春との旅のレビュー・感想・評価

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春との旅

劇場公開日 2010年5月22日
21件中、1~20件目を表示 映画レビューを書く

安直なシェイクスピアの焼き直し

あまり評判がいいので、今頃になって(つい最近DVDを見たばかりなので)ケチをつけるのがはばかられるが、この手の映画が安易に作られすぎるような気がするのでひと言。頑固一徹、好きな人生を歩んできた元漁師の忠男が、これまで一緒に暮らしてきた孫娘春の旅立ちを控えて、自分の老い先を見てくれる家族を探し歩くというまことに身勝手な動機のロードムービー。その程度の話なのだが、なぜあれほどむきになって歩きまわるのだろう。老人の怒りの理由がわからないし(一応、職を失った春が家を出ていくという状況を提示してはいるものの)、行く先々で喧嘩腰だから、相手もみな怒鳴り声をあげる。全編みな喧嘩腰のロードムービー。もちろんネタ本はシェイクスピア。リア王とコーディリアの悲劇が見事なコメディーになっている。シェイクスピア原作に惹かれたのか出演者は豪華絢爛。小林薫など背中だけで出演しているという贅沢さ。終盤で春が長年音信不通だった父親に会いに行くのだが、その再婚相手が一緒に暮らそうと言ってくれるあたりも、そしてそのせりふ回しも何とも予定調和的。そのあとでの蕎麦屋の場面で春が優しい言葉をかけた時点で、観ている方は、これは忠男は死ぬよりないなと予感するというまことにわかりやすい筋立ての映画。仲代達矢は熱演すればするほどシェイクスピア的になってしまい、身勝手な荒くれ漁師のイメージから離れていく。見ていて痛ましい。何とも安直な映画。

prixunique
prixuniqueさん / 2016年11月5日 / PCから投稿
  • 評価: 1.0
  • 印象:  単純
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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「罪を償う事は出来ないの?」 ネタバレ

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「罪を償う事は出来ないの?」

映画のクライマックスで、それまで小さな胸を傷め続けていた春の口から、吐き出された言葉です。

人が生きて来た中で、1番価値の在る事とは、一体何だろう?

有名に成る事?
子供を沢山育てる事?
それとも次の世代に続く後継者を育てる事?

色々な形がある事でしょう。

まだ形として残る物を持つ人は良いとして、亡くなった人の人生での価値を量る物事の1つとして、どれだけ多くの人に囲まれて幸せに死んで行くか…。
それも、その人の価値を知る事の1つかも知れません。

しかし、その様な幸せそうに亡くなっていった人とは正反対の様に、どこかの道端で野垂れ死んで行く人も、少なからず存在します。
それどころか、誰にも知られずひっそりと…。
個人的にはそんな死に方はごめんこうむりたいものですが!

だがしかし、そんな野垂れ死んだ人生の最期だからと言って、悲観した人生だった…。
とも言えないところが、人間が生きて行く上で不思議なところ。

沢山の親戚縁者に囲まれて幸せに死んだとしても、列席した親戚関係の人の中には、「あ〜あ、早く死んでくれないかなぁ〜!」と、思わていたりや。周りの兄弟や親戚縁者の顔ぶれを眺めながら、自分の懐にはどれ位の相続が入るのか…。
そんな思いを持たれながら死に至る人だって居る事でしょう。

この作品で仲代達矢演じるおじいちゃんは、若い頃から好き勝手な振る舞いや言動から、血の通った肉親からも疎まれている人物でした。

もしも人間1人1人に生きて行く人生の中で、我が儘を言える回数が決められていたとしたら…。

果たして使い切った方が得なのかどうか?
その結果として、最後に道端で野垂れ死んで行ったとしたら、その人の人生は悲しい最期だったのか?は解らない。

ひょっとしたら、多くの人に囲まれた幸せな最後であっても、死ぬまで我が儘を言わなかった事は、人生に於いて得だったのかどうか?…それも解らない。
全ては、神のみぞ知るところでしょう。

お金だって我が儘と同じなのかも知れません。
沢山の貯蓄をしたとしても、「使い切れ無ければ単なる紙屑同然だ!」と言って、宵越しの金は持たないと決め込む人は少なからず存在します。
尤も子供が居るなら話は別です。自分のDNAを残す子供には、なるべくお金を残してやりたいと考える親は少なくありません。
また、子供が居なくても、ただただ貯蓄の金額が増える事を生きがいにしている人も存在します。

映画の途中で柄本明演じる弟が、兄をなじる場面が印象に残りました。
昔は羽振りが良かったのだが、バブルが弾けてしまい不動産業が傾いてしまった弟。
今は家と土地を売り払い、マンションの狭い一室に妻と2人で慎ましく暮らしている。
それでもまだ不動産王になるべく、夢は捨ててはいない。
今はこんな暮らしでも、新聞は隅から隅まで読んで日本経済の行く末を予想し、「将来に備えているんだ!」と、うそぶく。
おそらく自分でも、それがどれほどの夢物語なのかを知っている筈なのだが…。
彼もまた子供が居なかったばっかりに、宵越しの金は持たない主義だったのかどうか…。
どうやらバブル期の勝負に負けてしまった1人の様です。

そんな彼も「今更どの面下げて…」と言いつつも、最後はお金が余っている訳では無いのに…。その性根の優しさに惚れている妻役の美保純は、春にはっきりと苦しい内情を語ります。
彼もまた、ニシンで失敗した兄と同じ兄弟の血筋を引いている人物だったのです。

振り返って考えると、最初に訪れた大滝秀治と、菅井きん演じる長男夫婦。
長男は次男をなじり倒した挙げ句の果てに、子供達の意見には逆らえない…との本音を漏らす。
おそらくは、将来を子供達に養って貰わなければならない立場に居る弱さを、滲ませているのだと思わせます。
この長男も、次男との話振りを見れば解る通りに、若い頃には自分勝手な生き方をして来たのだろう事は容易に想像出来ました。
血は争えないものだと感じます。

