ゼロの焦点のレビュー・感想・評価
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名作が映画に
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広末がお見合い結婚した男が出張に行って帰らぬ人となる。
真相を知るために金沢に行って色々する。
旦那はかつて警察にいて、パンパンの取り締まりなどをしていた。
が、アメリカに言いなりのその仕事に嫌気が差してやめていた。
金沢に出張した際、知り合いのバンパンと偶然再会し、
そこに恋愛感情が生まれて一緒に暮らしていた。
が、その女を捨てて広末を取った。
その際にその女のパンパン仲間で今は社長夫人となった久子を訪れた。
そして仕事を世話してやるようお願いし、この女は雇われた。
が、この社長婦人は自分の過去をどうしても人に知られたくない。
なので旦那を崖から突き落として殺した。
また独自に捜査していた旦那の後輩も刺し殺した。
そして最後は仲間の元パンパンの女も殺そうとする。
しかし大切な男を失って生きる気をなくしたこの女は、
恨み言も言わずに自ら崖から飛び降りて死んでしまう。
良心の残っていた久子は半狂乱になり、記憶喪失に。
そこへ広末が何故か真相を推理し、社長婦人のもとへ。
大勢のギャラリーがいる前でパンパン時代の源氏名を呼ぶ。
記憶がよみがえる久子。殴る広末(場)
結局婦人も良心の呵責に耐え切れずに自殺した。
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松本清張の有名な推理小説の映画版。
読んだことがなかったのでおもしろかった。
印象に残ったのは中谷美紀と木村の元パンパンコンビの演技力だった。
中谷は狂気を見事に演じ切り、木村は薄幸を演じきった。
謎だったのが、何故か急に広末が謎を解きまくる点。
電車の中で突然全ての謎を解く。ええーっ?何で?
殺す相手が間違っている。
最初から犯人が分かってしまう。
サスペンスとは言えないストーリー。
自分の過去を隠す為の犯罪ってあるのだろうか?
殺す相手が間違っている。
こんなお人好しの女性はいないだろうし、こんな悪い女もいない。
こんな簡単に人を殺すことができるから『火曜サスペンス劇○』なレベルに日本のサスペンスはとどまっている。
昭和33年3月31日まで赤線があって、女性は男の食い物だった。だから、この話は昔の可哀想な出来事としたいのだろう。しかし、現在でもそれが無くなってはいない事を知っておくべきだ。女性は色々な意味で食い物にされているし、本当に食い物にしている。そう、今の戦争が無い日本の中でもね。
飢餓海峡とストーリーの組み立て方等が全く同じ。
崖が登場する起源の様な話。白黒映画のゼロの焦点を見た後、東尋坊には行って見た。飢餓海峡の時と同じ様に。どうしても最後の日本海が見たかったので。僕はこの本を読んで『日本って島国だなぁ』って『飢餓海峡』と同じ様に思った。
原作は小学6年の頃読んだが、小学生には絶対に分かるような話ではなかったね。崖の場面だけは覚えていて、点と線や飢餓海峡と読後感が混じってしまっている。
『ティファニーで朝食を』『日曜はだめよ』『プリティガール』の主人公はこの映画の主人公と同じ職業。その職業が良いとは思わぬが、描き方の違いは国民性の違いがあるのかって、思ってしまう。
最近『ちひろさん』って言う映画も同じ職業。日本も変わったのかなぁ?しかし、風俗嬢をリアリティで演技するなら『ちひろさん』の女優さんは『37セカンド』の女優さんの様な体当たりの演技を希望するね。そうすれば、もっと興行があがると思う。
エンドロールに流す曲は、山崎ハコさんの方がこの映画にはあっていると思う。山崎ハコさんは女性の『恨みつらみ』を奏でたら、右に出るものはいないと思うが。
『オンリー・ユー』のテンポが遅いような気がするが。
室田夫妻
原作を最近読み、映画化されていることを知ってDVDで観た。
話の焦点がやや室田夫妻に向いていると感じたが、それがいいアレンジになっていた。
