告白(2010)のレビュー・感想・評価
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「少年たち」に対する訓戒
やってしまったことは二度と元には戻せない。
少し前から少年たちの間で少年法のことが語られ、彼らはそれを盾に犯罪を試みるケースがいくつも起きた。
湊かなえさんは、そういう少年たちに対し何もできない大人は、「本当に何もしないと思っているのか?」と問うたのかもしれない。
小説を読んでいたので、映画はそれより面白くないかなと思って今まで見ていなかったが、気が向いたことで視聴した。
映画では少々省かれている箇所はあったものの、原作に忠実に描いている。でも一番最後のシーンはオリジナルにはない。ブラックをより訓戒っぽくしたのだろう。
さて、
森口教師が黒板に大きく書いた「命」という言葉が、この作品のテーマだ。
そこには議論として正義とか道徳とか良心など様々な言葉があるが、改心しても、後悔しても、何をしても戻ってこないのが「なくなってしまった命」だろう。
命を、償う手段は、ない。
森口の夫は最後まで言葉による正義を貫いたが、森口は何もしないことが正しいとは思えなかった。
そして教師を辞めてからも寺田教師をそそのかしながら、あたかも手助けするふりをして下村ナオキを追い詰めてゆく。
たまたまその様子を目撃した北原美月が渡辺シュウヤの話をしたことで、森口の最終計画のピースがはめ込まれた。
森口はその帰り道嗚咽するが、あれは自分自身の良心を打ち砕いたからだろう。自分自身に残っていた最後の良心の呵責を殺したのだ。
ファミレスでどこかの子供が森口に飴玉をくれるシーンがある。子供の持つ純真さ。いつかあの子供が成長すると、邪悪な心を持つのだろうか? 森口の中で交錯する子供に対する希望。「でも私の子供はもう戻らない」 そこに行きついたとき、彼女の中ではじける音がしたのだろう。
後に彼女はシュウヤとの電話で「ドカン」と表現しているが、それは彼への当てつけの言葉だ。
少年法をあまりにも身勝手に捉えて行動する少年たち。何を考え何が本心かわからない子供たち。身勝手に何でもやってしまう子供たち。
しかし、取り返すことができないものがある。それは、それだけは何をしても取り返すことはできないのだ。
映画「法廷遊戯」でカオルが執拗に考えていた「目には目を」の理論。それを思い出さずにはいられない。
原作を読んだとき、あの映画「セブン」と似たような気分の悪さを覚えた。しかし映画を見ると、考える要素がいくつもあることに気づかされた。
単純なる復讐劇。大人が子供を執拗に追い詰める物語。ブラックジョーク…
いまの自分自身の信念のようなものによって、作品への感想は多義的だ。
そして誰もが自分自身の正義を貫いている。映画「検察側の罪人」のように。
そう結論付けてしまえば議論などできないが、森口にそこまでさせるほど「取り返せないことがある」ことを強く感じた。
先生は最後まで先生だった。
森口先生は娘を殺した生徒たちを自らの手を汚さずに復讐していった。大人と子供の違いを見せつけられた。命の重さを生徒に理解してもらうという意味では復讐も「教育」なのかもしれない。
松たか子のホラー
松たか子扮する女性中学校教師森口悠子は、今月いっぱいで教師の仕事を辞めると宣言した。
死にたいと言うメールが飛び交っている様だ。だいたい中学生にはHIVの話は刺激的過ぎるよな。それに死んだ自分の娘の話を生徒にするかな。なんでこのクラスの生徒に殺されたと言えるのかな。と言う展開だったね。それでも少年法に守られている中学生。だからこういう復讐をしたのかと。ホラーだね。
この後はオムニバス形式。生徒の兄貴ぶった教師も最低だな。
話題作なだけはある
そういえば観よう観ようと思っていて観てないなと思い出したのでアマプラで鑑賞。
公開当時すごく話題になっていたが観てからなるほどなと納得。
かなり昔に原作を読んでいたが細部は忘れていた。原作はイヤミスと呼ばれる所謂胸糞が悪いようなミステリが得意な湊かなえさんだが、中でも割とスカッとする部類なのでそういうの苦手な人も楽しめると思う。人によるかも。
とにかく映像が美しいし、松たか子さんはじめ俳優陣の演技も凄い。ストーリーも原作がうまくできているのもあって面白い。
ただとにかくカッコイイ絵作りと面白い撮り方がされた映像は見応えがあるのだが、全体的にスローと繰り返しが多い。重要なシーンなので繰り返すとかスローでなど理解はできるが流石に多くない?私がせっかちなだけなのか。
特に木村佳乃さんがすごく良かった。いやーこういうヤバく見えないけどヤバイ親いるいるって感じで。これからすごいことするのにニコニコ平然としてて怖くてとても良かった。
さすが湊かなえ!!
