最後の忠臣蔵のレビュー・感想・評価
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"侍"の生き様でした
見入る!!!
今年いちばんの時代劇
共に討ち入り、共に死すはずの赤穂の義士から外れてしまった二人の武士が歩んだ16年の歳月の重みがよく出ている。とくに、その重みを知る吉右衛門が孫左衛門の使命を知り、裏切者と謗りを受け続けてきた孫左の労をねぎらうシーンは泣ける。佐藤浩市が巧い。
役所広司は、人を束ねる「十三人の刺客」よりも、今作のように護るべき人がいるような役のほうが似合う。
小道具や光の具合に気が配られた屋内、竹の緑や紅い葉など四季を彩るロケーションも綺麗だ。横幅が小さいビスタ・サイズながら、実直で無駄のないカメラによって充分な情報量を引き出す。
また、義に生きる武家と業に生きる町家の対比がよく描かれ、武士の生き様をラストに据えた構成が、この作品のテーマを引き立たせる。
ただ、人形浄瑠璃の「曾根崎心中」を挿入した意図がよく解らなかった。それに、挿入回数がややしつこい。
共に死すと約束した孫左衛門と吉右衛門の間柄を指したのか、それとも孫左衛門と可音ふたりの情愛を指したものか?
孫左は武士の道を全うし、可音は内蔵助の血筋を残す役目を背負う。両者、個として生きることを自ら閉ざす。ある意味、“心中”と言えなくもないが・・・。
可音が嫁ぐとき、孫左衛門が声に出さずに口だけで最後の言葉を可音に掛ける。それは「幸せにおなりください」ではなく「幸せにおなりなさい」に見える。家臣ではなく、父としての餞(はなむけ)に違いない。
今年観た時代劇、SF「ちょんまげぷりん」は別格として、「必死剣 鳥刺し」「十三人の刺客」「大奥」「桜田門外ノ変」「武士の家計簿」「最後の忠臣蔵」のなかで、今作が一番の出来。
犬死に賛美?
何のために生きるのか
池宮彰一郎の同名小説の映画化作品。
12月といえば「忠臣蔵」。いわゆる「赤穂浪士の討ち入り事件」を題材にした作品は枚挙に暇が無いけれど、この「最後の」というタイトルは一体どういう意味なのだろう...?そんな素朴な疑問を抱きつつ観たこの映画。
主演に役所広司、準主役として佐藤浩市を配してはいるけれど、ちょっと地味で渋い印象だったな。
ストーリーは「忠臣蔵」と言っても定番の【討ち入り】を題材とはしておらず、簡単に言えば【討ち入り事件のその後】【残された人生】を描いている。そこに「最後」の意味が含まれている感じ。
佐藤演じる「寺坂吉右衛門」は、罪人として処罰される浪士たちの残された親族に力を貸すという使命を受けて生き延びる。
そして主役・役所の演じる「瀬尾孫左衛門」は討ち入りの立役者である主「大石内蔵助」からの重要な密命を受けて討ち入り前に逐電(脱盟)する。その密命とは大石の【隠し子(赤ん坊)】を安全に逃がし育て上げるという大役だった....。
仇とはいえ、徒党を組んで夜襲をかけ重臣殺害に及ぶという犯罪者から一転、忠義に殉じた義士ともてはやされた四十七士。
一方で切腹することも許されず残りの人生を使命のために生きる者。その対比が哀しく映ったな。
また、食い詰め浪士が武士を捨てたような姿に身を変え、人知れず隠遁生活の中、それでも心に秘めた忠義心に生きる姿が切なかった。
しかしながら男としては、この「武士の生き様」には強い憧れを感じてしまう。
「生きる指針」「自らの使命」が明確になっている生き方はとってもうらやましく思えるから。
今の時代「何となく、成り行きで生きている」という人ばかりなのではないだろうか? もちろん自分も含めて。
自分が何のために生きているのか、そんなことを考えることも滅多に無いのではないだろうか?
目的地を失った現代人。確かに文明は栄えて便利にはなっているし、一定の自由は手に入れているけれど、精神的には不幸になっているように思えてならない。
もちろん、別の視点で見て考えれば、この封建時代も、そして近代の軍国時代も、「幼少時代からの刷り込みによる滅私思想」なのかも知れない。
それでもなお、根無し草のように地に足の着いていない現代社会の我々に比べ、よっぽど精神的に安定していた時代だったように思えてならないんだよね。
映画の終り、瀬尾孫左衛門はついに長年の使命を終え、亡き主に預けていた命を返却される。
そしてついに、その命を自分の意思で使うことが許される。
彼はきっと達成感と大きな幸せに包まれた人生を実感できたのではないだろうか...。
作品の見所としてはこの他、同じ目的に生きた者達の強い心の絆、そして孫左衛門と可音(大石の忘れ片身)の愛情や心の機微等、と、胸をうち涙腺を刺激する場面も多くあったよ。
地味な作品ではあるけれど、大人の鑑賞には充分耐えられる佳作だと思ったな。うん。
今年一番の作品に出会えました!!
大石内蔵助率いる赤穂浪士の討ち入りで生き残った二人
互いに生き残ったゆえの辛い生涯
同じ苦しみを堪え、16年間生き続けてきた二人が再会する。
武士の揺るぎない忠誠心
与えられた使命のために生き、
使命を果たしたのち、抜け殻のように逝く
武士の生き様は実に簡潔明瞭
けれど、そんな使い捨てのように見える彼らにも
生きた証し、想いはそれぞれ持っている。
観終わって、今の日本にこの時代のまっすぐな忠誠心のカケラでも
まだ残っているだろうかと感じました。
全く別の世界のことのようだけど、これはここ日本で起こった事なんだと考えると
なんだか信じられなかった。
役所さんの演技、スクリーンで見たのは初めてでした。
最後の切腹シーンとか、回想している時のアップの表情
黙ってても語りかけてきます!!!!
この作品は絶対に見たほうがいいです
後味はうまく言葉にできないけど、
見た人の現在の立場によって感じ方は様々だと思います。
母、父、子
それぞれで感じる所があるような気がします。
何度もいいますが、
これは是非みましょう
絶対です!
納得がいきません!
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