告白(2010)のレビュー・感想・評価
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無垢な悪魔
驚いた。
最初の松さんの独白から最後まで釘付けだった。
はたして俺は、鑑賞中に息をしてたのだろうか?
正直…洒落じゃすまない。
俺らの時代は、洒落でも済ませるくらいに世間も自分達も緩かったし、境界線を共有してたと思う。
中学生の頃の思考まで遡るに、劇中の彼らの行動全てに合点がいく。行動やその結果は違えど、彼らの衝動には頷けるものばかりだ。
いったい今の子供達はどんな世の中を生きてるのだろうか?
俺らの時代は全て空想で完結してた。
手段も経費もないからだ。
それがどおだ?
この情報過多の時代。膨大な過去のデータは蓄積され統計的な予測が立てれてしまう。
その結果何が起こるのか。
確定された予測の裏付けだ。
「命」という未だそのシステムが解明されないものにまで、その結末が提示される。
時間という名前だけ割り振られた事象でさえ、その役割も分からぬままに断定できちゃう。
全てにおいて意味などないのでは?
そんな禅問答のよう苦悩にも「yes」と答える思想が氾濫してる。
…未知なるものは恐怖ではなく、置き去りにし捨て置けるモノなのだ。
呑気に生きてはいるが、恐ろしい世の中だ。
人を呪わば穴2つ、との諺がある。
今作では一体いくつの穴を産んだのだろうか?
娘が殺された。
ここに集約されるまでの出来事は、何も特異な事ばかりではない。当人達には大問題であるのに間違いはないが、それでも世間的に考えたら珍しい事ではないのだ。それらが集約され向かった矛先が「マナミ」だった。
もしも〇〇だったら…
この陰惨で残酷な事件は起こらなかったであろう。
各エピソードから見え隠れするのは「他人に対する敬意の欠如」だ。
自分以外の人間は、自分の為だけに存在する道具ではない。なぜそんな単純かつ明快な事が分からない社会になってしまったのか…。
イジメの根本にも、そんな身勝手な思考があるような気がしてならず、今作における殺人にも同様の発想を感じる。
そう思えば、随分と分厚いオブラートにくるんだなと思わなくもないが、行き着く先が復讐や殺害となれば、強烈なメッセージでもある。
作品自体は「告白」という題名を裏切る事なく、関係者各位の告白で構成される。
上手く出来てる。
それを表現するに照明で異空間を作ってみたり、HSで情感に訴えてみたり。
自分以外の人間の腹の内…表面からでは見破れない様々な感情がトグロを巻く。
突出した激情ではあるものの、そおいう側面は確かにあるのだと想像力を働かせるべきだろう。
殺して隠してはいても、その人にも感情はある。
自分の想像や予測を凌駕しする思いもよらない感情がある。
どんな人にも、だ。
少年法に守られたという世界観ではあるものの、このメッセージ自体はネットの匿名性にも転換はできる。
他人は自分のストレスの吐口ではないのだ。
とてつもなく残酷な因果応報を被る前に、懺悔するべきであると考える。
学校や思春期って環境は、本作にはとても重要で…同世代にはリアリズムを、大人達にはイマジネーションを抱かせてくれると思う。
様々な状況に転化する余白があるとでもいうのだろうか…最適な舞台装置だ。
橋本愛さんは、とてつもない鮮烈なデビューだったのだなあ。デビュー作ではないのかもしれないが、俺が認識したのは「寄生獣」からだったので、度肝を抜かれたわ。キャストは皆さま熱演かつ的確な演技で、監督の手腕も垣間見る。
復讐で口火を切った本作が更生で幕を閉じるのも、実に巧妙だ。
自分以外の命の輪郭。
それを実感するまでの代償はとてつもなく大きかった。いや、当たり前の事だ。代替えの品がない世界で唯一のモノなのだから本来価値など付けられないと思うのだ。
それを知る為に「先生」がした授業は強烈だった。
最後に投げかけた「更生」の言葉には、イジメる側の常套句である「冗談だよ」って台詞への断固たる否定を感じる。
本作「告白」のオチとしてこれ以上のモノはない。小説家・湊かなえさんの絶対領域とでもいうのだろうか…誰も踏み込めない聖域を感じた。
俺はこの台詞を聞いた時、肩の力が抜けたような気がした。まるで奈落の底で合わせ鏡を覗き込んでるような…そんな無限回廊に放り込まれた本作だったが、あの台詞を聞いた時、ああコレは小説だったのだとホッとしたのだ。
2度と観る事はないと思うが、どなた様も必ず1回は観る事を強く勧める作品であった。
告白…それは狂気
人間の習性愚かさ描かれている
中学生ってこういう残酷さあるよなぁっていうのをよく描けている。
中学生に限らずコロナ禍の現状でもあの小さな教室の出来事が世界中に蔓延している今観るのにはいいと思った。
でもあまりにリアリティに乏しいのが残念。
携帯電話があれだけ普及してる時代設定ならネットでHIVの感染率の低さや抗HIV薬について調べる子どももいるだろうし、ビビって親に話す子どもも出てくる。
爆弾を仕掛けた秀才くんにしても告白動画を事前に公開してから悠長に爆破するのも愚かしすぎる。通報されたらお終いじゃないか。賢い設定なら自殺後公開される設定にしておくべきだ。あり得ない世界感にリアリティを持たせることに失敗すると折角の作品も台無しになる。
原作に忠実なのかもしれないが、時代設定を携帯電話普及以前にした方がまだ真に迫るものがあったかもしれない。
ただ人間の醜さを堪能するために鑑賞するならお勧めできる作品だろう。
狂気ある雰囲気がよい
少年法、このままでいいのか。
映画ってなにかのメッセージが組み込まれてるって考えるんやけど
このままの少年法でいいのか。
ってとこを思った。
注目を浴びたいという理由で人を殺したが全く反省をしていない少年A。
バカにされたのが悔しくて人を殺して心が狂った少年B。
その親たち。子を生徒に殺された教師、後のクラス担任、それぞれの描写があり引き込まれた。
よくわからない理由で犯罪を犯した少年たちはもちろん
少年Aに惚れる少女の浅はかさ。
これらはリアルなのかな。(惚れるか?
