ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のレビュー・感想・評価
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綺麗で哲学的でドラッギー(゚∀゚)アヒャ
世界中で大ベストセラーになった小説『パイの物語』の映画化だけど、原作は全然知らなかった(;´∀`)
町山智浩さんがラジオで紹介してるのを聞いて、そして予告編を劇場で観て興味を持って観に行きましたε=ε=ε=┌(o゚ェ゚)┘
オープニングは動物園の牧歌的な風景から始まり、「ママジ」こと水泳が得意なおじさんから紹介されたというカナダ人のライターが、大人になったパイの所に取材に来て、パイは不思議な話をする。
まずはヒンズー教、イスラム、キリスト教、仏教・・・色んな宗教にのめり込んでいくパイの様子が描かれる。
動物園を営んでいた父親が、カナダに移住することになって動物を連れて船に乗り込むが、そこで大嵐に巻き込まれて船は沈没。パイは1人で救命ボートに乗って漂流することになるが・・・
何とそのボートには足を怪我したシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そしてのどが渇いてたところを捕獲されて「サースティ」という名前を付けられたものの「リチャード・パーカー」と呼ばれている虎が!!!工工工エエェェ(゚Д゚)ェェエエ工工工
ハイエナはシマウマとオランウータンを食い殺し、そのハイエナは虎のリチャード・パーカーに食い殺され、ついには虎とパイだけになり、パイは虎に食い殺されないようオールを組んで筏を作ってボートにつなげてその筏の上で漂流する。
非常食も命からがら持ち出して、何とか生き延びていく。
それまでに海に落ちた虎を救い上げたり、トビウオの群れがばしばし飛んでくるシーンでも逆に餌を与えるし、虎に完全に依存しながら漂流するようになる。
パイはママジから水泳を教えられたから、船が沈没した時も泳いでボートまでたどり着けたわけで、さらにボートの上で神様に感謝しながら捕まえた魚を食う。
この映画は全然違う話が繋がってるようにも見えるけど、宗教の話も家族の話もちゃんと伏線にはなってるわけですな゚+。゚(・∀・)゚。+゚イイ!!
つまり「何で生き残れたのか?」という答えにもなってる。
何もない大海原で漂流してる時、空の星が海面に映ってあたかも宇宙を漂流してるような感じ∑(゚ω゚ノ)ノ
そこから鯨が出てくるシーンなんてほんとに幻想的だし、このあたりの映像なんて3D効果がいかんなく発揮されてると思う。
何だか幻覚でも見てるようなドラッギーな映像だし、町山さんも言ってたけど『2001年宇宙の旅』とそっくりなシチュエーションイイネ♪d('∀'o)
何日か漂流した後、たまたまミーアキャットの大群が生息する浮島に漂着して一安心ε-(´∀`*)ホッ
でもよ~~~~く見ると動物の骨みたいなのが地面に万遍なく散乱してるのが分かるし、ミーアキャットは可愛いけどあんなに大量にいると何だか不気味だし、綺麗な風景でありながらも不吉な印象がガクガク((( ;゚Д゚)))ブルブル
パイは木の上にハンモックを作って寝てるところ、なぜかミーアキャットが木の上に上ってくる。
パイがふと地面に目を向けると、昼間水浴びをしてた水たまりでなぜか魚が溶けて骨になってる風景がエェエェエェエェエェエェエェエェエ(゚Д゚ノ)ノエェエェエェエェエェエライコッチャ
この映像も綺麗ながらも残酷なイメージ(゚∀゚)アヒャ
夜になるとこの島の水は動物を溶かす物質に変わるんだとか。
あの地面に散らばってる動物の骨はそういうことだったのか・・・・
何ともはやクレイジーな設定と言うか、そんな場所現実にはないだろ?っていう話(;´∀`)
この辺りからあれ?(・ω・)って感じになる。
その後この島を出て、さらに漂流を続けた結果、メキシコにたどり着いてパイは救出されて一命を取り留める。
そして虎のリチャード・パーカーはジャングルに姿を消す。
日本から来た保険外交員はその話を信じるわけもなく、ほんとのことを話してくれと問い詰める。
そこで驚愕の事実が・・・
工エエェェ(´д|゚∀゚)っ|`)ェェエエ工
だから虎の名前が「リチャード・パーカー」だったのか(ノ∀`)アチャー
エドガー・アラン・ポーの小説『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』で、4人の男が漂流して飢えと渇きで極限状態になって、これからくじを引いて当たった奴を殺して、残った奴がそいつを食うことにして、くじを当てた給仕係のリチャード・パーカーという青年が刺し殺されて食われてしまうという話がある。
さらにこの小説が発表されてから50年後、実際に全く同じような事件が現実に起こったという事実コワ━━━((;゚Д゚))━━━!!
