告白(2010) : 映画評論・批評

メニュー

告白(2010)

劇場公開日 2010年6月5日
2010年5月25日更新 2010年6月5日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

これは復讐譚ではなく、命の尊さを過激に教え諭す残酷寓話である

プロットだけを追えば救いようのないサスペンスに思える。しかし学校という現代社会の雛形と向き合う子供と大人は知っている。少年に愛娘を殺められ報復を企てる女教師、罪を犯した我が子を庇う母、自己中心的な熱血教師――彼らが繰り広げる絶望の連鎖に、一歩間違えれば誰もが引きずり込まれる危険性があることを。中島哲也はトレードマークの華美で過剰な戯画を封印し、時折ユーモアを散りばめロック音楽を被せつつ、13歳をめぐる殺伐とした今をポップな宗教画のようなタッチで描き出していく。

全ては独り語りによって進行するが、彼らは皆、虚空に向かってつぶやくよう。告白映像は必ずしも真実とはいえず、都合のいい解釈や妄想を多分に含むことを示唆する演出は、コミュニケーション不在を強化する。殺風景な画面、褪せた画調。曇天に覆われた校舎、ハイスピード撮影で捉えた暴力。そして祈りにも似たレディオヘッドの歌声。醸成されていくのは大人と子供の陰惨なバトルではなく、孤絶した者たちの魂の叫びに他ならない。

これは復讐譚ではない。学校崩壊の状況下、それでも教師としての性を全うしようとする女性が、子供の目線に降り命の尊さを過激に諭す残酷寓話である。同時期公開の北野武井筒和幸が描くモラルなきモンスターどもの陰惨なだけの暴力と同列にみなしてはいけない。人間臭いゆえ泥沼にはまった者が抱える痛みと哀しみ。憎悪は反転し慈愛へと向かい、生きづらい時代の大きな物語に昇華する。

清水節

関連コンテンツ

インタビュー

中島哲也監督が「告白」で得た演出の妙技
インタビュー

2009年の本屋大賞に輝き、現在までに累計発行部数235万部(文庫含む)を誇る湊かなえのベストセラー小説を、松たか子主演で映画化した「告白」。メガホンをとったのは、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」などで天才肌の演出手腕を発揮してきた中...インタビュー

関連ニュース

関連ニュース

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

カルテット DVD-BOX[DVD] ロング バケーション Blu-ray BOX[Blu-ray/ブルーレイ] ひとつ屋根の下 コンプリートBlu-ray BOX[Blu-ray/ブルーレイ] 『HERO』DVD-BOX リニューアルパッケージ版[DVD]
カルテット DVD-BOX[DVD] ロング バケーション Blu-ray BOX[Blu-ray/ブルーレイ] ひとつ屋根の下 コンプリートBlu-ray BOX[Blu-ray/ブルーレイ] 『HERO』DVD-BOX リニューアルパッケージ版[DVD]
発売日:2017年7月7日 最安価格: ¥16,278 発売日:2018年11月21日 最安価格: ¥22,537 発売日:2015年3月18日 最安価格: ¥25,518 発売日:2007年8月22日 最安価格: ¥19,148
Powered by 価格.com

映画レビュー

平均評価
3.8 3.8 (全197件)
  • 原作既読。 原作の語り手が変わっていきながら、事件の別の側面を映し出す構成を踏襲している。中学生の浅はかさと残酷さは映像化することでより強く感じられる。松さんのブッ壊れ感、岡田将生のウザさ、橋本愛の貫禄…。... ...続きを読む

    なお なおさん  2018年10月9日 23:55  評価:4.0
    このレビューに共感した/0人
  • 純粋に面白かったと思う この作品は本当に賛否両論分かれる作品だろうと観ながら思っていました。 公開されて早8年、今更ですが同時に戻った気分でレビューしたいと思います。 この作品を映画から入る人、湊かなえさんの小説から... ...続きを読む

    Malco Malcoさん  2018年9月3日 17:22  評価:4.0
    このレビューに共感した/1
  • 定期的に見たくなる 世界観だいすきです。 松たか子の演技がすばらしい✊ ...続きを読む

    りのめろ りのめろさん  2018年7月22日 16:03  評価:4.5
    このレビューに共感した/1
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

特別企画

新作映画評論

新作映画評論の一覧を見る
Jobnavi