原作と違ったクライマックス。
過去を消し去ろうと罪を犯し、精神がやられ、それでも演説する夫人
妻を救うために罪を背負い、「愛だけを残して」拳銃自殺する社長
この夫婦の一連のシーンが印象に残った。
鵜原憲一もまた、田沼久子を裏切り、自分の本心の片割れである曽根益三郎を殺したが、それも罪深いことだったんだと思う。
情念狂気ものは評価は下げるけれど
『ゼロの焦点』(2009)
松本清張は名前や代表作の名前くらいしかわからないくらいだったので、この頃日本の恋愛ものばかり観てきたところ、有名なミステリーを観てみようと選択。テレビで何度も、映画で2度目の作品らしい。その2作目の主役は広末涼子。失踪した夫(西島秀俊)を探して金沢まで行く。時代は、1957年(昭和32年)頃である。恋愛ものと言えば、妻が夫を探しに行く恋愛ものとはいえるかも
知れない。松本清張生誕100年記念制作だったらしい。ときおり流れる背景の音楽がミステリーぽい。なんかしゃべりのイントネーションが、語尾の上がるところが、石川県なのだろうが、たしか岐阜県か、『ちはやふる』のめがね君にも似ていた感じがする。電話がダイヤルで昭和32年だなという感じだ。警察の机の上にパソコンが一台もない。ある程度早い段階で犯人がわかったようなわからないような、どっちかだと思うが、どうなのか。だが片方だとするとあまりに簡単すぎだ。夫を探す妻との対比か、昭和23年頃の昔、行方不明の夫は警察官をしていて、アメリカ兵相手の娼婦、「パンパン」の取り締まりをしていたが、そんな女が事件の背景にあるのか。松本清張、戦争の影を書くか。夫を探す妻が探偵役のようになっているのだった。しかし、現在でもそうだが、援助交際や風俗勤めなど、それが小遣い欲しさであるような貞操ない女と、貞操をひもじさゆえに超えてしまう女とが混在しているように思えるところから、複雑なことになる。それは事情があろうと、行為上、超えたことには同じであるとするほうがよくわかると思うのだが。パンパンとか二股とか女の境遇とか、男女関係のこじれが映し出されているが、犯人の動機は保身だったか。男に翻弄される女や、女の情念が描かれているのと同時に、女の市長選立候補という社会背景まで絡ませてある。戦争で生きていかねばならない状況が性を武器として、女を武器として、退廃を社会に浸透させていってしまったか。そうした心理的な面で松本清張は犯人の事情も考慮しようとしたかも知れないが、戦争が狂気の原因だとするならば、戦争から遠く離れた日本の現在の援助交際や不倫は一体なんだろう。『戦争は子供を早く大人にしてしまったんだ』というようなセリフがある。そしてクライマックスが、社会構造と個人的狂気のアンバランスを誘い出す様は、その心理劇は凄まじい。選挙の勝利という換気の裏には狂気があるのではないかとさえ思わせる。しかも当選したのは女性候補という設定である。昭和32年。1957年。60年も経過するというのに、ますます悪化しただけではないのか。政治背景とそして、警察官とパンパン。本当に時代がしでかしたのか。それとも男女の性がしでかしたのか。翻弄されてしまっても気を取り直して生きていけるための主人公設定だったのだろうか。ただ、松本清張はこの作品ではまだ、罪悪人は滅んでしまう運命にする気があった。だがその前に悪の近くに接触してしまった他者が罪悪人にやられてしまっていった。この重さは作品賞を含め、日本アカデミー賞の11部門で優秀賞だったとある。
映画「ゼロの焦点」おおいに語る
ああ、ご紹介が遅れました。
私ナビゲーターの大爆恕シチューです。
怒じゃないんでそこんとこヨロシク!
そして、今回のゲストは映画評論家の聖遼印龍酔さん。
新本格の推理小説家(神)の人とは関係ないし、
大塚英志が流水の名義で作品を作っただけなのに
あえて自分が清涼院流水だ、などとなぜ嘯くのか。
それはここでは論議の対象としませんが、
ぜひどこかで問い詰めていただきたい問題ですね・・・
さあ、龍酔さん、その今回の映画「ゼロの焦点」ですがいかがでしたか?
