ミッドナイト・イン・パリのレビュー・感想・評価
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ふわふわした良作
自身初ウッディ・アレン作品。
どこかふわふわとした楽しい作品。
ちょっと違うのかもしれいが見てる最中に思ったことを書いておく。
昔に「こち亀」で読んだんだと思う。
ピラミッドの壁画にも書いてあったそうだ。
「近頃の若者は…」と。
いつの世にも回顧主義はある。
もっと言えば、自身の若い頃や幼い頃を懐かしみ戻りたいと思うのも同じ様なものなのかも知れない。
だが作中でも主人公ギルが憧れていた時代の人たちは嘆いていた。
昔は良かったと。
結局「ちょうどいい時代」なんてないのだ。
昔を懐かしみ憧れながら現世で足掻くしかないのだなと思った。
しかし作中出てくるインテリぶる男。
心底ムカついた。
さらに彼に心酔する婚約者にも腹が立った。
故に見事である。
あの二人が居たお陰で過去に逃避した後の浮遊感、安心感が増したと思う。
二人共覚えて置きたい役者だ。
最高のコメディアン
ウディ・アレンは大好きな監督の一人。そのなかでもミッドナイト・イン・パリはアニーホールに続く最高の作品だと思った。 小説家の主人公が真夜中のパリで魔法にかかり、過去の偉人たちに出会うというストーリー。 ヘミングウェイやコール・ポーター、フィッツジェラルド夫婦、ピカソ等々、さらにはルネサンス期まで時代を飛んでダリやドガに出会うのだ。 出会いにはアドリアナという女性との恋愛も含まれる。 コメディタッチで描かれているように感じられたけれど、 時代を超えてみてわかることは、今を生きるのが一番幸せなんだよ、といった実は温かいメッセージ。 ウディは観る人に天国の愉しみほどの愉快さを味わわせながら、こういったメッセージを与えてくれる器用さが好きだな 今作は彼自身は出演していなかったけれど、主人公を演じたオーウェン・ウィルソンにはまるでウディ本人であるかのような雰囲気を醸していたところも良かった。
すばらしい!すばらしい!すばらしい!
問答もウンチクも要らない。 Wアレン作品は↓ 誰でもかれでもOKでなく、排他的なのがまた格段にすばらしい! 或る意味で? これは、彼なり?彼版の?●フィールドオブドリームスだな(=´∀`)人(´∀`=)? ☆評価は・・ DVD100円レンタル基準で(*^^)v DVD買う度 ◎◎◎◎ モ1回見たい度 ◆◆◆◆ おすすめ度 *****(但し、映画偏差値は高め!) デートで見る度 ◇◇ 観た後の行きたいお店】 当然!パリのカフェへ! 観た後の飲みたいお酒】 シャンパンにパスティス! 観た後の食べたい一品】 フォアグラパテやラングスティーヌ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆ 俺は変態な奴と偏屈な奴は嫌いぢゃない(´・Д・)」 だから↓ 俺はWアレンが大好きだ♪───O(≧∇≦)O────♪
ウディ・アレンが捧げるパリと芸術へのラブレター
映画脚本家のギルは婚前旅行で愛するパリへ。 初めて手掛けた小説に思い悩むギルは、真夜中のパリをさ迷う内、1920年代のパリへタイムスリップ。 そこで、歴史に名を残す芸術家たちと出会う…。 冒頭、これでもかと言わんばかりに映し出されるパリの美しい風景にうっとり。 ああ、行ってみたい…。 フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリ…ギルが出会う芸術家たちは偉人ばかり。 彼らから芸術のイロハを受けるギルの姿は、ウディ・アレン自身の夢と憧れ。 「カイロの紫のバラ」では映画ファンの夢を描き、今作では芸術とノスタルジーへの夢を描く。 その一方でノスタルジーに浸り過ぎるのをチクりと風刺する。 芸術嗜好とパリへの愛。 知的センスが光るセリフとシニカルなユーモア。 ウディ・アレンが素晴らしくロマンチックな一時の夢を見させてくれる、パリと芸術へ捧げるラブレター。
もっと良いところへ