その様にこの映画の内容は、徳永えり演じる孫娘と共に、家族を頼って生きて行かなければならない事を悟ったおじいちゃんと孫娘のロードムービーです。どこか今後益々増え続けるであろう高齢化社会の縮図を見る思いでした。
実は観ている間に、或る1つの日本映画の名作を思い出しながら観ていました。

小津安二郎監督の名作『東京物語』。

血の通った兄弟よりも、血の通っていなかった義理の人物の方が…。
この作品でも最後には、『東京物語』での原節子にあたる人物として、戸田菜穂演じる女性が登場します。
かねてよりフランソワ・トリュフォー等のファンで在る事を公言している小林政広監督だけに。そんなヌーベルヴァーグの映画作家達が、過去の作品にオマージュを捧げた作品作りを、おそらく意識しながらの脚本作りだったのではないでしょうか。

彼女は何故、何の義理も無いお爺さんに対してあんな提案をしたのでしょう?
単に監督自らが書いた脚本上で、『東京物語』へのオマージュとしてだったのでしょうか?
それとも内情を聞いていた事から、再婚した相手を悪く思わないで欲しいと願っての事からだったのでしょうか?
一応セリフでは、父親を知らずに育った過去が有り、再婚相手から聞いた人物像に、これまでの人生で見た事の無い人物では在っても、父親の様なイメージを勝手に抱いていた感じでは有りました。

でも、ひょっとしたら再婚相手と同じ匂いを感じたのかも知れません。

牧場を捨て漁師の娘のもとに行った次期のある再婚相手。
多分出逢った当初は魚の匂いがしていたかも知れません。
そう言えば旅館で春がおじいちゃんに「お風呂は毎日入るんじゃなかったの?」と聞いていました。
「入らない…」と答えたおじいちゃんの一言。、
この言葉で、観客はこの旅に対するおじいちゃんの決意の強さを知る事になります。
訪ね歩く兄弟の家の先々で、窓を開け空気を入れ換えようとしていたのは、その習慣が残っていたからなのかも知れません。

少し匂いの方に脱線しました。

もう1つオマージュに関して言えば、淡島千景演じる姉を訪ねて行く場面で画面構成が不思議なシーンが有りました。
会話が会話として成立していないのです。
映画を観た人全てが、一瞬「あれ?」と思う筈です。
まるでゴダールの『男性・女性』を思い浮かばせるシーンでした。
案外と単純に、出演者達のスケジュール調整が上手く行かずによる苦肉の策による演出だったのかも知れないのですが。
『東京物語』には小津安二郎独特の辛辣な目線が入って入ると思えるのですが、この作品では長男に四男。そして最後に登場する、小林作品での常連俳優香川照之の描かれ方を見ると、小津安二郎の辛辣さに比べてかなり家族の血縁の深さを感じ取る事が出来ました。

突き放す様に見えても、最後には兄弟としての優しさが感じられるのです。
寧ろ1番受け入れ易そうで、常識人的な人物として描かれている姉の淡島が、春に対して仲代を「突き放さなければ駄目よ…」と諭す。
一見すると1番優しい口調ながらも、次男を受け入れる話に対しても「それだけは絶対に駄目!」と言い放つ。
そこはやはり姉と弟の関係で在りながらも、やはり男女の考え方の違いを観て居ながら意識してしまう。

またこの作品では、今までの小林作品同様に、映画全編でワンシーンワンカットが使われていました。

仲代達矢は脚が悪いとゆう設定の為に、終始右足だろうか?絶えず引き摺りながら歩いている。
逆に孫娘役の徳永えりは、絶えずおじいちゃんから「あれしろ!これしろ!」と言われ続けて来たからでしょうか。それまでの人生で絶えず、ちょこまかちょこまかと動き続けて来た事を想像させます。
腕を左右に翼の様に広げ、がに股でちょこちょことペンギンが飛び跳ねている様に、走る場面が多い女の子です。如何にも田舎育ちの女の子らしい仕草でした。

この作品の中で、この2人は一体どれだけの食事を取ったのだろう。うどんを蕎麦を。コンビニのお弁当を、
食堂を経営する田中裕子演じる三男の内縁の妻との触れ合いでは、結んで貰うおむすびを…と。
人間は食べなければ死んでしまう。
食べよう!と言う意識がまだ有る内は、このおじいちゃんに春はまだまだ一緒になって人生を歩いて行かなければならない様です。

最初に記した言葉は、春が長年思っていた気持ちです。
映画の中には登場しなかった人物を想いやっての一言でした。
言いたくて言いたくて溜まらなかった言葉を、やっとの事で振り絞り伝えた春。
その言葉を只黙って聞いていた人物。
その場には居合わせては居ないものの、春の心中を察してか、昔を懐かしむ様に2人で食事を取りながら、「実はな…」と語りかけるおじいちゃん。
ここで終われば、かなり余韻を残す映画の締め方でしたが、映画は更にエピソードが有りました。

その意味は、作品を観た人それぞれがどう感じたかによって解釈が色々と変わると思います。
色々な意味で考えさせられる作品でした。

多少音楽が過剰になる箇所も有りましたが、今回は今までの小林作品の様に、監督自らの歌が無理矢理入る事が無かったのは、良かったと思います(笑)

(2010年6月2日丸の内TOEI 2)

松井の天井直撃ホームラン
松井の天井直撃ホームランさん / 2015年4月12日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい
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孫娘役の徳永えりが上手くて見所

総合60点 ( ストーリー:60点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )

 自分の将来を考えて閉鎖された社会から抜け出すため邪魔な祖父を処分したい孫と、そんな孫の気持ちを察して荒れながらも邪魔者である自分を認めて嫌々兄弟を頼ろうとする祖父の話は、考えてみればせつない。人間関係を見つめなおす旅になるのだけれども、長年密接な交流が無いままに突然訪ねた兄弟たちの身の上と、主人公である祖父の家族の話に距離があるし、老人の老後の世話の話なのか家族関係の話なのかちぐはぐにも思えた。兄弟たちよりも、もっと祖父の家族を掘り下げても良かったのではないか。血縁関係というだけで老人の世話を引き受けるのも難しいのは最初からわかっていただろう。結末に近づくにつれて話が都合よく流れていくのもやや興醒めした。
 出演者の演技は良くて、特に徳永えりという若手女優が祖父と暮らす田舎娘を演じて、大物俳優たちに引け目をとらないばかりか互角以上に渡り合っていた。特に父親との場面は上手かった。ただし仲代達矢、人生の賭けに失敗した貧乏で頑固な漁師というにはかなり都会的な雰囲気で、私の知っている漁師像とは異なった。場面場面でさりげなく流れる音楽は悪くなかった。