松たか子演じる中学教師が担当クラスのホームルームで生徒に始める告白。
その告白により、あらゆる事が明らかになり、加害者は罪に苛まれ、そして復讐は成立する。
原作を読んでいないのだが、少なくとも映画では面白いと思うシナリオで物語は進み、これは原作も読んでみたいと思わせる作品だった。
テーマが重すぎてエンタメ性にかけるのは残念だが、仕方なしか。
終始ザック・スナイダー
黒と紺色の世界に時折見せるスローモーションと回想シーンと挿入曲で、終始日本版ザック・スナイダーを観ているかのような世界観。
2007年のスリーハンドレッドや2009年のウォッチメンを観ているようで感慨深い。
内容は見事なものでして、人間社会の本音を見事に映像化していて、内容良し!キャスト良し!間違いなく松たか子の代表作でしょう。
年に一度は観たくなる。
なーんてねw
序盤は退屈だけど……
教師の娘の殺人事件をめぐって、三者三様の正義や思想がぶつかり合う社会派サスペンス映画
最初は退屈だと感じていましたが、だんだんと情報が開示されるにつれて話がどんどん盛り上がっていって引き込まれました 歪んだ思想を持つ人々がたくさん出てくる作品だけど、そのバックグラウンドがリアルに描かれていて納得度が高かった
ただ、画面が全体的に暗く、何が起こっているのか見づらいうえに、暗い気分になって嫌だと感じた そのほかみずほの過去がまったく描かれないところなど、色々もったいないなあと感じた
原作未読なので、答え合わせ気分で読んでみたいと思った
湊かなえらしい作品。
湊かなえらしい、残酷で暗い作品。原作も読んだが家内と観てみた。少年AとBには同情の余地はなく、改めてこういう作品を見ると少年法はさっさと廃止してもらいたいと心底思う。松たか子は適役だったのでは?いい味を出している。芦田愛菜という女優が子役の時は知らなかったのだが、可愛らしいと思った。エンドロールで能年玲奈の名前を見つけて巻き戻してみたのだが家内も僕も発見出来ず。
最高に練られた復讐劇 えげつないほどに面
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学校の先生の松たか子が愛娘を自分の生徒2人に殺される。
ただ注目を浴びたいとか、極めてエゴな理由からの犯行だった。
ここから松たか子の恐ろしい復讐劇が始まる。
それはまずはエイズの菌をソイツらの体に入れることから始まった。
(これについては精神的に追い込むために口で言っただけっぽいが)
1人の生徒にはクソ真面目な自分の後輩教師を利用して精神的に追い込んで行き、
頭がおかしくなって自分の母親を殺すという結末となった。
もう一人、首謀者の生徒は、注目を浴びるために学校爆破事件を計画するが、
それをソイツのHPで事前に知った松は、仕掛けられた爆弾を予め奪っておき、
マザコンであるこの生徒の母親のところに仕掛ける。
そうとは知らない生徒は起爆し、自分の手で母親を殺すハメになってしまった。
また唯一コイツを理解してくれた女生徒も自らの手で殺すハメに。
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いやあ、これはすごいインパクトの映画だった。
そして見事なくらいに最後に全てが1本の糸でつながる。
結局は松たか子が全て計算づくで、裏で糸を引いていたというもの。
極端に言えば、学校の教師なんてこんなものだろう。
自分の一人娘を面白半分で殺されれば、犯人を殺してやりたくなるはず。
この教師に関してはそこに一切のモラルは無く、復讐のために命をかけた感じ。
実際にラストシーンの後は罪に問われることになるだろうしね。
(少なくとも生徒の母の所に爆弾を仕掛けたのは犯罪)
結局、2人生徒側からしたら、殺されるよりも悲惨な結末になったと言える。
それが松のイメージした最高の復讐だったのだろう。
それにしてもラストシーンの松たか子の「なーんてね」の時の演技は、
ゾーッとするものがあった。人間の持つ怖さを描いた素晴らしい映画だった。
数年前に視聴済みだったが、機会があったので再度視聴。 森口先生が失...