さらにさらに、その時殺されて食われた人の名前も同じ「リチャード・パーカー」
エェエェエェエェエェエェエェエェエ(゚Д゚ノ)ノエェエェエェエェエェエライコッチャ
ポーの小説が現実になっちまうという、身の毛もよだつ「本当にあった怖い話」ですなヒィー(>ω<ノ)ノ
そして生き残る動物がシマウマ、ハイエナ、オランウータン、虎というのも、これは「価値観の心理テスト」のメタファーだとTBSラジオの「たまむすび」で赤江さんが言いそうになってたけど、俺はこの心理テスト実は知らなかったもんで、調べてみてなるほど!!( `д´)b オッケー!と納得できた(゚∀゚)アヒャ
まあ落ちとしては、保険外交員はこんな話をしても信じないし現実的ではないから、虎とか出てこない話をしたら・・・・
Σ(´∀`;)
全然予想もつかなかった(゚∀゚ ;)タラー
シマウマが日本人の船員、ハイエナが横暴なコック、オランウータンが母親、そして虎がパイ自身のことで、コックが日本人と母親を殺し、パイがコックを殺したということ。
パイがボートの船底にいたネズミを虎の口に投げ込むシーンがあるけど、あのシーンがまさに象徴的(゚д゚)イーヨイイヨー
前半でパイの父親が「人間は見たいと思うものを見るもんだ」と食事中に話してたけど、正にパイは自分の母親を殺したコックを殺したという事実を覆い隠すために虎のオブラートで包んで、精神的な安定を保とうとしてたのか・・・・
浮島の下りなんて完全な妄想と言うか幻想で、あのあたりから段々現実感から離れていくのもそういうことだったのか・・・(;´・ω・)
とにかく哲学的でありながらもクレイジーで、さらに幻想的で綺麗な映像美も楽しめて、とても予測できない大どんでん返しの大落ちはほんと楽しめたワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ
時間の長さも感じさせないしお勧めですъ(゚Д゚)グッジョブ!!
壮大な寓話
予告編を劇場で観て、腹の底で馬鹿にしていました。トラと海を漂流するなんて、何て馬鹿げた話なのだ。ハリウッドも遂に脚本が払底したか・・・。しかし、本編を観終わった今、馬鹿だったのは馬鹿にしていた自分の方だったことを痛感しています。内容については詳述しません。この映画、くだらないだろうな、と想像している、そこのあなた、騙されたと思い、劇場へ駆けつけて下さい。星を半分、減らしたのは、最後の重要な場面が駆け足になってしまったからです。副題にある「トラと漂流した227日」ですが、劇中に227日を示唆する科白や描写は出てきません。何故、227日なのか、不思議です。尚、3Dの映像に関しては、「アバター」よりも上出来です。
可もなく不可もなく、ある意味予想通りのデキ
主人公は16歳の少年・パイだが、現在の成人したパイを演じるイルファン・カーンによる甘く落ち着いた語り口が耳に心地いい。
貨物船が嵐に遭遇したというだけで、なぜ沈没に至ったかは説明がないが、救命ボートに少年とトラが乗り合わせた経緯は無理がない。
幼かったころのパイにトラに対する恐怖心を植えつけたエピソードも効いている。
ただ227日にも及ぶサバイバル漂流は意外にあっさりしていて平坦だ。たとえトラがいなくても生命の危険が勝るはずだが、光り輝く美しい映像が多くを占める。つくづく、アン・リーという監督はロマンチストな人なのだと感じる。それは温かみのあるエンディングにもよく顕れている。
さて、大人のパイがこの映画の原作者と思われるカナダ人のライターに自身の経験を話し終えるラスト、パイはもうひとつの物語を語り始める。パイ少年の体験談の真実はいったいどこにあるのか? その答えは人それぞれの受け止め方でいいと思う。アン・リーのようなロマンチストになるか、それとも日本人の保険調査員のように現実的にものを見るか、性格占いのようなものだ。
総てを受け入れる事は、総てを信じず否定する事と決して同一ではない
私が最も敬愛する監督アン・リーが4年もの歳月を費やして遂に完成させたという本作品は、今の映像技術の可能な限りを尽くして制作された3Dの見事な画面を展開して魅せてくれるのは一体何故なのでしょうか?