Cape God
Cape Godさん / 2014年11月29日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  難しい
  • 鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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気が合うんだな、俺たち。 ネタバレ

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映画「春との旅」(小林政広監督)から。
世の中には、いろいろな事情を抱えた人が、
いろいろな人間関係の繋がりを感じながら、
解き(ほどき)、結ぶ行為を繰り返して生きている。
物語は、仲代達矢さん演じる主人公を通じて、
家族・兄弟・そして祖父と孫という微妙な関係を、
表現している気がしていた。
そして最後に現れたのは、主人公のひとり娘の夫と、
離婚したあとその夫と結婚した妻、言い換えれば、
主人公とは、まったく関係のない女性が、
「できることなら、一緒に住みませんか」と誘う。
驚きとともに、遠慮する主人公に、こう投げかけた。
「他人であっても、人は人。
気が合えば、それが一番じゃないですか」と。
深い繋がりを感じていた、血縁関係よりも、
「気が合う」というキーワードで繋がった他人同士、
それもまた然りだな、とメモをした。
「孫娘・春」と旅をした主人公、最後に気付いたのは、
「気が合うんだな、俺たち。」という関係だった。
気が合う、ウマが合うって関係は、捨てたものじゃない。
そんなふたりの関係に、最後は拍手をしてしまった。

P.S.
冒頭でふたりが降り立った駅名「増毛駅」と
19歳になる孫娘のガニマタ歩きが気になって仕方なかった。
どうみても、意図的な演技たよなぁ、あの歩き方。

shimo
shimoさん / 2014年6月17日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  泣ける 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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名優の共演

名優、仲代達矢が頑固で孤独な老人を熱演している。確かに孫娘はいつもそばにいるのだが、やっぱり孤独なんだろうと思う。そういう悲哀を仲代達矢はみごとに演じているのだと思う。徳永えりは、この名優を相手に見事に渡りあっていた。終盤の蕎麦屋のシーンがいつまでも心に残る。

OAkatuki
OAkatukiさん / 2013年10月29日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 悲しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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人生って。。。

よく出来たヒューマン作品です。

演技派の役者が揃っていたので作品自体が締まっていたし、徳永えりの野暮ったい田舎娘の演技も良かったです。

人生の終焉に人の温かさに触れたおじいさんの最後の顔は、幸せそうで、
自分もそのような最後を向かえられたら良いなと感じました。

酒馬仙
酒馬仙さん / 2012年1月21日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  泣ける 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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さあ、困った・・・ ネタバレ

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「白夜」「バッシング」などを世に送り出してきた小林政弘監督が、仲代達矢、徳永えりを迎えて描く、小さな旅の物語。

仲代、徳永の柔らかく、丁寧に思いを描き出していく繊細な演技に心を奪われる。その男と孫の旅を支える、大滝秀治、香川照之、柄本明といった名バイプレーヤー達。そして、戸田菜穂、菅井きんといった男達を静かに見つめる女優達。あるべき場所に、あるべき人がいる。これまでの小林監督のキャリアの集大成ともいえる、重厚な一品に仕上がっている。

が・・困っている。どうにも、私にはこの作品を「くたびれた男と、その孫の、終の棲家を探す旅」と単純に書いてしまうことに抵抗を覚えてしまうのだ。物語は、進む。苦しんでも、立ち止まりそうでも、二人は歩いていく。その中で、男と孫の交わしていく目線が、家族を思う慈愛のそれから、愛する者を、熱を込めて想う愛情のそれに変わっていく。それが、私の言葉を立ち止まらせてしまう。

冒頭、男は寂れた旅館で一杯のカップ酒を震える手でかっ喰らう。それは人生の終わりを待つ、一人の孤独な老人の動きではない。人生を、自分の男としての旗をもう一度挙げようとする情熱と、力強さがある。孫は隣の浴室で、男の気配を感じながら歌を口ずさむ。もう、この一説から物語は、孫が爺を思いやる構図から、女が男を想う世界が浮かび上がってくる。

「私たちは、離ればなれになっちゃいけないんだよ」終盤になり、女は、男に向けて優しさに満ちた美しい眼差しを向ける。血縁を超えて、同情を超えて、そこには一組の男女がいる。小さな家族の物語としての側面を持ちながらも、私には男女の情念を強く謳いあげる世界が強く心を打つ。

さて・・困った。多くの人が家族の姿を描き出す秀逸なドラマを絶賛しているのに、私がこんな視点を提示しても良いものか。しかし、私はこの物語が好きだ。男が、女が、可愛いから。笑顔と愛をもって向き合う二人の未来は長くは無かったかもしれない。それでも、出会えたから、一緒にいられたから・・・それで、いいのだと思える。そんな幸せが、良い。

ダックス奮闘{ふんとう}
ダックス奮闘{ふんとう}さん / 2011年2月15日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  泣ける 幸せ
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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小林政広監督作品鑑賞4作目にて初の満点!!!