今の時代が嫌で 今の時代の価値観が合わないと感じて 今の時代の人間ともうまく行かない人のための映画。 昔に行ってすぐに偉人たちに会えて、一緒に楽しくやれるなんて 都合よすぎると感じます、が、昔の人への理想がいっぱいな人は こんな感じの交流を夢見ているのかも・・・ これが妄想という可能性も無きにしはあらず? でも、主人公も脚本で成功しているのでまったくの凡人ってわけじゃない。 本当に才能があってその才能を見込まれたのかも。
ほろ酔いみたいないい気持ち
冒頭のパリの街並みに少し酔ったようで、そのまま当り前みたいに夢ともつかない世界を漂いました。 明日の活力をくれる、ほろ酔いみたいなとっても気持ちいい時間を過ごしました。 そこは迷子になった心細い不安な心にだけ共鳴する、不思議な世界だったのでしょうか。 少し前にTVで観た「麗しのサブリナ」からなんとなくパリが舞台の映画を選んだのですが、パリの雨で繋がって、私の中で良い流れでした。 パリを愛するギルを演じたオーウェン・ウィルソンははまり役、彼は脚本家でもありますしね。なかなか良い顔になってきていて嬉しい、本当に生きていてくれて良かったと思います。 次々現れる文化人にも、それを演じる俳優さんにも、わくわくでした。女性キャラクターが総じて魅力的、ゼルダさんが可愛くてもっと見ていたかったです。
素敵な余韻が続く素敵な物語でした
ノスタルジーと文学と雨のパリを愛する男の物語。
結婚を控えて、婚約者の両親のパリ滞在に同行するところからスタートしていき、ふとしたきっかけでタイムスリップして自分の崇拝する芸術の黄金時代へと紛れ込みます。
このタイムスリップが実に現実的でもあり幻想的でもあり神秘的でもあって面白い。まったく「タイムスリップ」って意識が無いのですよ。
僕もこの主人公と同じように、昭和40年頃が日本の黄金期と思い込んでる手ですので、すごいストーリーに引き込まれていきました。
自分の愛する崇拝する芸術家達とつぎつぎに出会っていく様子はなかなか面白いです。
各芸術化のキャラクターを特徴的に演出されてますので、この手の話に敏感な人には結構面白いようで、劇場内もけっこう笑いが上がってました。
もともとウディアレンの作品って何かこう違和感もってどこが面白いんやろ・・と思ってたほうなんですが、今回の作品はなかなか一般受けしやすい素直な面白さに満ちてましたね。
僕はフランス映画とかフランス文化ってどちらかというと苦手なほうですが、この映画みてるとパリに行ってみたくなりました。
最初の婚約者には「雨のパリ」が理解されていませんでしたが、
物語のラストで主人公と感性を共有できるであろうニュアンスをたっぷり感じさせる素敵な女性と意気投合していくシーンで締めくくります。
やっぱり人生のパートナーは、心の感性を共有できる人であるって素晴らしいし理想ですね。
どこかで見た女優さんだなーと思ってたら007で凄腕の暗殺者役してた人でした!
でも、007の時も不思議な魅力を感じてたので、こういう役柄がいちばんぴったりしてる女優さんなのかな!
帰路につきながらも、一番最後のシーンがずーっと頭から離れなかったかな。
素敵な余韻を残してくれる美談でした。
できたら、パンフレットを先に買って一読しておくとより楽しめるかも!
黄金時代への思い
ここ最近のウディ・アレンの作品はどこかパンチに欠ける。いやパンチがある作品もあったが、全体的に陰鬱で彼の持ち味が全然生かせていなかった。だがこれは違う。紛れもない「ウディ・アレンの映画」だ。 社交性のない脚本家を演じるのはオーウェン・ウィルソン。このキャラクターは明らかにアレン自身がモデルであろう。だからウディ・アレンと同じタイプの役者が演じると暗くなりがちなところを、ウィルソンが演じることで独特の能天気な明るさを吹き込んでいる。しかも普段彼が演じる「ただのマヌケ」ではなく、ギルは「考える夢想家」と言ったところだろう。一つ一つの台詞にもウィットを感じさせる。 もう一つ。登場する’20年代の芸術家たちがたまらない。コール・ポーターにフィッツジェラルド、ヘミングウェイにピカソ。今の私たちが彼らの人物像を捉えるには本を読むなどするしかない。だからそれらの人物が一挙に映像化されるとすごくシュールで面白い。みな想像したとおりの人物なのだが、される会話が「いかにも」って感じだから余計に楽しい。なかでも一番はギルがダリと仲間のシュルレアリストからアドバイスを受けるシーン。