桐島、部活やめるってよのレビュー・感想・評価
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今から“勝ち組”“負け組”に分けるには早すぎる
タイトルといい観る前の情報といい、何を語ろうとする映画なのか掴みどころがない。その得体の知れない不思議さゆえ、何か気になっていた。
話の発端はタイトル通りバレーボール部のキャプテンだったらしい桐島という男子生徒の突然の退部だ。
その金曜日の放課後を主要な登場人物の視点で繰り返し見ていくうちに、いろんな真実が見えてくるという手法を取る。
一人の生徒が部活を辞めた。それは大したことではない。せいぜい部内の騒ぎで治まる。
ところが、どうやらその生徒は学校内の誰もが認める“スター”らしい。運動だけでなく勉強もできて、彼女は校内一の人気女子。つまり彼らにとっては大きな事件なのだ。
そして、その騒ぎは本人不在のなかで繰り広げられ、騒ぎだけがひとり歩きしていく。
騒ぎの中で無責任に言わなくてもいいことを口にしたばかりに友情関係にヒビが入るなど人間関係の脆さが露呈する。カッコイイ彼氏を持つこともカワイイ彼女を持つことも校内に於けるステータスでしかない。
結局、コトの真実を見極めるために桐島の家を訪ねる者は一人もいない。携帯でしかコンタクトを取ろうとしない希薄な人間関係が浮き彫りになる。
主人公の前田涼也は、映画部所属で目立たない生徒。誰からも相手にされず、校内階層でいえば桐島とは正反対の“下”に属する。部室も剣道部に間借りするような片隅でクラい。
彼らは“上”の喧騒をよそに新作の撮影に没頭する。彼らにとって桐島が部活を辞めようが何の意味も持たないのだ。
この価値観の違いがラストでぶつかり合う。おとなしかった“下”の人間が自分たちの世界を踏みにじられたとき、“上”に向かって牙を剥くその感情の具現化した姿がゾンビだ。
屋上で桐島に続くナンバー2的存在の菊池と前田が言葉を交わす。同じクラスでありながら、まともに話をするのはおそらくこれが初めてなのではないか。
彼らの人生はまだこれからだ。何があってもおかしくない。今から“勝ち組”だの“負け組”に分けるには早すぎる。
題名が短答直入でした…
映画に直接関係ないけれど…
いつのまに龍之介君はこんなに大きくなったのでしょう。可愛い子役だったのに良い役者に成長しましたね〜。
さて、映画。
千差万別の生徒が狭い学校という世界に共同で住んでいるんだから何か違う歯車が起こるとこんなふうに五月雨式にいろいろな生徒たちに感染して行くんでしょうね。
同じ時間の風景を違う視点からなんども見せる方法も僕には新鮮でした。
時間軸で進める映画は‘呪怨’しか鮮烈な記憶がないので面白かったです。
不思議な感覚の青春映画でした。
モヤモヤ感がいい(追記あり)
今公開中の『アナザー』が、いる生徒をいない人扱いするお話で、それとは真逆でいる生徒を最後まで登場させない話だったので驚いた。しかし、この映画は全ての登場人物が一面的でなく、桐島は実在しない可能性すら検討したくなる。
チャラけている連中も心に穴を抱えていたり、お互いがお互いを気にしていながら、それがずれている感覚が非常に上手に掬い取られていてとてもよかった。素晴らしい表現の見本市のようだった。
もっとじっくり映画秘宝を読んでくれてもいいのにと思った。橋本愛ちゃんは気まぐれに『鉄男』を見たわけではないと信じたい。この夏一番の青春映画なのは間違いないでしょう。
(追記)
初回で見た際は登場人物が多くていろいろな出来事や細かな描写を把握しきらなかったままレビューを描きました。二回目に見たら非常に細密に構成されていて、素晴らしい映画であることが改めて分かりより深く感動し80点から90点に変更しました。
神木くんがほぼオレであることを前提に話しますが、橋本愛ちゃんは女子グループや軽薄な連中との付き合いを大切にするあまり別に好きでもなんでもないチャラけた男子、しかもそいつは男子の中でもかなり下っ端男と付き合っていた。そんな橋本愛ちゃんが、適当に選んだ映画が『鉄男』であるわけがないんです。あんなハードコアな映画を適当に見るわけがないじゃないですか。オレ(神木)をイオンで見かけてつい、ストーキングをしてしまったんじゃないでしょうか。「こんな凄まじい映画が好きなんだ、やっぱり芯の通った男はかっこいい!」なんて思ったに違いないんです。映画の後のベンチ座る橋本愛ちゃんと、オレ(神木)が決してベンチに座らないその距離感!意気地のないオレ!!