『ワカラナイ』を
わかりやすくしたら
こんな感じになるのかなぁ
小林監督、わかりやすい映画も撮れるんですね(驚&苦笑)

〈 あなたの夢に潰された 〉
〈 人って自分のことしか考えられないの 〉

第一稿を作ってから足掛け9年。
ようやく完成。そして公開。これまで
観てきた3作は、この作品のためにあったのではないか、そんな気にさせられました。

話のわかりやすさだけでなく、
テンポのよさ、なによりも一番驚いたのは
音楽を多用していることと、その音楽が素晴らしいこと。

大好きな手持ちカメラの撮影も
春が仙台でホテルを探すシーンくらいと今回は極力封印。

なにか小林監督にとって一区切りといいますか、
一旦、映画人生でここまでの集大成を製作しました、それくらいの熱い思いが伝わってきました。

◇   ◇

「いつものことじゃん」

そう云われてしまえば反論できないのですが、
私、実はオープニングカットで早々に落涙していました。

仲代達矢さん、徳永えりさん
セリフを交えることなく、喧嘩をしつつ、
歩いたり、座ったり、座る距離を詰めたりする
(これがラストの伏線だったりする。この辺も
 巧いというか小林監督作品で、このような比較的
 わかりやすい技法を用いられた作品は初めて観た)。

このお互いの距離感、表情に
おふたりの関係のただならぬ
愛情の深さを感じてしまいまして
「これはスゴイ映画になるぞ!」と
スイッチが入り涙が頬をつたってしまいました。

◇   ◇

撮影は順撮り。
役者同士、あまり話さないように
小林監督からは指示が出されたそうです。

徳永えりさんに対しては一番厳しく
接したそうで、某シーンでは一切寝させず、
また撮影をしたにもかかわらず、そのシーンを
カットしたりして、彼女の張り詰めた佇まいを作りあげたそうです。

この辺りは、
『ワカラナイ』の主人公の男に対する演出と同じですね。

ワンシーンワンカットを基本に、
序盤に登場する大滝秀治さんと
相対するシーンなど、超望遠レンズで撮影をし、
役者さんからはキャメラが全く見えない状態で演技をしてもらった。

もうこの時点で、
小林監督が今作にどれだけの精魂を込めたのかがわかる気がしました。

◇   ◇

徳永えりさん。
某大手新聞のインタビュー記事によると
「自分自身も今作の春と同じような体験をしている」とのこと。

体験していることで演じやすかったのか
演じにくかったのかまでは触れられていませんでしたが、
『フラガール』『うた魂!』『ブラッディ・マンデイ』一番存在感があって良かったです。

最初から最後までガニ股だったのは、
そこにどんな演出意図が込められているのか
結局、最後までわかりませんでしたが、順撮りが
功を奏したのか、心の変化、揺らめき、といったものが痛いほど伝わってきました。

そんな中でも、その痛みが最高潮に達したのは、
香川照之さん vs 徳永えりさんのツーショット。

お互いの気持ちの痛さが、あまりにも強すぎて、涙が溢れない。

しかし「どうして許してくれなかったの!!」
徳永えりが泣き叫ぶ、このセリフで強すぎる痛みに
涙腺を破られてしまい、肩を震わせながら泣いてしまいました。

◇   ◇

血の繋がりのある愛
血の繋がりのない愛

家族を顧みず自分の夢だけを追い求めた祖父。
そんな祖父と孫娘との旅は、祖父の我侭から
始まったように見えましたが、愛する孫娘へ
祖父が贈る最期の授業、そのように映ったのは私だけでしょうか。

ラストシーン。

「春、ありがとうな・・・・・・」

我侭で好き勝手をしてきた
祖父に似つかわぬ言葉が、私の耳には、ハッキリと届いてきました。

☆彡     ☆彡

見たくて仕方のない映画だったので
事前に情報入りまくり期待もしまくりでしたが、
軽々とそのハードルを飛び越えてしまいました。

文句なしの5点です(笑顔&感涙)

septaka
septakaさん / 2011年1月18日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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自分としては、まあまあかなあ

評判がとてもいいので、普段見に行く映画館ではやっていないのに、わざわざ上映している映画館を探して見に行きました。

 結果としては、自分としては、まあまあかなあ。たぶん、登場人物と自分とは環境が違いすぎるので、充分に感情移入できなかったのかも。

 春を演じた徳永えりという女優さんは、『フラガール』で蒼井優の親友役だった人。その後どうしているんだろうと思ったら、こんなところで再会。
 『フラガール』では、蒼井優とフラダンスの練習を始めるものの、父親にバレて、ボコボコに殴られて引越していってしまう役。『春との旅』の春も、なんだかうつむいてばかりで口数も多くない地味な女の子役。薄幸な役が得意なのか…。それにしても、春がガニマタで走るのが気になってしょうがないのですが、あれは演技??

 今回行った映画館は、錦糸町の楽天地錦糸町シネマ。シネコンばかり使っている私にとって、久しぶりに行く昔ながらの映画館です。
 チケットを買うときに上映時間を伝えたら「このチケットでどの時間でも入れますから」と言われてしまいました。そういえば、昔の映画館ってそうでしたね。で、指定席じゃないので、20分ぐらい前に劇場の脇の通路で並んで待ちました。
 待っているお客さんの平均年齢の高いこと高いこと。『春との旅』の客層なのか楽天地シネマの客層なのか。この人達が行列作って待たなくてもいいように、座席指定スタイルにした方がいいんじゃないかなあ。デジタルだの3Dだの、設備の導入は大変だろうけど、チケットの販売方法ぐらいなら変更できそうなものだけど。

ringo
ringoさん / 2010年8月15日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい
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すばらしい

久しぶりに日本映画とはこういうものだというのを感じた作品。脚本キャスト共に素晴らしい。洋画よりだったが邦画の凄さにあらためて気づけた

ryooooooo
ryoooooooさん / 2010年7月19日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  泣ける
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見ておいたほうが良い作品! ネタバレ

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主役、脇役全て、演技達者、しかも高齢の方々なので、どうしても見ておかなくては!という思いで、ものすごく期待して見に行きました。
仲代さんは上手いけど、あまりの演技の上手さから知性を感じてしまい、役の環境と違和感がありました。
孫娘、春の歩き方は何を意味しているのか、理解できませんでした。(田舎の娘を表わしている?)
ストーリーもあまり共感できませんでした。わがままな老人を、心優しくて肉親が他にいない孫が、捨てきれない。これは、現代の老人問題とは少し違うように思います。
いくつかの違和感はありましたが、すべてのキャストが、数分ずつの登場ながら拍手したくなるほど上手くて・・・。ほんの数行のせりふで十数年の生活を、感情を、表現できる、共感させられる、すごい技術ですね。素晴らしかったです。
やはり「見ておいたほうが良い!」作品でした。

kyou
kyouさん / 2010年7月8日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける
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身につまされました