ダリのぶっ飛んでる様子が写真で見たとおりで見た目(エイドリアン・ブロディが演じている)もそっくりなのだ。これだけ魅力的な人物が多いと、’20年代に戻りたくなるのも分かる。 そんな中ギルはピカソの愛人アドリアナと恋に落ちる。一緒になりたくても、時代が違うからなかなか上手くいかない。このロマンティックさとシュールさの見事な融合がまさに「ウディ・アレンの映画」たる所以である。だがこのギルの恋愛模様がこの映画の欠点でもある。まず婚約者のイネズ。アレンが作り出したキャラクターにしては奥深さもクソもないただのアホ女だ。なぜギルが彼女とさっさと別れないのか、彼女との関係が丁寧に描かれていないからあまりよく理解できない。ヘミングウェイが言うことがもっともだと思った。アドリアナ自体のキャラクター性は申し分ない。ギルと同じく、自分の生まれた時代に満足できなくて昔に思いを馳せる。だからその点ではギルと一致していても、その時代が違うものだから難しい。その辺の葛藤をもう少し上手く描ければ、最後の感動も大きかったかもしれない。 でも全体の雰囲気や登場人物、そしてパリの美しい風景を持ってすればこの映画は十分素晴らしいものになり得る。「自分にとっての黄金時代に思いを馳せる」私みたいな学生にとってこれほどまでに共感できるテーマはない。そして一度映画の中に入り込んだら、絶対にスクリーンから目が離せない。見終わったらとりあえず美術館に行きたくなることは間違いないだろう。 (2012年7月1日鑑賞)
これこそパリの夢
買い物や観光が目標でないパリへの旅行者の大半は、正にこの主人公ギルそのもの、といえるのでは? 私も、ヘミングウェイの住んでたアパートや、ロートレックやダリやザッキンの記念館、ピカソやルソーの「洗濯船」や「跳ねウサギ」などの溜まり場、20年代・ベルエポック以外でも、ゴダールの「勝手にしやがれ」でベルモンドが撃たれた路上、ゲーンズブルの墓参りなど、本人たちはもちろんいないとはいえ、やったことはギルとほとんど同じともいえる。。。。 つまり、これこそパリの夢。 リアルな夢を見せてくれてありがとう!傑作です、アレン監督!
納得の脚本。
脚本賞も納得のストーリー運び、ユーモアありアイロニーありで幸せな読後感。突っ込みどころもあるでしょうか、僕は満足です。当然ながらパリを散策したくなりました。もちろん現地で知り合った女性とも…。
やっぱり自分らしく生きたい!
「マンハッタン」のころは大好きで、いつも欠かさず映画館で観ていた。そのうちワン・パターンなところが飽きてきて、最近は評判がいい作品だけビデオで観るくらいだった。今回久々に映画館で観た。ギルはウッディ・アレンらしい主人公で、若ければ自分で演じたんだろうなと思った。才能はあるのに、自意識過剰な男だ。オーウェン・ウィルソンが違和感なく演じていた。私が何よりうれしかったのは、私の好きな人たちがたくさん出てきたこと。フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、ロートレックなどなど。それから、昔はいいなと思えること。いつも、いつの時代でもちょっと前の時代に、人々は夢を馳せ、愛おしいと思うのだ。最初は自信なさげだった主人公が、タイムスリップするたびにどんどん自信をつけていき、生き生きとしてくるのがこちらにも伝わってきた。このことで、ギルが幸せになってくれれば、私もうれしいと思う。観終わった後、すごく幸せな気分にしてくれる作品だ。
幻想とノスタルジー。
男というものはまったく夢見がち…なんてよく言うけれど、
いえいえ女だって夢しか見てないようなタイプはいますよ。
ホラここに…^^;などと言ってみる。
だいたい映画好きが夢を見れないでどうする!
絶対起こりそうもない出来事が起こるから映画は楽しいのだ。
自分の人生と比べて云々…という理屈では成り立たない。
女は確かに超現実的(これは生きる上でそうなってくる)だけど
決して夢を見てないワケではないのだ。叶いそうな夢を選んで
実現させている…だけ。そう、小さなことからコツコツとねぇ^^;
初めからドン!とデカい夢を据え置いてしまう男性の威力と
先窄みになっていく儚さを目の当たりにしたおかげで?
