春との旅
劇場公開日:2010年5月22日
解説
「バッシング」「愛の予感」の名匠・小林政広が、仲代達矢を主演に描く家族のドラマ。共演に徳永えり、大滝秀治、菅井きん、田中裕子、小林薫、柄本明、香川照之ら豪華キャストが揃う。4月の北海道。孫の春に面倒を見られながら静かに余生を過ごす元漁師の忠男は、人生最後の住まいを求め、親戚縁者を訪ねる旅に出る。家族との確執や過去との対面により、忠男と春は人生そのものをじっくりと見つめ直すことになる。
2010年製作/134分/日本
配給:ティ・ジョイ、アスミック・エース
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2022年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
これほどの名優、大女優を揃えて見事にシンフォニーが奏でられている。映画と言うのはどんなに名優を揃えても傑作にはならない。これほどの名演技とこれほどの日本の風景を彩り、そのなかに輪郭のように浮き上がる祖父と孫・・・いい映画だ、そして実にいい音楽が流れている。ベタな映画だが嫌じゃない。仲代達矢の食事シーンが実にいい🎵
2020年8月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
北海道の寒村で孫の春と2人で暮らしていた、足の不自由な老人忠男。
疎遠だった兄弟達のもとを訪れ、自分を居候させてくれるように頼むため、春と一緒に旅に出るというロードムービー。
忠男の弟である幸男の恋人、清水愛子を演じるのは『もののけ姫』『ゲド戦記』の、レジェンド女優・田中裕子。
春の父、真一を演じるのは『ザ・マジックアワー』『20世紀少年』シリーズの香川照之。
忠男の弟、中井道男を演じるのは『ウォーターボーイズ』シリーズや『ハッピーフライト』の、レジェンド俳優・柄本明。
仲代達矢、大滝秀治、菅井きん、淡島千景、柄本明といった、勲章を授与された日本映画界のレジェンド達に加え、小林薫、田中裕子、香川照之などの実力派俳優も出演している邦画界のアベンジャーズ。
重いテーマ、暗い画面、辛気臭い劇伴なども実に邦画的。
何故か邦画界においては、明るくて楽しい映画よりも暗くて重い映画の方が芸術的で良きものとして扱われているような気がする。
仲代達矢や大滝秀治、柄本明が非常にコミカルな演技を披露しているのだから、もっとコメディー要素強めな作品でも良かったと思うのだが…。
物語は現代の『楢山節考』とでもいうべきか。
孫の春は爺さんを捨てに行く旅の途中で、祖父との絆を再発見する。
忠男は疎遠だった兄弟達を巡るうち、頑なで偏屈だった自分を省みる。
物語の展開を考えると、忠男はもっと捻くれていて嫌なジジイとして描いても良かったのかも。
映画の冒頭と、それに続く大滝秀治演じる兄の重男を訪ねる場面では頑固な偏屈ジジイ感が強めだったが、その後は割と可愛げのある困ったおじいちゃんというキャラクターに変化してしまった様な気がする。
シナリオはまぁありがちな感じもするのだが、この映画の魅力はやはり役者陣の演技!
名優達のアンサンブルがたまらない!
特に好きなのは仲代達矢と大滝秀治の、長回しでの会話シーン!
ルーズショットでのワンシーン・ワンカット。固定されたカメラワークで、ただ2人がテーブルを囲んで会話しているのを映しているだけなのだが、これに引き込まれる!
まさに国宝レベルの演技といって良いでしょう。
このほかにも仲代達矢と淡島千景の喫茶店での会話シーンも良い!
仲代達矢と柄本明の喧嘩シーンも良い!
というか、仲代達矢の演技はどれも良い!
仲代達矢のアイドル映画として観るのが、この映画の正しい見方なのかも。
仲代達矢演じる忠男と一緒に旅をする孫の春。
この春のキャラクターがあまり面白くなかったなぁ。
忠男のキャラクターに喰われてしまっていた様に感じる。
物語は終盤、春と父との物語に変化するのだが、ここがちょっと蛇足感あり。
自殺した母親のこととかを、台詞で説明し過ぎてしまった感じがある。
クライマックスの忠男の突然の死?みたいなのも、ちょっとわかりやすい悲劇という感じで…ウーン。
直前まで結構元気あったけど…?
個人的な好みの問題になるが、やはり本作の様なザ・「邦画」という作品は好きじゃないなぁ。
この題材、このキャストならもっとコメディ要素強めな、笑えて泣ける映画にも出来たと思うのだが。
重くて暗い映画を2時間以上観るのは堪えるね。
2019年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
2018年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
足が悪く、老いぼれている風体の老人忠男(仲代)。伸びた髭をばっさりとそり落とし、孫娘が止めようとするのを制止し、どこかへ向かって歩き続ける風景。一体何の目的で?と最初から惹きつけられる。
最初に訪れたのは長兄(大滝)が婿養子に出て住んでいた大きな家。元々そりが合わない二人だったのだが、忠男の方から「もういい」と諦めて出てしまう。帰り際にホームに入ることが決まってると打ち明けられるのが、なんとも物寂しい・・・
末弟のアパートに向かうものの、彼は刑務所の中。そして姉(淡島千景)のもとを訪ねると、働けない忠男は養えないが、小学校の給食の仕事をしていた春を跡取りとして迎えたいなどと言う。しかし、春は申し出を断る。最後の兄弟は道雄(柄本明)だったが、またもや喧嘩である・・・
当てもなくなった忠男だったが、春に実父に会わせてやろうと画策し、実父(香川照之)の実家へと向かう。そこでは忠男が実父真一の新しい妻(戸田菜穂)から「一緒に暮らしませんか」と言われ、思わず涙する。こ、これは『東京物語』のパターンか?!と、よく考えると、忠男にとっては全く血のつながりのない夫婦なのだ。牧場でのこのシーンだけでお腹いっぱい・・・でも、そのあと二人はこっそり抜け出し、一緒にそばをすするシーンがメイン。「おじいちゃんとはずっと一緒だからね」と、彼女は母を捨てた実父を許すことができなかったのだ。そして、一緒に北海道へと帰る電車の中で忠男は静かに息をひきとるエンディング・・・
血縁関係という薄い人間関係に、孤独と絆をうまく掛け合わせた良作だ。また、春を演ずる徳永えりのがに股がずっと気になるが、これは完全に演技なのです。