久しぶりに邦画で映画の為の原作・脚本を楽しませていただきました。
 人は小さな寄り添いが壊れそうなときに、冒険が始まる。
 人の個人個人の事情、家庭の事情を次々と見せてくれます。
 訪ねた長兄はもっともらしい話をしているが、別れのときの言葉は、寂しいものがあり、現在の時代の流れを良く表している気もします。
 気の抜けない兄弟めぐりの中でホットさせるのは、食堂での場面ではなかろうか...
 ほほえましい笑いとペーソスをふんだんに取り入れた見ごたえのある物語になっています。
 主演の仲代 達矢・徳永えりも含めて芸達者がそろって見せてくれます。
 よくもマア、これだけの芸達者を動員したものだと感心させられます。
(ほとんど年寄りばかりですけど)
 年寄りの頑固さと、忠雄老人のわがままを、巧く表現しているとの印象。
 祖父は祖父なりに、孫は孫なりにお互いを
いたわり合うことは、お互いに不器用ながら出ていたと思います。
 人間は自分の蒔いた種により苦しめられ、自分の蒔いた種により喜びを与えられることが解るような感じに仕上がっています。
 面倒を見てくれる孫がいて幸せであり、若い孫のことを考えると....兄弟との関係も..
元義理の息子夫婦との関係で、ほっとしますが出来過ぎのの感もあり...
 カメラワークも良く画面画面が巧く構成されて美しく、無駄の無い撮影がされている。
 やさしく、シンプルなテーマ曲も映画に合っている。
 原作・脚本・撮影・テーマ曲などどれをとってもいい出来だと思います。
 ただ、自分の年のことを考えると寂しいものを与えられたような気もします。

試写会3
試写会3さん / 2010年6月28日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 笑える 悲しい
  • 鑑賞方法:映画館
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人生を見つめる旅路

拙ブログより抜粋で。
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 望遠レンズで捉えられたいきなり家を飛び出すセリフのない冒頭に始まり、名優・仲代達矢と対等に渡り合うまだ若い徳永えり、最初に訪れた先の兄・重男を演じる大滝秀治と仲代達矢の長回し撮影の長ゼリフ、と、緊張感に満ちた画面にしょっぱなから引き込まれた。
 ときに可笑しくもある市井の人々の生きる姿を優しい視点で拾いながらも、この心地いい緊張感は最後の一瞬まで途切れることがなかった。

 映画の中での個々の出会いと別れには大仕掛けなドラマがあるわけじゃない。大変でも辛くても、それでも生きていくことへの真摯なまなざしが、やがて感情のうねりとなって大きな感動を呼ぶ。

 訪れる先の家庭はいずれも何かしら問題を抱えている。それは老いの問題だったり、不景気だったり、不器用な生き方だったり。しかし皆、今を生きることに前向きだ。
 身勝手に生きてきた忠男を軽くあしらいはしても、厳しさと同時に優しさも忘れない。
 オルゴールの音色のような飾りっ気のない人間ドラマが心に響く。

かみぃ
かみぃさん / 2010年6月10日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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『経済的価値無し』のレッテルを貼られた人間には生きる価値すら認められないのか [各所修正]

リアリティと寓話的な雰囲気とを併せ持ったロードムービー。

仲代達矢演じる偏屈な老人は、長く疎遠になっていた兄弟達に居候させてくれるよう頼んで回るが、次々に拒絶される。
それは彼の身勝手な言動が祟っての事でもあるが、一番の理由は、彼が脚を悪くして働くこともできないからだ。

風の吹き荒ぶ寂れた街並みが、僕自身の故郷とダブって見えた。閉めきった店が目立ち、高齢の人々ばかり目につく街。
いつ食えなくなるかも分からない生活に対する不安や、齢を重ねる毎に強まる孤独感のようなものが、映画全体を重く覆っているように思える。
その日暮らしの生活を送る人間に、働けない者を養う余裕など無い。ましてや今は、近隣住民が助け合って生きていたという古き良き時代でも無い。
そんな時代においては、『社会的(経済的)に不要』とのレッテルを貼られた人間は、最早生きる価値すら認められないというのか。
「それなら俺、生きられねぇじゃねぇか」
寂しげに笑いながら呟く仲代達矢の台詞が、ズシリと重い。

“生きられない”老人と孫との旅は、結果的に『拙いながらも人と人とは繋がっている』という事を孫に伝える旅になった。孤独を埋め合うように生きてきた老人が消えても、彼女はきっと生きていける。物語の結末は、彼女を解放するという意味では最良の結末だったのかもしれない。
と同時に、こんな結末が『最良』となってしまうのが今の時世なのかと思い、やりきれない気持ちになった。

良い映画だと思うが、不満もある。
物語が終盤に近付くに連れ、映画はだんだん人工的な臭いを漂わせ始める。台詞がどんどん説明的になってゆくのだ。
特に香川照之との会話はまるで手品の種明かしでもしているかのようにとにかく喋り過ぎる。皆まで言わずとも観客は分かってくれます。逆にこれでは作り物臭さが増して、夢から醒まされたような心持ちになる。
音楽も主張しすぎだ。良いシーンでここぞとばかりにがなり立てられては興醒めだ。

最後に役者さんについて。
脇役に至るまで素晴らしい演者が配されたこの映画だが、中でも主人公を演じる全キャスト中唯一の20代、徳永えりが頑張っている……物凄く頑張っている。
芝居が一本調子という感じもしなくはないが、仲代達矢を始めとした超大御所の群れを相手に一歩も引かない堂々たる演技。祖父に対する心配と嫌悪とが入り交じった眼差しが素晴らしく良い。今後の期待大です。

<2010/5/22鑑賞>

浮遊きびなご
浮遊きびなごさん / 2010年6月6日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  悲しい
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人生の「春」を探しに行く旅

小林政広監督は、映画作りに貪欲である。近年、「バッシング」「愛の予感」「ワカラナイ」と話題作が続き、今回の「春との旅」。このラインナップをこのペース、貪欲じゃないと身がもたなそうだ。