愛がなく育つと自分の命も周りの命も軽く見えてしまうんよね。ましては心が成長してないとなおさら。
監督のインタビューのブログを読んだら''コミュニケーション''と。まぁ、確かにね。この映画に関しては親子のところはコミュニケーションを取っていればまた変わってくると思うけど、先生の復讐に関してはコミュニケーションでどうにもならんからな。あくまでも復讐がメインだろうに…?
最初のシーンや、カットが綺麗で珍しいから最後まで楽しめた。音楽もへんな感じで好きだったな。
関係ないところで起きている虐め。これもリアルを追求したのかな。んー。
久しぶりの口コミ。頭を使った!!
先生の娘を殺したのは、誰?
感想
湊かなえによる同名のベストセラー小説の映画化。
主演は松たか子。
久しぶりに鑑賞しましたが松たか子が怖かったです。
精神的に追い込んでいく様はゾクゾクしました。
印象に残ってるセリフはドッカーン、なーんてねでした。
岡田将生は熱血でバカ教師を上手く演じていました。
木村佳乃は精神的に追い込まれていく母親を熱演。
橋本愛は目の演技が特徴的でした。愛菜ちゃんは可愛いです。
他に生徒役でのん、三吉彩花、山谷花純なども出てました。
少年A、Bは知名度はあまりないものの発狂したりといいお芝居でした。少年Aの西井幸人はドラマや悪の教典などで見てました。
※これが私の復讐です。本当の地獄。ここから、あなたの更生の第一歩が始まるんです。なーんてね
原作は読んじゃったけど
精神的に追い込むという復讐劇
7〜8年前に一度観て、湊かなえさんの小説も読んだ作品。
衝撃的な作品だったのは覚えていたが、改めて鑑賞。
以前見た時には子供がいなかったが、今は3歳の息子がいる自分。
以前とは違い、もし自分の息子が13歳以下の子供に殺されたら…と考えてしまう。
恐らく自分なら松たか子さん演じる森口先生のように冷静に精神的に追い詰めていく復讐ではなく、感情のまま手を上げてしまうだろう。
犯人Aのように全然反省せずに日常を過ごし、犯罪を重ねていくような犯人に対してはどうだろう。
すごく悔しく、絶望感と許せない感情で毎日過ごすしかないのだろうか。
そんな犯人Aに対して、教育的指導?を思わせる精神的追い込む復讐は狂気を感じるが、どこかやってやったな!と思ってしまった。
それぞれの告白で進む流れも斬新だが、中島監督の映像も演出も凄い。
演技についても松たか子さんの演技もすごいが犯人Bの親バカ母親役の木村佳乃さんの演技がまた素晴らしい。
現在有名になった俳優さんも沢山。
数年後にまた観ます。
作り込まれた作品、時代を感じる。
R15になっているので、怖いものを期待していたが、期待していたよりはおとなしい作品だった。作り込まれていて、主人公が淡々と告白をするのだが、飽きないような展開がある。
画面がずっと暗い。
時代背景を感じる。
ガラケー、デコメ、髪型、ファッション、初期のAKB、考え方、行動、事件。
2019年の今見ると、全てに時代の違和感があり、それがまた良い意味で不気味なもやっと感を作り上げる。華やかなAKBと各主人公を対比させているようにも感じた。
少年の演技が演技感があって感情移入しにくかった。(もしかしたら当時の中ニ病感を演出するためにあえて感情のない演技をしたのかもしれない)
少年Aと少年Bがぱっと見区別つかなかった。ん?これはどっち?まあどっちでもいいや…と諦めてしまうことが多々あった。一人をいかつい体系の子を起用するか、髪型を思いきった短髪にする等、もっと大きな違いがほしかった。
のんさんが出ていたようなのだが最後までわからなかった。
淡々として怖く、スリリングな群像劇
原作未読・予告動画なども一切見ておらず、完全に事前知識が無い状態で視聴しました。
まず最初に言っておくと、この映画は本当に面白かったです。淡々としているのに全くダレることなく素晴らしい映画でした。
松たか子演じる女性教師森口が自分の娘を殺害した生徒二人に対して復讐を行なうという、いわゆる復讐もの(リベンジもの)の作品です。他の復讐ものは復讐を達成しての爽快感を感じられたり、逆に「復讐なんて良くないよ」という教訓が含まれる作品が多いのですが、この作品はどちらにも当てはまりません。女性教師の復讐が淡々と進み、色んな人たちを巻き込んで話がどんどん悪い方向に進んでいくのをただ見せられる作品です。そこには爽快感も教訓もありません。
元々の原作が良いのかそれとも脚本の力なのか、淡々と進むストーリーにもかかわらず途中で飽きることなく最後まで釘付けになって視聴してしまいました。
役者陣の演技も素晴らしく、特に主演の松たか子は淡々と喋るだけなのに鳥肌が立つほどの怖さが伝わってきます。木村佳乃・岡田将生の演技もキャラに合っていましたし、子役陣も本当に素晴らしかった。
「イヤミスの女王」と呼ばれるほど、後味の悪い嫌~な作品を得意とする湊かなえが原作ということで、この映画も後味の悪さが濃縮されたような内容になっています。私はこの上なく楽しめましたが、もしかしたら見る人を選ぶ映画かも知れません。
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