数年前に視聴済みだったが、機会があったので再度視聴。
森口先生が失ったもの、守りたいものと奪いたいもの。そこに注目してみた。
森口先生の復讐は本気でイジメも想定内。
北原美月はイジメに加担しなかった。言い換えれば森口先生の味方をしなかった。
森口先生の味方をした生徒達は渡辺修哉の爆弾による大量殺人事件から守られた。
考えさせられた。
もし、失ったら狂う程に愛する人が殺されたら、自分ならどうするのだろう。
芦田愛菜はすぐわかったが、能年玲奈が出演していたのは気付けなかった。
BGMもテンポも良く、演出も素晴らしかった。
凄い映画
冒頭の終業式シーン、ボコボコにしてもいい心境なはずなのに何故松たか子はこんなにも冷静に諭すように話しているのか理解できなかったが徐々に計画が明かされて行く。死すら生ぬるい復讐劇。
登場人物みんなどこか狂っているが、話も分かりやすくテンポも良くて観やすかった。
ラストも無事に完遂できて良かった。笑
すごいストーリーだった。
湊かなえは何度か小説やドラマを観た事がある。人間の心理、それも残酷な部分に切り込んでいくイメージで、そんなに観たくないなと思っていた。公開からずいぶん経った今、観ないで終わるかと思ったのに、なんとなく観てしまった。
すごい映画だった。
娘を殺された松たか子演じる先生が、殺した生徒を追い詰めていく。緻密に練られた計画で、執拗で恐ろしい。
残酷シーンが多く、子供には見せたくないかな。でも、映画としては面白い。
現代のいじめ、性的虐待、差別は全く別の所にある。
かの金属バットの事件を振り返ると、サイコパスなマザコンが犯す犯罪の種類が全く違う。彼らに出来る事は自壊すること位。勿論、稀に周りを巻き込んで犯罪を犯すことはあろうが。
現代のいじめ、性的虐待、差別は全く別の所にある。
寧ろ、この状況を傍観する側に日常生活を脅かす問題がある。『絆』で結ばれた家族に問題が無いと思う所に寧ろ問題がある。
少年法の改正目的の為だけのプロパガンダ映画として私は見る。
原作がホラーだけを追ったライトノベル級の小説であるだけでなく、頭に逆上せた演出家が思わず作ってしまった駄作と思うが。まぁ、ご飯を食べる為には仕方ないのだろう。大変に残念だ。問題が重いだけに人の命は大事にしてもらいたい。ただでさえ、火曜日ごとに殺人があって、崖で犯人が2時間で自決するのだから。もう少し、救われる何かが見たいものだ。
面白そうだった🤢
公開時に見逃した作品。
今回見ることに。
松たか子のモノローグからはじまる。
いい加減飽きたところで、次々と他の出演者のモノローグ。
結局時空も何もかもわからなくなり、
一体何名死んだのかも不明。
それで映画はチョン。
封切り料金を出さなくて良かった。
【なーんてね】 オールタイムベスト★ 原作の湊かなえ節を上手に表現...