 小林監督は人物を、まずは歩くことと食べることで描写しようとしている気がする。歩き方と食べ方。確かにその人柄がよく出る行為なのだ。忠男の歩き方、春の走り方。これは最初から最後まで延々と繰り返される。それが人間の生命の営みなんだもの、仕方ない。このシークエンスを眺めているだけで、これまでの二人の人生がみずみずしい映像となって頭に浮かんでくるような感触を味わう。この演出、描写力が作品の揺るぎない柱となっている。見事。

 奇をてらうこともなく、ひいき目でもなく、批判するわけでもなく、カメラはひたすら2人を追い続けていく。このカメラ(視線)に耐えられるのが、仲代達矢なんだ!と思った。そして徳永えりの芝居も想像以上にかなりいい。イラつき、憐れみ、思いやり、焦燥、慈しみ、それはもうぐちゃぐちゃの感情が入り乱れる旅なのだ。国家にも政治にも世間にも干渉されない、2人だけの旅。生活がかかっている旅。出会う人、すれ違う人は多けれど、やっぱり2人だけの旅。人生の春を探しに行く旅。

 「ワカラナイ」に続き、音楽がいい!

ikuradon
ikuradonさん / 2010年6月3日 / PCから投稿
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自分をふり返る旅。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

どうなんだろう、この作品^^;
私にはこれから老いていく全ての人々へ
「いいですか、こんな老人になってはいけませんよ!」
というメッセージなのか?とも思えたけど。
私的に分析すれば、自分の生い立ちや両親との関係、
さらには祖父母とどのような関係を築いてきたかで
話への関心具合が変わってくる作品のように思えた。

おそらく誰にでもこの爺さんのような時がくる。
しかしこの爺さんには孫がいて、自分の世話を
してもらっていたのだから、まだかなりいい方だ。
これから先の未来、こんな風に家族が世話をできる
環境の家がどれだけ残るんだろう。と思ったほどだ。

唐突に始まる冒頭場面。怒り心頭、といった面持ちで
あばら家から飛び出してくる爺さん。杖を放り投げ、
足を引き摺って歩く爺さんを必死の形相で止める孫。
何これ…?と旅の始まりがまったく分からない^^;
行きつ戻りつ進みながら、やっと辿り着く最初の家。
どうやらこの爺さんと孫は、兄弟宅を訪ね歩いては
爺さんの今後の世話を頼みに来たようだ。そもそもは
孫が働いていた小学校が廃校になり、孫が上京して
家を出るから、といった話に起因するようだ。
やーっと分かったぞ。と思ったら、もう次の二軒目だ。
すでにこの時点で、こんな爺さんを受け入れる家族は
誰もいないだろう、とこちら側も推測できる^^;

我儘を推し通して生きてきたんであろうこの爺さんは、
人生全てに見通しが甘く、常に誰かの世話になって
どうにかしてもらおうという魂胆が見え見えなのだ(爆)
もちろんこうなるのはこの爺さんだけのせいではない。
それを受け入れてきた家族、兄弟、孫の責任でもある。
どうせこんな旅を続けたところで、誰も快く了承など
するはずもない。多分この爺さんはそれを承知の上で
この旅に出たんだろう。そして孫はこの爺さんをひとり
にはできないと悟り、引き返そうとする。さて…。

冒頭からラストまで、仲代達矢を観る為の作品である。
偏屈~頑固~食い意地~甘ったれ~イジケ虫~ありと
あらゆる表情と動きを素晴らしいまでに彼は魅せる^^;
兄弟ごとの甘え具合も絶妙(爆)特に姉役の淡島千景を
慕って愚痴をこぼすところなど、転じて笑えるほど巧い。
その姉が孫と弟の将来を案じてビシッと決める言葉が
素晴らしい。当たり前のことなんだけど^^;そうなのだ。
決して憎くて突き放すのではない。本当は弟が可愛くて
仕方ないという姉の表情を見事に決めるところもさすが。
他の役者も皆巧いため、演技に対する云々は全くない。

ただ。
どうしても気になったのが孫役の徳永えりの歩き方。
あれはワザと?なんだろうか。今時の女の子があんな
ガニ股でバタバタ歩くんだろうか。どうにもおかしい。
あの子が動く度に違和感が生じ、集中できなかった^^;
どうなんですかね、監督。

必ず訪れる老いや転機を題材にしたいい話なのだが、
全ての世代の共感を呼ぶにはおそらく難しい作品。

(ところで仙台って学会が多いんですか?困ったなぁ^^;)

ハチコ
ハチコさん / 2010年5月30日 / PCから投稿
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人生とはつらいものですね。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

豪華キャストで描く家族ドラマ。

北海道の元漁師である忠男は、孫娘の春と共に、ある日突然、家を捨てて旅に出る。

旅の目的は住む家を求めて、親戚縁者を訪ね歩く旅。ただ家族との過去の確執から助けてくれる兄弟はおらず、忠男は自分の人生を見つめ直すことになる。

その中で、自分が如何に自分勝手に生き他人に迷惑をかけてきたか、今も孫娘におんぶに抱っこであることを、足が不自由でつい甘えてしまう自分の姿に情けなさを感じつつも何も出来ない惨めさに苦しみながら旅を続ける。

春も忠生という重い荷物を背負っているという実感から、つい発してしまった一言がこの旅の始まりとなってしまったが、自分にとって忠男(家族)が如何に大切な存在であるかを旅の中で再認識する。

人生は常に厳しいものであることや、人生とは何か?考えさせられる作品。

また家族と老後の付き合い方にも問題提起しているのでは?