ギャーギャー煩く言ってしまうのが女。だけど夢なんて結局、
叶う叶わないことより、抱いているのが楽しいんだけどね~。
で、1920年代のパリ。いいですねぇ~♪
なんかもう出てくる著名人が面白すぎて^^;笑えるのなんの。
呆気にとられつつ会話を楽しもうとする主人公の熱意も素敵、
文化とオシャレとコメディがそつなく混ざり合った極上舞台。
W・アレンお得意の分野という感じですねぇ。
ゲージュツに理解ある相手を選ぶなら、ゲージュツ家の愛人
の方が確かに手っ取り早いかもしれないけど(爆)
同じ部分で笑い合い、涙し、理解し合えるのは本当に大切。
だけど根本的には赤の他人なので多少のズレはあるワケで、
それを補い合える相手でないと、ムリが長じてやがて壊れる。
自分が一番大切に思うものが何であり、それをどうしたいか、
その流れにスッと乗ってきてくれるヒト(爆)が一番お似合い。
劇中で「おっ?」と思う出逢いがあった。
おそらくそうくるんじゃないかと思ったら、本当にそうなった^^;
過去の栄光や栄華に対して、稀代の輝かしさを感じるこの頃。
あの頃は~だったなぁ♪あの頃の映画は良かったのにねぇ~♪
なんていう常套句を最近頻繁に使うようになった。
ノスタルジーに浸るにはもってこいの年齢になってきたってこと?
だから今作も自分にスッと入ってくるんだな…と思える。
しかし過去で生きることはできない(実際には)から、
現実世界で少しでも^^;心地良く生きていこうと思うのが人間。
パリの幻想は(短い上映時間内で)こんなに幸福にさせてくれる。
(やっぱダリ~♪がかなり面白かった。ヘミングウェイ格好良すぎv)
ウッディ・アレン的「パリ観光映画」
学がないとわからない、とか お洒落じゃないからわからない、とか そういうことは関係なく、楽しめる ウッディ・アレンの映画だと思いますよ。 冒頭の数分、パリの街の風景が 朝から夜へと変わっていくようすが スクリーンに映しだされるけど、 それはいわゆる「絵葉書的映画」の要素 そこから本題に入るとがぜん、アレン節 主演のオーエン・ウィルソンが 立ち振る舞いといい、台詞回しといい アレンそっくり、まさに監督の分身 アレンの伝記映画を作るとしたら ウィルソンしかいない!と思えるほどの いい役だとおもう 特に知識人をひけらかす友人への アイロニーには、大爆笑 頷くところもたくさんある。 こういう人間いるよなー、と 「ご当地映画」だから、 有名人が沢山出てくる。 当然、ノスタルジックな雰囲気 野村満載なわけだけれど、 終盤、ラスト近くかな、 こういった懐古趣味に対する 表面上、やんわりとだけれど 内心、痛烈な批判も忘れないのが アレンの面目躍如、 といったところじゃないかな。 因みにアレンの次回作は ローマが舞台の 「ローマに愛を込めて」 (To Rome with Love) 次作はご本人も登場するようです。
大人のファンタジー。
この映画の良さについて大いに語っちゃえたら、さぞかしお洒落っぽいんだろうなと思う。 オイラはお洒落さんにはなれないけどさ。 でも、こんな「大人のファンタジー」なんだか、ちょっとスリリングで、でもあったかくてキュートでウキウキ、とっても楽しかったよ。 ヘミングウェイは男前で、フィッツジェラルド夫人はコケティッシュで魅力的だった。 ダリとピカソはやっぱり「ゲージツ家」の雰囲気バンバンだった。 その他、文藝好きな人だともっと面白ポイントが解って、より楽しめるんだろね〜。羨ましいわ。 チキチンッ♪
実は、深~い話しなんだと思いました。
酔って深夜のパリを徘徊していると、クラシックカーに乗った人々から一緒に来るように誘われる。戸惑いつつも、付いて行ってみると、いつの間にか1920年代にタイムスリップしていた。 幻想的で、ユニークな内容です。ティーパーティー運動の事に触れていたり、アメリカ人のフランス感をそれとなく出演者に語らせていたりと、シニカルなところもあります。そうですよね~。どちらも、色々と、ありますよね~。 駄目だ。オーウェン・ウィルソンの鼻が気になる(笑)。自身も売れっ子脚本家であるものの、お金持ちの婚約者(とその父母)の尻に敷かれている、ちょっと情けない感じを上手く演じています。アメリカの好青年と言う印象があったんですが、その好印象は無くならないですが、ちょっとカッコ悪いと言うか、尻に敷かれている感じのオーウェン・ウィルソンも新鮮です。 女優陣は、レイチェル・マクアダムスも魅力的ですが、やっぱりマリオン・コティヤールですよ。