私が考えるには、パイ少年と虎のパーカーの漂流の冒険ファンタジーを、観客である私達が、まるで同じ海で遭難し、少年の乗るボートに同乗しているかの様な臨場感を共有する事が出来る様にとの監督の映画に対する愛情とプロ意識、そして観客の私達に心から映画を楽しんで欲しいと願う、監督から観客へ向けられた愛情とサービス精神の表れだと思うのです。監督のその想いの下に世界から一流のスタッフが集結し、その力が見事に溶け合い開花したのが本作品と言う事が本編を観ていると見事に伝わってくるのです。
ハリウッド映画は「アバター」以来、何時でも単に3Dを駆使すれば、面白いだろうとハデな映像ばかり重視し、そのくせ中身の薄い作品の量産をしていた昨今の映画界の有り方には、正直嫌気がさしていた私ですが、やはりアン・リーの作品では3Dに凝るにはそれなりの物語のドラマ性を重視し、そのドラマの世界を最大限に伝える為の表現方法としての映像技術の充実を図ると言う工夫が生れて来ていると言えるのです。
彼の作品は、始めに明確な映画のドラマが存在し、その目的の為の、日々の技術の表れとして、職人技術の集大成である総合芸術としての映画がそこには出来上がるのですね。
だからそれ故にこの映画は、子供は冒険活劇としての映像の美しさや、面白さを楽しむ事も出来るでしょうし、大人は、家族の在り方、自然と人間の関係性、そして神と宇宙と人間の繋がり、人間がこの世界で生きる人生の意味と言うように、観客一人一人の人種や世代の違いがあっても、それぞれの立場の人達が、みんな心の本質的な発見を持てるように、映画が作られているのは、この映像同様に正に神秘と言うよりほかがありません!
アン・リー監督の描く世界は、常に家族の姿を軸にして、人間の本質とは何かを問いかけ、そしてこの世界で異なる価値観を持つ人々が混然一体となり日々暮している中で、それぞれの人々がみんな人間として幸せに生きようと努力する姿が描かれている。その人々を見詰める監督の目線の愛情に満ちた細やかさが画面一杯にいつも溢れていると思うのです。そのため彼の描いている世界観は、かつて小津安二郎監督が徹底的に家族の姿を通して人の本質に迫っていき、その彼の世界観は、人種の違いを越えて今も尚世界の人々に受け入れられ、高い評価を受けて愛され続けるようになったのと同様に、アン・リー監督の作品も、家族の生活を描き、その先に有る社会を見事に捉え、同時に人間に共通する人の本質とは何かを常に問いかける映画を魅せてくれている彼の作品は今後もきっと世界で高い評価を得る筈です。彼は今後も、更に楽しい映画を制作するでしょうね。人は常に希望を失わずに生きる勇気を掲げて前進あるのみですからね!貴方の日々の生活を常に見守り、サポートしてくれている大いなる存在がいる事を忘れず、さあ今日も元気に生きよう!