人は人に寄り添って生きていく。

良いときも、悪いときもー。

かず君
かず君さん / 2010年5月18日 / PCから投稿
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春との旅 -

忠男の孫娘、春のなにげない一言が、思いがけずも忠男にひとつの決断をさせることになる。

そして、春との旅ははじまってゆく。会うことも久しい、親戚たちを巡る旅。

忠男にとって、春との旅は、自分自身へのけじめを付ける旅だったのだろう。

一方、春にとっては、なにげない一言で忠夫を思い詰めさせてしまった罪悪感をぬぐえないまま、戸惑いつつも忠男に寄り添い旅を続けてゆく。そして春自身にとっても、いつしかそれは自分自身へのけじめを付ける旅になっていく。

老いた男にとっても、人生これからの孫娘にとっても、自分自身が次のステップに”成長”していく上で、お互いそれぞれにとって大切な旅に違いなかったであろう。厳しいのであるが、それはまた致し方ないことなのだ。それが人生なのだから。

人生の終演をどうやって迎えられるのか?送り出してあげられるのか?という家族にとっては厳しくとも避けられないテーマについて、丁寧に掘り下げられた良作だと思う。偏屈で頑固な老漁師を演じる仲代達也さんの迫力満載の演技や、取り巻く実力派役者さん達の演技もさることながら、孫娘、春を演じる徳永えりさんの感情のこもった熱演が秀逸!!後半にかけてのクライマックスは前半の抑揚をさらに増幅させるかのような感覚で、親の立場・子供の立場、いろんな立場で感情移入できるステキな映画ではないかと思う。

精一杯の愛情で「づっとそばにいるからね」という、春の心境を察すると、あまりにも切なくなってしまう。でも、そうやって経験して人は強くなっていくのだ。

bigsea1986
bigsea1986さん / 2010年5月12日 / PCから投稿
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老人たちが主役だが、若い人たちが見るべき作品

 この作品で何回も出てくるのが、寒いのにもかかわらず外気を入れるために窓を開ける、という演出だ。締め切った部屋の窓を開けるのは、空気を入れ替える、風通しを良くする、との意味でするものだが、それは、この作品のテーマであり、一番の見どころを表現している。

 北海道のさびれた港町から、孫の春が失職したために、一緒に暮らしていた祖父の忠男は自分の老い先の面倒をみてくれるところを求めて、春といっしょに兄弟の家を訪れていく、というこの作品の物語は、筋だけ追っていくとよくあるロードムービーという印象を受ける。しかし、内容は「人生の孤独」を見据えた深みのある人間描写がいくつも演出されていて、観る者に深い感動をもたらしてくれる。その導入部の意味で、窓を開ける演出が何回も出てくる。

 歩くことも辛いほど身体がいうことをきかない祖父の忠男に、懸命につきそう、ようやく二十歳になる若い孫娘の春の姿は、とても健気に見える。しかし、春は自分のために都会に出て働きたいとの思いから、忠男から離れようとしている。しかし、両親がいなくなってしまった春にとっては「人生の孤独」への一歩へとなる怖さがある。
 一方の忠男は、ニシンを求めて家を出て行き、兄弟とは疎遠となり、そして娘や孫にも捨てられようとする「孤独な人生」を歩んできた。その二人の旅する姿だけでも切なくなってくるのだが、窓を開けてからはじまる、忠男とその兄弟たちの会話は、さらに切なさが伝わってくる。

 人は老いていけばいくほど、心が狭くなり、余計にガンコになり、自分のことしか考えなくなって人を受け入れたがらない。それは血が濃い兄弟や親類ならば、なおさら心が通い合わなくなるケースが多い。この作品は、そんな老いた人たち特有の心がもたらす「孤独感」を、長回しという緊張感のある演出から見せる。窓を開けるという演出には、人を受け入れる心を開く、という意味が込められているのだ。
 しかも、この作品では若者の「孤独感」にも鋭い視線を投げかけている点が、実に興味深い点だ。

 老人と同じく、若ければ若いほど視野は狭く、生意気と言われると他人への思いやりが粗雑になり、自己中心などと言われるようになる。この作品の孫娘・春にも、人への思いやりに欠ける、若者らしさが見える。その心の窓を開けようとしていくのも、この作品の大きな見どころだ。春が人に対して心を閉ざしがちなのは、彼女にまつわる悲劇も要因しているのだが、だからこそ、これから「孤独」と向き合う人生に不安を感じだす春には、とても共感する部分が多い。

 この作品の試写会に来ていた人は、とても年齢層が高く、一般公開まで年長の人向けとして喧伝されるだろうが、私個人としては、若い人が見るべき作品だと思う。「孤独」と向き合うことを怖がる人が多い若い世代には、この作品から生き方の指針が見つけられるような気がするのだ。心を開くことの大切さを、若い人たちにこの作品から感じて欲しいと思う。

 この作品は、演出の良さと役者の演技の素晴らしさが上手く融合しているのだが、中でも登場シーンはとても短いのだが、美保純の後ろ姿の演技には感銘を受けた。忠男の弟の妻を演じているのだが、わからず屋でガンコなところがある夫を理解している優しさがあるという性格を、後ろ姿だけで見せた演技は特筆すべきものだった。春を演じた徳永えりなど、珠玉の演技者たちを見るだけでもねこの作品は一見の価値があると思う。

こもねこ
こもねこさん / 2010年5月6日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
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厳しさの中に隠れた、互いの思いやりを垣間見るとき、最後は涙を押し切れないほど、ホロリとさせられます

 もうこれは仲代達矢のワンマンショーといっていいくらい作品です。実年齢と近い仲代は、脚本にほれ込んだと言い、卓越した演技力で、頑固かつ偏屈な忠男を生々しく演じきりました。
 この忠男に対する仲代の思い入れには、凄みを感じさせられることでしょう。
 もうチョットでオーバーアクションになるギリギリまで、仲代は忠男の頑なさを出し切っています。春役の徳永えりとの息もぴったりで絶妙!
 加えて小林監督の演出は、ゆったりとしたカット割りに、少なめな台詞が持ち味。セリフのない「表情」や「間」に魅せられます。じっくり芝居を見せる作品なんですね。恐らく年末の映画賞レースで各賞にノミネートされる傑作でしょう。

 冒頭、北海道の荒海と寂れた漁村にパンしていきます。その荒涼とした光景は、寒風が肌に突き刺さってきそうなほど寒々しいものでした。
 その漁村に佇む一軒家から、老漁師の忠男が家から飛び出し、その後を孫娘の春が慌てて追いかけます。
 説明的なセリフはほとんどありません。
 春と忠男が暮らす漁師町のカメラワーク一発で、作品の世界に引き込まれてしまいました。ふたりの抱えた事情は、次第に分かっていきます。春との旅は、決して桜が咲いて春の到来を告げる旅ではありませんでした。春の母が死んでしまい、老いた忠男とふたりだけの暮らし。それなのに春は仕事を失ってしまって、生活がピンチに。止むを得ず、忠男を預ける先を探す旅に出たのでした。
 これはもう現代の姥捨物語といっていいお話しです。小林監督版「櫓山節考」といってもいいでしょう。もちろん春に祖父を捨てる意思はありません。けれども、いく先々の親族で拒絶されて意固地になっていく忠男の姿に、それを見る思いでした。

