観終わって一番に思ったことは「思ってたよりもすごーく女子映画だったなぁ」ってこと。
主人公・佐和子の自己評価の低さが、何だか心に沁みるの。感傷でもあり、目を背けたいヒリヒリした感覚にも思える。
上京して5年、5個目の職場、5人目の彼氏。平均すると、1年しか持たない日常。
切れ目なく仕事と男にありつける訳だから、佐和子は魅力的なはずだ、と思うのがフツー。
しかし、実態は「大した女じゃないんで」「しょうがないですよね」という妥協に妥協を重ねた自暴自棄の生活。
「中の下」だからしょーもない上司にもキレず、ちょっとキモい男とも付き合う。「しょせん中の下、だからあんたと付き合ってんじゃん。」
ここまで断言されると爽快感すら感じる。
父が倒れて家業を継ぐことになった佐和子に、「しょうがない」から仕事を変えることはもう出来ない。風当たりが冷たくても、事業が潰れそうでも、「腹くくってやっていくしかねーんだよ!」となってからは怒濤の勢いだ。
「しょせん中の下」と卑屈だった佐和子が、「しょせん中の下」と開き直ったお陰か、パートおばちゃんや彼氏の連れ子と生活に邁進していく様が素敵だ。
同じ「しょせん中の下」なのに、この差。
自分を受け入れることは難しい。同じ評価でも、否定的に受け入れたら気力はおこらないし、肯定的に受け止めたら活力がみなぎってくる。
佐和子の姿を観ているこっちがそう感じるのだから、周囲の人も当然そう。
「あんた、なかなかやるじゃないの」
そう思ってくれる。
佐和子とパートのおばちゃん軍団との、微妙な距離感の詰まり加減が何だかとてもリアル。
傷や弱みを見せあうのが「女子の連帯感あるある」で、妙に共感しちゃうんだよね。
情けなくて、滑稽なのに、何だかとてもカッコいい。
決して「中の下」ではない満島ひかりだけど、佐和子が完全に乗り移っているかのようで、最高だった。
女の人生は「中の下だからしょうがない」を乗り越えた先にあるのかもしれない。