赤い仔馬
劇場公開日:1973年10月27日
解説
10歳の少年ジョディが大自然の中でさまざまな事件を体験しながら成長していく姿を描く。原作は文豪ジョン・スタインベックの同名小説。監督はロバート・トッテン、脚本はトッテンとロン・ビショップ、撮影はアンドリュー・ジャックソン、音楽はジェリー・ゴールドスミスが各々担当。出演はクリント・ハワード、ヘンリー・フォンダ、モーリン・オハラ、ジャック・エラム、ベン・ジョンソン、ジュリアン・リベロなど。
1973年製作/アメリカ
原題または英題:The Red Pony
配給:ヘラルド映画
劇場公開日:1973年10月27日
ストーリー
ジョディ少年(クリント・ハワード)は、父親のカール・ティフリン(ヘンリー・フォンダ)が自分に対してあまりにも厳格すぎると思った。家を直すために登った屋根から落ちたときも、カールは「仕事をする気がないからだ」と叱りつけるだけだったので、ひどく憎らしかった。母親のルース(モーリン・オハラ)は、反抗的になっている息子に対して、父が独力で牧場を維持してゆく苦労に対して敬意をはらってしかるべきこと、本当は妻をも息子をも深く愛していることを話して聞かせた。ジョディはそれでも父親を素直に和解する気にはならなかった。ある日、カールは親友のジェス(ベン・ジョンソン)と一緒にサリーナスの町に出かけ、夜遅くひどい格好で帰ってきた。酒場で喧嘩したというのだ。それでも上機嫌で、ジョディにプレゼントを買ってきた。ジョディが納屋に行ってみると、可愛らしい赤毛の仔馬がくるくると駆け回っていた。ジョディの嬉しさは頂点に達した。仔馬にガビラン・マウンテンズと名付け、学校に行ってもガビランのことばかり考えていた。ある日、家の近くにヒターノ(ジュリアン・リベロ)という老インディオが倒れているのをジョディが発見した。ヒターノはここで生まれたが、97歳になって死期の近いことを予期したため生まれた土地に帰って死のうと決めたという。数日間、ヒターノはカールの納屋に泊まっていたがいずこともなく姿を消した。ガビランが肺腺炎という重い病気にかかった。治療法はなく、ただ奇跡を祈るしかなかった。ジョディは明け方眼が覚め、納屋に行ってみるとガビランの姿がなかった。足跡を追って山の方に行ってみると、ガビランはすでに死んでいた。禿タカが群がり、ガビランをついばんでいた。その凄惨な光景をジョディは一生忘れることができないだろう。衝撃と悲しみに食事も喉に通らないジョディに、父親は飼っている牝馬ネリーに種付けをして、生まれてくる仔馬をプレゼントすることを約束した。感謝祭の日、ルースの父、つまりジョディの祖父(ジャック・エラム)が海岸の町から馬車でやってきた。夕食の卓ですでに何十回と聞かされた老人の自慢話しが始まった。昔、幌馬車を率いてインディアンと戦いながらアメリカ大陸を横断した、という話だ。カールにとっていまいましい老人の物語も、ジョディには面白く、胸がわくわくする冒険談だったが、その最中、ネリーの出産が始まった。ネリーはもがき苦しんだ。何度も馬の出産に立ち会ったカールは、その様子がおかしいことに気がついた。どうやら仔馬の足がねじれていて、正常な出産が困難なのだ。自分のからだを傷つけてもネリーは子供を生もうとしていた。が、脚がつかえてどうにもならず、衰弱は時とともにひどくなっていった、カールは、母馬を殺して仔馬を助けることにした。このままでは両方とも死んでしまう。ジョディは叫んだ。「ネリーを助けて。ネリーを殺してまで仔馬なんかいらない!」。祖父は、両方死ぬより仔馬を助けるというカールの決心はやむをえないことだとジョディに言い聞かせたが、金ヅチが振り下ろされる瞬間、ジョディは再び必死に叫んだ。幼い健気な祈りが通じたかのように、ネリーの衰弱がひどくなって動きが鈍くなり、それが却って危険な局面を救った。カールは腕まくりをしてネリーの腹に手を入れ、ねじれた仔馬の脚を直しにかかった。ジョディはネリーの頭をなで続けながら、その永く辛い時間に耐えた。白い袋にくるまった仔馬の全身が、カールの手によって引き出された。ネリーは助かった。そして仔馬も頼りない脚で元気にふんばって、はじめての外気をせわしなく吸っている。ジョディは新しい生命の誕生の素晴らしさに思わず泣きだした。祖父はその肩をやさしくたたきながら、中断された昔話しを大声で語り始めた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ロバート・トッテン
- 脚本
- ロバート・トッテン
- ロン・ビショップ
- 原作
- ジョン・スタインベック
- 製作
- フレデリック・ブロッガー
- ジェームズ・フランシスカス
- 撮影
- アンドリュー・ジャクソン
- 音楽
- ジェリー・ゴールドスミス
- 編集
- マーシュ・ヘンドリー
- 字幕
- 高瀬鎮夫