 旅のなかで、生きることの厳しさを、ふたりはたっぷり味わいさせられます。そこには、老いの悲しみと肉親の感情の葛藤が綴られていました。でも本作が巧みなのは、その厳しさの中に隠れた、互いの思いやりを垣間見るとき。最後は涙を押し切れないほど、ホロリとさせられます。それが実にいいのですね。そして、忠男のどこか憎めなさに、親近感を感じました。

 家を出たふたりは列車に乗り、何処かを目指すことになります。でも孫と祖父の関係にしては、何処かぎくしゃくしています。そして一軒の大きな家に到着して、やっとふたりの旅の目的がわかります。
 どうも生活を維持していくための術を長兄の重男に頼ろうとしているようなのです。しかもアポなしで。
 居候となろうというのに、忠男の不遜さは筋金入りです。兄の重男に向かって、絶対に頭を下げません。納屋でいいから居候になってやろうという物言いなのです。
 ムッとなった重男は、忠男に家族の反対も聞かずに、ニシン漁にのめり込んだ過去のことを諫めます。忠男の苦境も元はといえば、それが原因で生活苦に追い込まれたのでした。いわば自分が捲いた種だったのです。
 実際にも昭和28年に忠男が暮らしていた増毛の沖でニシンが姿を消してしまい、ニシン漁に頼っていた日本海沿岸の漁師たちは貧しくなっていくのです。それでも日本海の漁師は、いつかまた、ニシンが戻ってくると信じていたとか。忠男もそんな見果てぬ漁師のひとりだったのでした。

 体よく重男に追い出される忠男であったが、別れ際重男はホロリと実情を語ります。実は息子夫婦が実権を持っていて、自分たちは近日中に老人ホームに入る身の上なのだと。申し訳なさそうに語る重男に、兄弟の絆を感じました。

 重男が断ったように、自分勝手に生きてきた忠男は、親類との関係も疎遠でした。それでも、仕方なく次は、宮城・鳴子温泉で旅館を切り盛りする姉に当たってみるものの、春だけなら引き取るという、つれない返事でした。
 さらに忠男に追い打ちをかけたのが、一番気の合った弟が服役中だったことです。もう後がなくなった忠男は、もう一人の弟道男を訪ねます。しかし、道男からバカと何度も大声で激しく罵倒され激高した忠男は、道男を押し倒して、取っ組み合いになってしまうのでした。
 ここで注目したのは、体力では勝るのになぜか道男は、兄に殴られるまま抵抗せず泣いていたこと。それを見ていた道男の妻明子は、「仲がいいのね、羨ましい。」というのです。
 その性格から、兄弟から疎ましく思われて、何十年も音信不通になっていても、やはり血の繋がった兄弟なんだという家族の絆の深さを感じさせてくれました。
 重男の妻の菅井きん、服役中の弟の内縁の妻役の田中裕子を含め、芸達者なベテランをぜいたくに使った配役がぴたり決まっています。特に大滝と柄本は、短い出番ながら、なくてはならない存在感でした。それぞれ忠男と表面上ぶつかりながらも、それぞれに事情があり、内心は申し訳なく思っているのです。そんな心情を、仲代との絶妙な掛け合いで表現していました。

 頑固な老人がどうしようもない現実にぶつかってもがく。そんなノリままだったなら、春のあり得ないような純朴さや余りに身勝手な忠男の言動に、共感できないまま、酷評することになったかもしれません。
 ところが、忠男兄弟の絆を見せつけられた春が突然、幼い頃に自分を捨てた憎むべき実の父親に会ってみたいと言い出します。忠男と兄弟の仲も、春と別離した父親の関係も、冬の閉ざされたさなかにあったのでした。

 北海道の牧場で暮らす父親の家に着いたとき、突然父親の後妻の伸子から挨拶された春は、父親の再婚を知ってショックを受けます。そして父親と再会したとき、母と離婚そしてその後の母の自殺の真相が明かされて、春が背負ってきた悲しみの深さに、グッ~と胸が締め付けられました。「人って自分のことしか考えられないの?」と健気にいう春がいじらしいのです。
 そんな春を無言で、抱き寄せる父親の優しさにもホロリとさせられました。

 忠男は親子の対面に気を利かせて、家の外で牧場を見ていました。そんな忠男に、伸子が言い寄ってきて、一緒に住まないかというのです。伸子は、父親不在で育ったため、忠男に父親代わりになって欲しいとせがむのでした。
 さんざん身内の兄弟に断られたあげくに、他人の女から家に来ないかと言われるのは、何とも皮肉です。そんな暖かい申し出に、涙を浮かべつつ顔をそむけてしまった、仲代の表情に真の人生を見た思いです。

 父との再会後、そば屋の場面が圧巻です。春の母とこの店を訪ねたことがあるという忠男が、母の思い出を語り出します。それを聞く春の目から自然と涙が止めもなく溢れます。泣きながらそばをすする春を、忠男が愛おしく抱き寄せるところが堪りません!名シーンです。
 十分な間をとった長いワンシーン・ワンカットの中、ふたりの旅の何気ない場面が、ふいに見る側の心に浮かび、家族の絆の大切さに、言い知れぬ思いがこみあげてきます。
 小林監督の作品の世界には、これまでどこか観客を突き放したところがありました。しかし本作は違っていました。最小限のセリフを大事に紡ぎ、俳優陣の名演と共に、親子、家族という、誰しもが抱える普遍的な問題を、観客にも考えさせてもらえるハートウォームな仕上がりです。家族、人生、死… 多くのことを考えさせてくれる、熟練の域に達した感動作だと思います。

流山の小地蔵
流山の小地蔵さん / 2010年4月28日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
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