桐島も相当苦しんでいたはずです。実際バレーボールに真剣に取り組みながらも軽い連中に気をつかって「別に遊びだし~」みたいな態度を取っていた事でしょう。誰に対しても何に対してもきちんと向き合うとダサいと言われそう、なんてそりゃあ何もかも嫌になっても仕方がないでしょう。彼女はまるで飯島愛みたいな超威張っている偉そうな女で、あんなの別に好きでもなんでもなくゴリゴリに押されて人が好くて断れず嫌々付き合っているだけに違いない。本当は橋本愛ちゃんの方がずっと可愛くて好きだったかもしれない。実態なんか何もないのに、チャラけて余裕ぶっこいている態度そのものが有利な立場の要素になっているその虚しさに耐えられなかったとオレは想像します。実際にバレーボールという実質があるだけに、チャラい連中の薄っぺらぶりにムカついていたことでしょう。
そしてみんなには羨ましがられ、県選抜なんかになったらバレー部でも僻む連中もいることでしょう。「そんなにオレはいい思いなんかしてねえよ!彼女、飯島愛だぜ!」と思っていたんじゃないかな。そんな彼の気持ちに思いを馳せる人なんか一人もおらず、非常に孤独だったと思います。本当に気の毒だし、桐島は絶対にナイスガイですよ。
そんな劇中さっぱり登場しない中心人物にまでつい思いを馳せてしまうほど素晴らしい映画でした。
面白い!
この作品は構成が普通の映画と違うので、時間の使い方はあまり考えずに見ました。マグノリアっていう映画もこの映画と同じで色んな人の目線で一つのシーンを繰り返すって感じだったかな。でも全編105分という時間はちょうど良かった思います。
次に内容ですが、はじめは真の主人公が誰だか分からないような感じはしましたがしっかりとしたステップを踏んで進んだ前田(神木くん)ですね。前田のキャラと神木くんのイメージはバッチリあってたと思うんでキャスティングはOKだと思います。
このストーリー、桐島に振り回される人たち側と、桐島のことなんて全く関係ない人たち側に分かれてましたね。これが最後に皆一同集まってクライマックスを迎えるのです。
僕たち鑑賞してる側からしたらものすごく面白くないですか?この展開。
しかも言葉に発して謎を暴いてしまったのは関係ない側ですよ。それで最後まで桐島と無関係な前田たち。こういう展開って多少強引に持っていきがちな作品もあるように思いますが、この映画は違いました。違和感なしです。
あの皆が集結、話も終結っていう流れから後のくだりはヒロキのためにとって付けたような数分間で蛇足感ありました。歯切れよく終わるとかしてほしかったし、ヒロキという人間を描いてくれないから、最後お前がもっていくんかい!ってなりした。
あと個人的に吹奏楽の人と前田の屋上で言い合いするシーンは面白かったです。
前田は何も知らずに正論ぶっぱなして、彼女はごまかしながら言い返してと、彼女の気持ちがすごく分かる鑑賞してる側としてあれはめっちゃ笑えます。前田の言い回しもこういうやつおるわーって感じでツボでした。劇場で笑われてる方もいたんですが確かに笑いたくなります。前田の相方もなかなか面白いやつでした。
この映画、すべての状況を把握してる鑑賞側のことをよく考えてくれた作品だと思います。
funnyでもありinterestingでもある面白い映画でした。
持たざる者、己を知れ
「クヒオ大佐」などの作品で知られる吉田大八監督が、「妖怪大戦争」でキュートな魅力をばら撒いた神木隆之介を主演に迎えて描く、青春群像劇。
ここ最近になって、高い注目を集め始めている異色の現代芸術家に、韓国人のス・ドホなる人物がいる。自身がルーツとして掲げる「家」をモチーフにした作品を数多く残しているが、彼にはもう一つの軸となるテーマが存在する。
それが、「一人の、持てるものに握られた名もなき「持たざるもの」への視点」である。「私は、私」と声高に叫んでみても、個々の人間は知らないうちに「持てるもの」の手の内に丸め込まれ、小さな歯車として動く。作り手は決してその現実は批判はしていない。ただ、「背けず、目を向けろ」と、観客を挑発する。私たちの目が覚めるのを、待っている。