【なーんてね】
オールタイムベスト★
原作の湊かなえ節を上手に表現できてる。これこそ成功例。
小説も大好きだけど、実写もまた傑作。なんだでも見れる。気分悪くなるけど。
娘を生徒に殺された教師の想像を絶する告白。
中学生の抱える闇、母親の言い訳、すべての告白が重なった時のラストに震えが止まらない。
勿論湊かなえを文字で読む恐ろしさは別格なんだけど、中島哲也監督との相性が良すぎるんだよな~~
少年A、B、森口先生、ウェルテル、すべてのキャストがハマり役でノイズがない。
教師と生徒の異質な絡みがもちろん面白い部分だけど、”母親”と言う存在の恐ろしさが可視化されたなと思う。
教師ではなく一人の母親として復讐を誓う森口
息子を病的・盲目的に溺愛する少年Bの母
子育てを放棄し、研究者としての道を優先した少年Aの母
愛情の欠如がいかに人生を狂わせてしまうのか。
中途半端に頭のいいDNAを継いだ少年Aが抱いたエゴが、バタフライエフェクトの如く
森口の、少年Bの過程を痛ましい事件へと巻き込んだんだろうな。
メインキャラクターだけじゃなく、原作通りクラスの生徒たちをモブとしてでなく
ストーリーに重要なキャラとして組み込んでいるので”中学生の心の不安定さ”が至極忠実に再現できてると思う。
が、ゆえにR15なのは頷けるよね。
グロイとかじゃなくて、こんなセンシティブなテーマ中学生が見たら影響されてしまう。
しかしそれでも人間の浅はかさが儚すぎて、あまりに芸術点の高い作品。
告白。
原作は、発売されてすぐ読みました。
語り口調で面白くてすぐ読めちゃいました。
だから内容は知ってるからなぁとなんとなく観てなかった作品。
登場人物、全員、すごい(狂ってて)良かった。
もっと全員掘り下げて欲しいくらい
まだまだ色々作品が出来ちゃいそう。
特に岡田くんの先生の目線で物語作ったら
それも、面白そう。
どういう風に生徒を見てたのか気になる。
カンヌの『怪物』よりも正直、
ずっと、ずっと良い作品かと思う。
このじめっとした雰囲気、
生徒のザワザワうるさい空気感、目線、
照明やカメラ、全部めちゃくちゃ良い。
見ててグイーっと引き込まれる。
最後の生徒が円になるところ、すごい良い。
こういう映画ものすごく好き。
中島監督は、ギラギラ派手派手!なイメージが
強かったけど、こういう雰囲気の映画
もっと作ってほしい。
新作じゃない、
旧作、今年で1番。めちゃくちゃ良かったです。
テーマがよく分からない
10年前も鑑賞。当時の感想は忘れたが、今は親となったので見方も変わったと思う。
法が裁かないサイコパスに対して親の自分だったらどのような行動を取るのだろうか。
そんなことを少し考えたが、いかんせんまともな感覚を持っている登場人物がほぼいないので、感情移入が難しい。
命の尊さがテーマらしいが、この作品でそれが果たして伝わるのだろうか。
自分には伝わらず、各主要登場人物の視点を丁寧に描写した結果、テーマがぼやけてる気すらした。
・その他
作中でも言及されてるが、クラスメイトも異常過ぎる。
学級崩壊やイジメ自体がテーマでないなら、ここまで不快感を出さなくても良かったのではないか。
リアルなのかリアルじゃないのかよく分からない。
松さんの淡々と事を進める役の演技は脱帽。
実はエイズ理解の啓蒙作品かも。
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