グリーン家の惨劇

解説

「カナリヤ殺人事件」と同じくS・S・ヴァン・ダイン作の探偵小説を映画化したもので、主役フィロ・バンス、ヒース探偵、マーカム検事にはそれぞれウィリアム・パウエル氏、ユージーン・バレット氏、E・H・カルヴァート氏が再び扮している。その他主要なる役を勤めるのは「カナリヤ殺人事件」「フーマンチュウ博士の秘密」のジーン・アーサー嬢、「撮影所殺人事件」のフローレンス・エルドリッチ嬢、ウルフリッヒ・ハウプト氏、「ウォール街の狼」のブランドン・ハースト氏、モーガン・ファーレイ氏、オーガスタ・ブルマイスター嬢等である。監督は「撮影所殺人事件」「魔の家(1928)」のフランク・タトル氏で、「暴力団(1928)」「新聞記者」のバートレット・コーマック氏が原作小説を映画向きに改作しかつ台詞を執筆し、「コンサート」「都会の幻想」と同じくルイズ・ロング女史が脚色した。撮影は「サンダーボルト(1929)」「裏切者」のヘンリー・ジェラード氏が担任している。

1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Green Murder Case

ストーリー

ニューヨーク市でも名家としてかつ素封家として有名なグリーン家の主人トピアスが死んでから丁度10年目の初冬のある日のことである。顧問弁護士のキャノンが来訪して故トピアスの遺言状を家族一同の前で読み上げた。それによると財産は未亡人と2人の息子と2人の娘とに等分にゆずられるのであって、相続者中死亡者があれば該死亡者が受くべき分前は残りの相続者等に分たれるのである。但し相続者はトピアスの死後満15年間は必ずグリーン家邸内に起居しなければ失格するのであるが末女にして養女たるアダのみは若し結婚した場合には必ずしもグリーン邸に止らずとも差支えないという、面倒な条件がついていた。未亡人は永年の病気で足腰立たぬ老婆なのでこの第10回目の遺言状朗読会は未亡人の寝室で二男二女を集めて行われたのであった。ところがその夜更けてから長男チェスターと養女アダとが何者かのために各自の寝室内に於いて狙撃された。チェスターは胸を射られて即死しアダは背部に重傷を負って人事不省に陥っていた。警視庁殺人犯係のヒース警部は玄関から門に至る間の雲の上に印された往復した足跡を証拠として犯人は外部の者であると主張した。しかしマーカムは他に考える所あり、さきに「カナリヤ殺人事件」を解決したことのある友人の犯罪学校者フィロ・バンスに援助を乞った。バンスは取調べた結果犯人は家族の中に在りと見破った。次男レックスは病的に興奮し易い一種の神経病者で、長女シベラは非常に利己心の強いモダン・ガールだった。病臥している未亡人は根性が悪く子供たちを呪ってばかりいた。被害者を最初に発見した執事のスプルートは無口な何時も落ち着き払っている老人だった。料理人のドイツ女マンハイム婦人は妙にアダのことを気にしていた。家族同様にしている主治医のフォン・ブロンは不思議にシベラと親密であった。負傷しただけで命を取止めたアダはバンスに手助けすることを約した。ところがその後未亡人は毒殺され次男レックスも射殺された。凶悪なる殺人は誰であろうか。バンスは能く犯人を捕らえるであろうか。

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