映像で観せないのは映画の禁じ手
みんな、なんか間違ってる気がする。 これは、船が難波して、4人の遭難者が 出てそのうち体が弱った少年を3人が 食ってしまったという話を聞いて、作 者が創造した話なんだよなあ。 だから細かい所をつついて、そんなわ けないとか言ってみても無意味な気が する。
ただ映画的には最後のネタばらしは映 像でみせるべき。 映画で言葉だけで説明するのはやって はいけないタブーだと思う。 映像で表現していたら、もっと評価が あったきもする。
まあ原作読まないと本当に作者が言い たいことは、わからないけどなあ。 なんせ中国人の映画監督が、単に解
釈 間違ってるかもしれないし。
ラストの余韻がとても良いです。
以前、映画館で予告編とメイキング映像を何度も見た。
それは、スタジオに舟を浮かべて、撮影している様子だった。
≪え~~~~。こんな映像を見せないでよ。信憑性(もちろん映画なんだけど)が薄れるじゃん。。。≫
それで、見ようか止めようか、随分迷ったのだけれど、結局見に行った。
ある作家が、小説の題材になりそうな人物がカナダにいると教えられ、トロントにいるインド人に会いに行く。
その人物が語り始める、自身の体験。
そんなゆっくりとした始まりの部分に、少々毒気を抜かれてしまった私だけど。
円周率のπが名前となる由来や、自身にまつわる幼い頃の出来事など、どうでもイイじゃんと思いながら見ていたのだけど。
動物達に癒されたりしたのだけど。
それも、いつの間にかだんだんと興味深くなってきたり。
気がつけば、ベンガルトラとパイと一緒に、海に放り出されていた。
過酷な漂流生活。
食事。
トラ。
どこへ向いて行くやら、さっぱりわからない救命ボート。
どうするのよ~~~。
でも、そんなパイには、知恵があった。
賢いな~。
生死をかけた信じがたい体験をした人は、神の存在を身近に感じるのだろうか。
パイもトラも、生死をかけ、生き残った同士だ。
そんな一人と一匹の繋がりがとても良い。
ラストの展開に、アッと思った。
監督の力量に感服。
映像には、引き込まれた。
期待が高かっただけに・・・
アカデミー11部門ノミネートに引き寄せられて見た作品。単純な漂流ものかと思いきや、神との関係など人生を考えさせる面も。美しく激しい映像に圧倒されるが、もうひとひねりあると生涯ランキングに残る作品になったかも。
絵本の様なファンタジック・サバイバル
兎に角3Dの美しさは半端でなく、幻想的で宇宙的、海の中から宇宙に飛んだり、動物がりアルに見えて夢の世界に誘われるようです。物語はベンガル虎と海に投げ出された青年が、虎と対峙しながら生きる希望を失わずに知恵を駆使して筏を組んだり、食べ物を確保し漂流する姿は凛々しい。虎と宗教があったから生きられたと後に語っているメキシコにたどり着いた時、虎が後ろを見ずに野生に帰っていく姿は印象的でした。でも虎が海を泳げるのを初めて知りました。
映像美でいえば期待以上
すごく気になってみに行きましたが、正直期待はずれの部分が否めないです。
映像はとても綺麗です。
みていて圧巻されたし感動しました。
でもあまりにも現実味がなく、うまく出来すぎている気がしました。
目が覚めたら島にたどり着いていたり、飢えているちょうどそのタイミングで魚が飛んできたり。
それから映像美にこだわっていたところもあってかCG感が拭えず感情移入が出来なかったのが残念です。
最後のどんでん返しはあーなるほどねとは思いましたが、自分はあまり面白く感じられなかったかも。
何といっても映像が素晴らしい!
物語はご存知の通り。
船が沈没して虎と主人公のパイが救命ボートに乗り込み生還してきたというお話。
パイの回顧録で始まるこのお話。
本当の話かどうかは聴く者次第、ってことなのですが、まぁー、ウソかまことかは別として救命ボートに乗り込む動物も虎だけではなく生存競争の厳しさを見せつけられます。お子様には夢も希望もないかも…。
パイと虎との交流や途中に出てくる無人島の小話とか、興味わくネタはイロイロ散りばめられています。
それはそれで面白いですが、何といっても映像が綺麗でワンダフル!
予告で光り輝くプランクトンめがけてクジラが舞い上がる美しいシーンに釘付けになりましたが全編これ美しい映像のオンパレード。
確かに、ジェームズキャメロンが褒めちぎったのは納得。
映画館で3Dで観ることを絶対にお薦めします。
リチャード・パーカーは事実か、メタファーか。
いやあ、久々に上質な3D映像体験が味わえました!ひょっとしたらアバター超えてるかもしれませんね。
昨今の無駄なコンバートで料金値上げしちゃって大した効果もないのに何でわざわざこれ3Dにしちゃったの?意味あった?的な映画とは確実に一線画してますですよ。段違い!
もうね、兎にも角にも美しいんですよ!綺麗!そして美麗!
何なんでしょうか。
とてもCGで表現されてるとは思えないぐらいに生々しく躍動的な動物達とかね、観てて本当素晴らしいス。
虎が暴れて、オランウータンは脅え、ハイエナは狡猾で、シマウマは死亡フラグ、時々魚群が通り過ぎ、おまけに大繁殖のミーアキャット。
本当によく動くし超リアル。
そしてそして、そしてですよ!
