川の底からこんにちは

劇場公開日:

川の底からこんにちは

解説

上京して5年目のOL佐和子は、目標もない自堕落な生活を送っていた。ある日、父親が末期がんのため余命わずかだという知らせが入り、一人娘の佐和子が実家のしじみ工場の跡を継ぐことになる。しかし工場は倒産寸前で、労働者の中年女性たちからはいびられる毎日。追い込まれた佐和子は、生まれて初めて自分の人生を見つめ直すことになる。新人監督の登竜門「ぴあフィルムフェスティバル」でグランプリを受賞した石井裕也の商業映画デビュー作。主演は「愛のむきだし」の満島ひかり。

2009年製作/112分/日本
配給:ユーロスペース
劇場公開日:2010年5月1日

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映画レビュー

4.0「しょうがない」ことは歌って乗りきる精神

2024年2月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

観終わって一番に思ったことは「思ってたよりもすごーく女子映画だったなぁ」ってこと。
主人公・佐和子の自己評価の低さが、何だか心に沁みるの。感傷でもあり、目を背けたいヒリヒリした感覚にも思える。

上京して5年、5個目の職場、5人目の彼氏。平均すると、1年しか持たない日常。
切れ目なく仕事と男にありつける訳だから、佐和子は魅力的なはずだ、と思うのがフツー。
しかし、実態は「大した女じゃないんで」「しょうがないですよね」という妥協に妥協を重ねた自暴自棄の生活。
「中の下」だからしょーもない上司にもキレず、ちょっとキモい男とも付き合う。「しょせん中の下、だからあんたと付き合ってんじゃん。」
ここまで断言されると爽快感すら感じる。

父が倒れて家業を継ぐことになった佐和子に、「しょうがない」から仕事を変えることはもう出来ない。風当たりが冷たくても、事業が潰れそうでも、「腹くくってやっていくしかねーんだよ!」となってからは怒濤の勢いだ。

「しょせん中の下」と卑屈だった佐和子が、「しょせん中の下」と開き直ったお陰か、パートおばちゃんや彼氏の連れ子と生活に邁進していく様が素敵だ。
同じ「しょせん中の下」なのに、この差。
自分を受け入れることは難しい。同じ評価でも、否定的に受け入れたら気力はおこらないし、肯定的に受け止めたら活力がみなぎってくる。
佐和子の姿を観ているこっちがそう感じるのだから、周囲の人も当然そう。
「あんた、なかなかやるじゃないの」
そう思ってくれる。

佐和子とパートのおばちゃん軍団との、微妙な距離感の詰まり加減が何だかとてもリアル。
傷や弱みを見せあうのが「女子の連帯感あるある」で、妙に共感しちゃうんだよね。

情けなくて、滑稽なのに、何だかとてもカッコいい。
決して「中の下」ではない満島ひかりだけど、佐和子が完全に乗り移っているかのようで、最高だった。
女の人生は「中の下だからしょうがない」を乗り越えた先にあるのかもしれない。

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つとみ

0.5シュールなショートコントの寄せ集め

2023年12月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.5中の下なんかじゃないよ!なんでこんな面白いん!満島さん頑張ったから特上だよ!

2023年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

楽しい

近隣の名画座で公開予定があると知り、これはきっと良質な作品だと思ってアマプラで探しての鑑賞でした。
この作品、主演・満島ひかりの渾身の演技が光に光り、佐和子のキャラが立ちに立ちまくっていました。
観ながらふいに思ったのですが、この作品って、脚本も演出も無かったんじゃなかろうかと。
全てを満島さんに一任して、彼女に役柄を憑依させて、自然体のままアドリブで撮ったんじゃないだろうかとまで思いました。
特に、あの怒涛のラスト。あれ、きっと完全にアドリブでしょ。
そして触れておかなければならない例の“木村水産の社歌(?)”
あれには爆笑を禁じえませんでした。

上がるー♪上がるよー♪消費税ー♪
来るなら来てみろ!大不況ー♪
倒せー!倒せー!政府ー!
中の下の生活♪しょせんみんな中の下♪
MC:「中の下、中の下、どうせみんな大した人生じゃないし、はなから期待してませ~ん」
しじみーの爆詰めー♪しじみの爆詰めー♪
川の底からー♪こーんにちーはー♪

叔父さんから借りた5万円の予算ではテレビCMは無理としても、自主レーベルでスーパーのBGMで流す描写があればよかったと思いました。
「倒せ!倒せ!政府!しじみーの爆詰めー♪」がスーパーで流れるシーン観てみたかったなぁ。
それがきっかけで、シジミの爆詰めがヒットした経緯も。

てか、これオ〇ムみたいな国家反逆罪級の歌じゃん(笑)
そう、この作品のキーワードであって、しばしば登場する「中の下」これが妙にリアリズムがあっていいのよ。そこでもがき苦しむ悲喜劇を楽しむ作品じゃないかと思い。

細かなところでは、育児放棄された加代子の「殺す?」も爆笑でした。
ラストでお父さんの遺骨を投げ散らかすシーンは満島さんの狂気全開!
一見、人生間違えた方向へ達観して、変な醒め方をした佐和子がラストシーンで絶叫する「おとーさーん!おかーさーん!」に笑いながらも、思わず涙ぐんでしまいました。
あんな変な子でも、ラストで本音を吐露したように、愛に関しては、情の深い寂しい子だったのだなぁ…と、愛おしく思い。
「やっぱムカつくわー!あンたじゃなくてさー!あンたがいなくなってちょっと寂しくなっちゃった自分がムカつくのー!(号泣)」→遺骨投げ
「ダメでしょうがないからさー!だから頑張んなきゃいけないでしょうがー!(号泣)」→遺骨投げ
この“頑張る”も、本作において重要なキーワードかなぁ。
でも、これ、頑張ってもどうしようにもなれない私には、胸にグサグサと刺さったわけです。
人生、そんな頑張れないんだよ。
結論、大変良い映画を観ました。

【追記】
う〇こを畑に撒くシーン、リアリティーがありすぎて、思わず臭ってきそうでした。
食事をしながら観る映画じゃないなぁ。
そして、やけに生々しいオバチャンたち(“新しいお母さん”候補含む)のスリップ姿、あれ、ドン引きでしたわ。

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野球十兵衛、

2.0ありきたり

2023年5月22日
PCから投稿

おそらく起承転結の「転」にあたる部分、
父親が助言をしたら、それと正反対の事を決めた場面は
先が読めましたね。
全体的に奇をてらっているようで、そのあざとらしさが
興醒めです。

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