したのだはないか…などと勘繰り始めたあたりからの「人間関係のもつれ」・「登場人物の思惑」などが交錯して、面白くなっていく。

劇中でベティ・デイヴィスが歌う場面などを見ると、「やっぱり若い頃のベティ・デイヴィスは華があるな~」などと思う。
(本作は、1937年作品)

また、クライマックスのボクシング場面の終盤で、「リング付近に大勢の警官」、『銃をよこせ』と言って拳銃をポケットに入れるニックの姿などを見ると、ボクシング以外の展開に期待して、盛り上がる。

なかなか面白い映画であった。

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たいちぃ

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