バレー部のエースで、超万能型のスター、「桐島」が部活を辞める。一見、何でもない小さな波紋が巻き起こす違和感が、いかに人間を惑わせるか。この一点への好奇心が物語を構成している本作。何故、一人の高校生の行動に学校全体が振り回されるのか。その真相を、様々な立場にある数人の同級生の視点を繋ぎ合わせる事で解き明かしていく。
気弱な映画部員、不思議な魅力を放つ美貌のバトミントン部女子、学校一の美女。境遇も、毎日への取り組み方も違う多彩な登場人物を放り込んで物語は展開されていくが、その全ての人間には共通点がある。
「見えない何かに、首根っこを掴まれているのに気づいていない。あるいは、掴まれるのを楽しんでいる」
「桐島」という男がどんな人間か、物語の登場人物も、観客も実は知らない。ただ、その男が自分たちの平穏な毎日を支配していて、保っている事は知っている。それだけで、良い。それで、安心する。あくまでも本作のテーマは「桐島」という人間そのものではなく、「桐島」という名前をもった「持てるもの」への憧れと、恐怖、諦めだ。だからこそ、別にその男は出てこなくても良い。出てこられては、困るのだ。
「桐島」というスターを具体化しないこと。それが、本作が普遍的に観客を挑発する力強さを生んでいる。「持たざる者よ、己を知れ」青春という名前を掲げた生半可な物語のようでいて、個性の限界と本性を鋭く指摘するユーモアにとんだ作品として完成した一本。ぜひ、学校という「個をかき消す世界」から少し離れた「夏休み」という時間にある学生にこそ、立ち向かってほしい映画だ。
と、難しい事を語らずとも、神木のイケメンぶりは黒縁メガネで隠してもやっぱり輝いているし、新進気鋭、橋本愛の美しさはやっぱり素敵。娯楽として観ても魅力は尽きない。味わい豊かな作品である。
学生時代の空気感?
出演者それぞれの視点で、とある出来事の展開を追っていくような感じなのですが、テンポ良く場面が切り替わり、最後まであっという間でした。
遠い昔の学校生活ってこんな感じだったっけなぁ、と暫く余韻に浸れました。
で原作もこんな感じなのかな・・・
もう一度、青春したいな。
原作の方は学生時代に読んだ方がイイと感じたけど、映画は学生ではない時に観た方が良いと感じた。
映画の始め部分は、物語の進み方に対応する事で観ていて疲れたけど、中盤あたりから慣れた。
みんなの“振り回される”姿に凄く共感する部分があって懐かしく感じた。
登場人物が多いけど混乱する事なく観れた。
最後の神木くん可愛いかった。
菊池宏樹役の子も可愛いかった。
だけど、原作の方がキラキラ感は多いと感じた。
自分の中にもある
経験に無くても見覚えのある気持ち、景色、人間関係。
かなりリアル。青春の羨ましい部分と味わいたくない部分。
いざこざが起こっても一人の女子以外は全員いいやつで愛すべきキャラクター。全員自分なんですよ。
片想いのエピソードとバレー部のエピソードは切なかったな、特に。
全シーン全キャラクターがラストにどうつながったかあんまりよくわかんなかったけど。
神木くんの芝居で片想いの相手の橋本愛さんがすごく好きになりました。
舞台挨拶では「(自分)、(何々)やめるってよ」にかけた願掛けが役者の半数が願掛けとして意味をなしてない。
深夜アニメを生で見るのをやめるとか泣き虫をやめるとか、ヒット祈願になってない。だれか大人が教えてあげるべきだったと思う。
サッカー選手がなぜか出てきた舞台挨拶。サッカー選手の面白さがすごかった。司会の伊藤さとりさん含め誰も役者に突っ込まない舞台でサッカー選手が出てきたことでなんとかなった感がある。
あと生で見る神木くんはかっこよかったけど、スクリーン内の神木くんは
髪がサラサラで今でも若干かわいかったです。
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