『コンテイジョン』では、有能なWHOの医師を演じていますが、やっぱりこう言う小悪魔のマリオンも良いんですね。 それと、レア・セイドゥ。ちょろっと、時々出てくる感じですが、実は意外や意外に、重要な役所だったりするんですよねぇ。なるほどね。 それと、前フランス大統領ニコラ・サルコジ夫人のカーラ・ブルーニが出てきます。見ている時は気が付かなかったんですが、後でわかりました。まぁ、この人は(元)ファーストレディと言っても、元々はモデル・歌手なので、こういう芸能活動は、慣れているという意味で大丈夫なんでしょうね。 ヘミングウェイとか、ピカソとか、ダリとか、誰でも知っていそうな、作家・画家などのアーティストがたくさん出てきています。誰が出てきていたのか覚えていられなかったので、後でウェブサイトで調べましたよ(苦笑)。 物語後半、ギルとアドリアナは、更なるタイムスリップしているんですが、この辺りの意味合いは、そもそもギルが1920年代にタイムスリップしてきたこと、もっと言うと、人々の現実逃避に対する皮肉と言う感じになっています。なるほどね。ウディ・アレンっぽいという気もしました。 そして、ラストシーン。「なるほどね、そう来ましたか」と思いました。キレイにまとまっていたと思います。ちょっと定番すぎるかもしれませんが、それはそれでいいと思います。
小粋なSFファンタジー
誰でも古き良き時代を偲ぶ気持ちがある。 脚本家としてハリウッドで成功をおさめながら、マンネリの作風が続く業界で書き続けることに、主人公のギルは満ち足りない思いを抱いている。 そんな彼が好むのが雨のパリであり、憧れるのは1920年代のパリだ。ギルにとってモダニズム芸術に沸く1920年代のパリこそが“黄金期”なのだ。 歴史ある芸術の都・パリに移り住んで、じっくり小説を書きたいと願うギルと、安定したセレブな生活を捨てられない婚約者のイネズ、二人の気持ちが段々離れていった頃、奇跡が起こるというのがこの作品の大筋だ。 夜道を独りで散歩するうち、迷ってしまったギルの前に黄色い旧式のプジョーが静かに止まるところは、なんとも不思議で幻想的な空気が漂う。 憧れの1920年代にタイムスリップしたギルと、彼が尊敬してやまない数多の著名芸術家とのやりとりは、文学に疎い私でも楽しめる。 毎夜、12時の鐘を聞きながら旧式のプジョーが現れるのを待つギルの気持ちがよくわかる。 なんといっても、当時のパブ・レストラン、ポリドールやマキシムの雰囲気が濃厚でそそられる。 ギルの創作意欲は益々盛んになるが、ピカソの愛人アドリアナとの出会いが、この作品のテーマである“黄金期”に大きな疑問を投げかける。 “黄金期”の当事者たちは、誰も今が黄金期だとは認識していない。“黄金期”とは過去を偲ぶ心であり、その傾倒してやまない時代と文化圏は人それぞれなのだと気づく。 ギル自身にとっての“黄金期”は現在しかないと思うのだが、はたして1920年代に残る道を選ぶのか? そして・・・雨のパリを共に歩いてくれるパートナーは現れるのだろうか? ロマンチックなラストが用意されていることは言うまでもない。
家元のイリュージョン落語に通ずる笑いの世界
同じ議題、同じアメリカ映画やのに、先日観た『メン・イン・ブラック3』とは180°違うタイムトラベル噺で驚いた。 落語で喩えるならば、終始ドタバタ賑やかで誰しも親しみやすいMIB3が桂枝雀師匠の爆笑落語で、 対して気さくな掛け合いとシュールな世界観が広がり、客に高度な価値観を要求される今作は、立川談志師匠のイリュージョン落語に通ずる笑いに近い。 …って、昼間っから何を言うとるんだ私は!? 要するに、江戸の風が吹くように、パリの風が吹いていたのである。 …余計、解らんかな…。 不意に何の説明もなく、ダリやヘミングウェイ、ピカソ、モディリアーニ、シャネル、モネ、コクトーetc.名だたるカリスマが現れては、各々の逸話をネタに小刻みに盛り込み、通り過ぎていくウディ・アレン流のギャグ構築は、 「解るヤツだけ解りゃあいいんだ」と、置き去りを辞さない家元の哲学を彷彿とさせる面白さを感じた次第だ。 不条理な流れを追い掛ける快感というか… って、やっぱり解らんかな… そういう人は家元の『鉄拐』とか『疝気の虫』『居残り佐平次』を聴く事を大いに薦める。 では最後に短歌を一首 『恋醒めて 筆はさ迷う 花の街 神は気まぐれ 夢に居残る』 by全竜
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