目を奪われるぐらいに透き通りきらめき、ため息が出るほどに圧倒的な自然描写、自然現象の数々。
海面に映し出される星空。
トビウオの大群。
光輝く水面。
海上に突如そそり立つ鯨。
荒々しくも神々しい嵐の夜。
これだけで3Dで観る価値充分あるでしょう。
あとストーリー展開も嫌いじゃなかったです。
現在進行形ではなく、過去の『虎と227日間漂流した』エピソードを聞き手に語り聞かせる回顧録的展開というか。
一見胡散臭い(?)おじさんが突飛もない話するもんだから大分眉唾モノではあるんですがwでも惹きこまれるというw
でね、基本的には大満足なんですが、ちょいと自分的に残念だったのがラスト付近辺り。
この虎との漂流譚が事実かどうかを聞き手、つまり観客側に委ねちゃうワケですよ。
「君はどっちが好き?」と来ちゃうワケ。
ここが個人的には「ええっ?うそーん!」ていう。
「そこはいいよ別に!事実です!で」的なね。
原作でも重要な部分らしいんですけども…。
まあね、でも!自分は虎の話を信じますけどね!
アナタはどっちを信じますか?
その答えは劇場で!的な。
幻想的“過ぎる”と感じてしまうサバイバル劇
トラのリチャードを始めとした、実物と見間違うほどの精緻極まるCG。
橙色・青色・緑色・黒色・碧色と、七色に変貌する水面や空の美しさ。
それら2つが合わさった幻想的且つダイナミックな映像(跳躍するクジラやトビウオの群れ……)。
人生の過酷さと理不尽さ、そして信仰によってその理不尽さに意味を見出だそうとする姿。
3D効果も含めて映像演出は素晴らしいし、物語の深みも感じる。
いかにもアカデミー賞好みのスケールとテーマを持った、良く出来た映画だと思う。
が。
ダメだった。
僕は乗れなかった。
泣ける映画ばかりが良い映画とは言わないが、涙は一滴も流せず淡々とした鑑賞に終始した。
(トラと抱き合うシーンだけは少し心が動いたけど)
映像が美しく幻想的過ぎて『作り物』という印象が拭えず、
サバイバルの過酷さが薄まって感じたのかも知れない。
トラやハイエナとの命懸けのやりとりの恐怖も、
初めて魚を殺した時の泣きながらの謝罪も、
どこかでフィクションだと割り切って観ていた気がする。
主人公と作家の対話で進む物語のスタイルも、
漂流生活の孤独感や絶望感を薄めてしまったように思う。
その為に、リチャードとの共存関係の強固ささえも。
それに、全体的に、どうも淡白。
家族とのシーンは時間をかけて描かれていたハズなのに、何故だかその絆が
非常に淡いものに感じられ、家族を失った悲しみが今ひとつ伝わらなかった。
(リチャードとの絆も然り)
「生きる事は手放す事。別れを言えずに失う事」という象徴的な台詞もその為に心に響かず。
ただ、最後の語りが真相だったとするなら物語のテーマも変わってくる気がするが——
つまり、パイはトラと共にサバイバルなどしておらず、
愛する母を奪った残忍なコックを殺し、独りきりでサバイバルしていたとするなら、
パイは残酷な現実を幻想のオブラートに包んで乗り越えたという事か。
あるいは残酷な現実を乗り越える為にトラのように残酷にならざるを得なかったという事か。
それはそれで感じ入る部分も無くは無いが、
トラとの触れ合いも別れも全部作り話だったんかぃと考えると
長々した話の最後に夢オチを聴かされたようなヤな気分になる。
うーむ、以上です。
あの作家と同様、僕の頭では『途方も無さ過ぎて意味が掴めない』だけかしら。
スピリチュアルな要素に興味のある方ならもっと感じ入る点もあるかもですが……。
<2012/1/26鑑賞>
ライフ・オブ・パイうーん
映像は綺麗。虎が跳びだして来る場面はドキッとする。が、最初は眠くなった
アカデミー賞候補との声を聞き、また、PR映像を観て期待していたが
正直、期待はずれ。私の頭の程度では哲学的なことは理解出来ません。
生と、神と、リチャード・パーカー
嵐で船が難破。少年パイはボートに乗って助かるが、そのボートにはトラが。食う者と食われる者、大海原を共に漂流する事になった運命は…?
アジアの名匠アン・リーによる壮大な映像叙事詩。
とにかく映像が素晴らしい!!
