英国王のスピーチのレビュー・感想・評価
全293件中、101~120件目を表示
コリンファースの演技が光る
象徴
歴史ドラマとしてのクオリティーの高さ、海を挟んで脅威が増長していく中での英国内の緊張の高まりを断片的に詰めながら、彼の肩にかかる責任の重みを見事に描いている。王室と政治や宗教との関わりや平民との関係なども細かく触れてくる。この後にダンケルクに流れる訳であるが、国の存亡を誰も保障しない焦燥感が具体的なセリフではなく空気で伝わってくる。
話の軸にある人間ドラマも興味深く、ジョージ6世の苦悩と努力、完全に克服できているわけではないあたりも描き方が素晴らしい。決して完璧な人ではない。実存的な人間として、敬意を持って描かれる。全て、2人の名演のなせるもの。
バランスという意味でここまで完成されたものは少ないだろう。そろそろ昭和天皇が描かれるかな。
歴史ドラマではなく人間ドラマ
単純な構成にこそ、
コリン・ファースの名演に涙
『ブラック・スワン』や『インセプション』『ザ・ファイター』『トイストーリー3』『灼熱の魂』などの傑作が数多く出揃った2011年アカデミー賞で作品賞を含む4部門でオスカーを獲得した、傑作ヒューマンドラマである。
コリン・ファースとジェフリー・ラッシュの演技の鬩ぎ合いは言うまでもなく素晴らしい。この映画が泣けるのは、単にサクセスストーリーだからではなく、コリン・ファースの演技によるところが大きい。生まれながらに自らに重くのしかかっていた英国王の息子という圧力、そのストレスによる吃音症、彼は「英国史上最も内気な王」であったが、ライオネルとの訓練によって素晴らしい戦争スピーチを行えるようになった。スピーチを終えた彼の表情にあるのは、喜びや安堵だけではなく、ライオネルとの絆によってもたらされた、英国王たる強かかつ優しい自信と威厳である。
日本人メイクアップアーティストがオスカーを獲得した事で有名になった『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』に登場する王こそ彼である。『ダンケルク』と併せて鑑賞して見てはいかがだろうか。
ほのぼのした安定感ある感動を味わえる映画
極度の吃音症であったジョージ6世は、王位を望んでいなかったが、兄の退位により思いがけず王位に就くこととなってしまう。
国王は、第二次世界大戦という激動の時代の中、ファシズムに対抗する象徴的存在として国民の前でスピーチをこなすには、吃音症をいかに克服するかが至上命題。型破りな言語療法士ライオネル・ローグの指導に国王は戸惑いを隠せないが、次第に国王の心を開き、ふたりの関係はファーストネームで呼び合う友情へと進化してゆく。
抑制的でありながら、患者に寄り添う愛情と、国王に対する敬愛の情をさりげなく滲ませるジェフリー・ラッシュの好演が光る。歴史モノにありがちな威圧的な感じも、重たい雰囲気もなく、ほのぼのしたムードの中に感動を味わえる作品。
吃音症の王
物凄い良い話なのに吐き気がしない
本来斜に構えた質のせいで、
ゴテゴテの友情やら絆やらを描いたヒューマンドラマを観ると吐き気がしてしまう残念な性格の私ですが、
この映画は物凄くバランスが良い。
吃音の国王が医者と初めは対立しながらも、徐々に打ち解けあっていき、吃音を克服していく、、、
という単純な国王と医者の絆の物語ですが、
話の焦点を国王の葛藤の方に向けているのと、
世界が第二次世界大戦へ向かっていく不穏な雰囲気が始終流れているのが相まって、
地に足のついた良い話になっている。
最後、医者のサポートを受けながら国王がやっとスピーチを成功させるという感動的なシーンも、そのスピーチが第二次世界大戦開戦の為のスピーチという。
感動させながらもなんとも切ない気持ちになるラスト。
素晴らしい。
一番好きな映画のひとつです。
境遇と葛藤
この映画は究極に綺麗な「いい話だった」スタイルだと思う。
幼い頃,立場こそ王族だがそれであるが故に生じる家庭環境における様々な問題により,吃音症を始めとする体の異変を抱えながら成長したアルバート。やがてそれを克服すべく葛藤していく彼の姿勢も良いと思うが,いい医者を見つけることに専心するアルバートの奥さんも良かった。
そしてアルバートの治療に専心するライオネル。ライオネルがアルバートとの関係に悩んでいた際ライオネルに気遣いながらも助言するライオネルの奥さん。
アルバートとライオネルの絆が深まる所ももちろん印象的であったが,奥さんのさり気ないサポートが印象的であった。
悩みを抱える人間というのは,周りのとても大事な人間の様子の変化や,サポートがないと生きていけないのだということを再認識できた。
前者に関しては,ライオネルと絶縁状態,つまり絶対的なサポートがない状態で不安定だったアルバートは,「自分が国王になったことで娘達の様子が変わった」ことを見て,考えを変えライオネルに謝罪に戻る決心に繋がったのかなと思った。
後者に関しては,映画を見れば分かるがアルバートは様々な人のサポートにより吃音症をなんとか克服できていた。彼は王族だからそのようなサポート体制が整うのは当然の筈であるが,それにしても人間の「手を差し伸べる行為」というのは本当に素晴らしいなと思った。暖かくて,感動した。
音楽の使い方も絶妙,最後の演説のシーンはジョージ6世としての気迫や意気込みが感じられる演出で良かった。
テンポも良く,見ていてかなりスッキリした。見てよかった。
全293件中、101~120件目を表示