ファンタジックでもあり崇高なドラマでもある作品世界に引き込まれる。この感覚はハリウッドの監督には出せないだろう。
数奇な物語と深遠なテーマ、美しい映像と冴え渡る映画技術…なるほど、オスカー11部門ノミネートも納得だ。
物語は回想形式で綴られる。
インドで過ごした少年時代、神への深い信仰心…。
家族でカナダに移住する事になるが、乗った船が嵐で沈没し、一人だけ助かり、信じがたい漂流生活が始まる。
状況は絶望的だ。周りは海、助かる見込みは薄い。
しかも、漂流相手が自分を食おうとしている。
だが、その恐怖心が皮肉にもパイに精神的な支えと生きる活力とサバイバル能力を与えていく。
食糧が底をついた時、トビウオの群れと遭遇する。さすがに諦めかけた時、不思議な浮島に漂着する。この世と思えない幻想的な光景を目の当たりにしたり、再び嵐に飲み込まれそうになったり…試練を与え、休息を与え、生きる力を与え、神の御業と存在を感じずにはいられない。
パイにとっても、トラはかけがえのない存在になる。
でも結局は動物と人間、食う者と食われる者、心が通じ合う訳でもない。
パイの父の生前の言葉が重く響く。「トラは友達じゃない」
それは確かだが、生きる為の相棒であった事は事実だ。
決しておセンチな話にならない描かれ方が好感。
神と、心が通じないかけがえのない存在が、自分を救った紛れもない生へのドラマ。
深い余韻が残り、魅了される。
一つ欲を言うならば、僕の住んでる町では3D上映で無かった事が悔やまれる!
人生は航海である。
実写合成と、CGを組み合わせて表現されたベンガルトラが、
恐怖と生命力を漲らせ、
ただならぬ存在感で目を離せない。
めっちゃ凛々しい。
過酷体験を乗り越えて悟りにも似た成長に繋がる漂流記が、
すこぶるエモーショナル。
ドラマ性にも満ちていて見応え。
ままならない人生を生き続けなきゃいけない。
だからこそ必要な日常の五感。
それを積み重ねて"生きる"ことこそ"物語"なんだ。
すごい物語。
あんなにものすごい過酷な日々で、奇跡が起こるという物語で、かなり感動しました。
いろいろな事が起こるシーンが、とても怖かったり、美しく、魅力的でした。
映像から飛び出す3Dシーンも結構良く、この作品を素晴らしいものにしてくれました。
さすがアカデミー賞作品賞ノミネートだけあり、エンドロールの時は良い余韻にひたれました。
エンドロールも3Dになっています。
またこのような素敵な映画を見たいと思いました。
227日の共存
大海原にトラと漂流するパイ。 恐怖の中で共存を選んだパイの心の変化が良く表現されていて、トラにまでパイの気持ちが伝わっているかのように見えてきました。映像はもちろん、美しいです。その美しさと残酷さが物語を作っているのだと感じました。 最後、トラが森の前で立ち止まるシーンでは、なんともいえない気持ちです。
3Dで観ることをおススメします。
信じるか信じないかは貴方次第です
3Dの立体感がとても自然。
3D映画と言うと、今までの映画の多くは、3Dにこだわるあまりに
やたらと、飛び出すシーンが多かったりしましたが、この作品では
奥行きの深さを感じました。
実写、CG、VFXのそれぞれの違和感も少なく、映像美は驚くものがありました。
トラと少年の漂流生活で、なぜ生き残れたかという点が、クローズアップされますが
もう一つの物語もショッキングでした。
2つの物語、やはりトラの物語を選択するでしょう。
そう、やはり、『物語』です。
映像があまりに美しいので、絵本の世界という印象が強かったです。
身も心も引き込まれる冒険物語
原題:「LIFE OF PI」
邦題:「ライフ オブ パイ、トラと漂流した227日」
原作:「パイの物語」ヤン マーテル
監督:アング リー
題名の通り16歳の少年がインドからカナダに渡航する途中で 海難事故に遭いトラと救命ボートで漂流した末に救助される冒険物語。
ストーリーは
パイは動物園を経営する父親と教養ある母親とに間に生まれ育った。数学に出てくる、割っても割っても割り切れない円周率のパイにちなんで名前をつけられた。幼い内から よく勉強が出来て、パイがスペルが「PI」で発音するとピー(おしっこ)とも読めるために、小学校で虐めにもあうが 逆に秀でた知識で生徒ばかりか先生方からも尊重させるようになる子供だった。ヒンズー教だけでなく、イスラムにも仏教のもキリスト教にもユダヤ教にまで 改心し、すべての宗教と自分は協調して生きていけると信じていた。そんな一風変わり者のパイも16歳になり、美しい少女に恋をする。 しかし家族はカナダに動物園ごと移住することに決めていた。
大型貨物船に沢山の動物達や彼らの食料を乗せ、家族の旅が始まる。しかし、出航してしばらくすると嵐に遭い船は沈没、パイは傷ついたシマウマとともに救命ボートで脱出する。嵐が過ぎ去り、パイは両親も兄弟も失ったことを知る。
運良く生き残ったオランウータンを海上から拾い上げ、ボートに積まれた非常食を探索していると、救命ボートの船底から獰猛なハイエナが飛び出してくる。ハイエナは傷ついて動けないシマウマとオランウータンを襲う。パイの素手では、小さなボート上の殺戮を止めることができない。しかし、船底には、ハイエナをも簡単に食い殺すトラが潜んでいたのだった。トラは次々と動物を餌食にする。パイは寸でのところで、いかだを作ってボートから乗り移り、トラの攻撃から逃げ延びる。
救命ボートのトラと、それにくくりつけられた、いかだに乗るパイとの生存をかけた闘いと漂流が始まる。 パイは、いかだで雨をためて、魚を釣って生き延びる。そしてボートに移って、トラと水と食料を分け与える。トラが空腹に耐えかねて飛び魚を追って、海中に飛び込むと、その隙にボートに乗り移って、救命ボートの船底から水や非常食を取り出す。パイとトラは、何十日も漂流し、いくつもの嵐を乗り越えるうち、互いに生き残り同志の共存関係が出来てくる。パイは、トラが生きているからこそ自分も生きる意味を持つことができるのだということを知る。
227日たった。とうとう、島にたどり着き、ボートが砂浜に打ち上げられるが、パイにはもう砂地を立って歩く力がない。トラはボートから飛び下り、林に入って行って姿を消した。林に姿を消す前に 一度だけ振り返ってトラはパイを見つめた。
というお話。
冒険小説でお伽噺だが、とても映像が美しい。3Dの必要はない。3Dでなくても充分過ぎるくらい自然が美しく描かれている。大海の日の出と日没。輝く果てしない海の大きさ。くらげが漂い、鮫が回遊し、巨大な鯨がボートをかすって行く。荒れる海、なぎの梅。海の表情を映しだすカメラワークが秀逸だ。
映画のはじめのころに、出てきて、回想の形で繰り返されるインドのまばゆいばかりの色彩の多様さ。色とりどりの花々、インド舞踊の衣装の美しさ、香りたつようなインドの少女たちの美しさにも心奪われる。
おまけに、コンピューターグラフィックで、ここまで出来るのか、と驚くほど動物達の表情が豊かで動きがリアルだ。トラがパイと漂流するうちに段々とやせ細り、最後に林に姿を消す頃には 骨と皮になっている。とてもリアリテイがある。
トラはリチャード パーカーという名前を持っている。エドガーアラン ポーの「ナンタゲット島出身のアーサーゴードンビムの物語」という1838年に書かれた恐怖小説があって、小説の中で4人の男が海で難破した末、リチャード バーカーという男が3人に殺されて食べられる という話がある。で、実際1884年に実際に、同じ状況で、カニバリズムがおこり、偶然殺されて食べられた男がリチャード バーカーという名前だった、という記録が残っている。本当だったら、ポーの小説よりも怖い。
しかしこの映画のリチャード バーカーというトラは、むしろ、ヒンズーの輪廻思想で、トラは人の生き代わりなので、大切にしなければならないという思想からきているのだと思う。パイの動物園では このトラは始めからリチャード バーカーを呼ばれて尊重されていた。
貨物船の食堂で働く、人種差別でタチの悪いコックが出てくるが、彼はジェラール ドバルデュー。フランス人の役者だが、最近、フランスにこのまま居ると収入の65%を税金で取られるばかりなので、と、国籍を捨ててロシア人になってしまったことで話題になった。
この映画で、残念なのは、モノローグがインド人独特の強いアクセントの英語で ものすごく聞き取りにくいことだ。英語で語ってくれるが、英語の字幕をつけてもらいたかった。
でも身も心も引き込まれる冒険物語。 文句なしに映像を楽しめる。
本当に美しい映画だ。
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