龍酔「はい、今回兎にも角にも、広末さんにGOODですね」
- つまり広末さんがよかったと、文字通りですが・・・
龍酔「はい、広末さんのあの舌足らずな物言いは、いまでもぼくらのアイドルです」
- 確かに広末さんの存在感は、今回の映画の重要な要素ですね。
室田佐知子役の中谷美紀や田沼久子役の木村多江が汚れ役となり、
彼女らに対峙する形で配役されているわけですが、
少々広末さんには難易度が高いのでは、とも思いましたが…
龍酔「確かにその向きもあります。
どちらかというと、小説の禎子の方が雰囲気が近い気がしますが、
それでも映画の禎子もなかなかですよ。」
- 映画は小説とはキャラクター設定がかなり変わってるようですね。
龍酔「今回のテーマの中に、女性の権利の復興というものがあります。
そのため、女性がとても力強く描かれる必要があったようです。
和服が似合う清楚な室田夫人は、日本初の女性市長誕生を影から支える
女性指導者として、派手目な役作りをしています。
だからなのか、小説では仲睦ましかった室田夫妻が映画ではそうでも
ありません。また、憲一に対する態度も家族ぐるみというような感じで
はなく、陰鬱な影を内包しているように見えます。
さらには、室田婦人である佐知子がパンパンをしなくてはいけなかった
理由づけに、ご丁寧に弟を新キャラとして設定しています。これは余計で
したけどね。
そうやって、ダークな実力者としての女性像がすでに設定されています。
この室田佐知子に対抗するために、やはり昔ながらの高貴な純愛女性で
ある禎子も強くならざるをえません。」
- もともと小説も謎解きミステリーという感じではなかったですが、
映画はさらに別の様相をしているとも言えますか?
龍酔「そうですね。戦後の日本女性、ここではパンパンという売春婦が抱え
ていた傷跡が結果的に殺人にまで発展するわけで、そういう「砂の器」にも
通ずるテーマ性を犬童一心がどこまで描ききれるのか、微妙でしたが…」
- それで?
龍酔「やはり微妙でしょうね。後半はなんだか火曜サスペンス劇場化して
いましたからねえ(笑)。まあもともとこの作品自体がサスペンスの走り
だとすれば、原点回帰なのかもしれませんが…」
- やっちゃった感はありますねえ。
龍酔「そうですね。VFXもがんばって、昔の日本を描いてはいますが、
映画的な迫力には欠ける気がします。」
- ただまったくダメってことはないでしょう?
龍酔「それはその通りです。ひとりで観に来られていた何人かの女性は、
感極まってエンドロールが終わってホールが明るくなっても席を立てないで
いました。まさか寝てたわけではないと思います(笑)
ぼくなんかは、“純愛”というテーマではなかなか見ごたえがあった気が
しています。純愛を貫こうとしたことが結果、事件の全容解明につながって
いくという大筋のストーリーはきちんと描かれています。
ただ、佐知子の描かれ方があまりにもチープになってしまい、そことの
バランスが崩れてしまっています。
さらには、第3のキーマンとなるはずだった田沼久子は、捨て駒にもなって
いないぐらい、かわいそうな扱われ方ですね。
そのバランスの悪さが、2時間ドラマの様を呈していくんですね。」
- 小説と違うところと言えば、室田社長のラストはいかがでしたか?
龍酔「ぼくはあのシーンは比較的評価しています。
先ほども言いましたが、映画では室田夫妻の仲はあまりよくは描かれて
いませんでした。しかし、最後になって室田社長は佐知子に対しての愛を
表現できたのではないでしょうか。」
- 確かにそういう見方もありますね。
それでは最後に龍酔さんの今回の点数をお願いします。
龍酔「はい、☆3つです」
- ありがとうございました。
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時代は昭和32年。
戦争が終わり、高度成長期が始まろうとしている時代。
鵜原憲一とお見合いで結婚した禎子。夫は自分のことをあまり話さない人だった。その夫は、前任地・金沢での仕事の引継ぎに行って来ると言ったまま、新婚一週間で失踪。禎子は夫を探しに金沢へと向かい、憲一の後任である本多の協力を得て、憲一の行方を追う。
しかし、憲一が住んでいたはずの住まいは1年半前に引き払っており、彼が金沢でどこに住んでいたのか、本多達も知らなかった。そこで憲一の得意先であった室田耐火煉瓦株式会社を訪れ、そこで社長夫人の佐知子と、受付嬢の田沼久子に出会う。さらに金沢で憲一に関わる人々が次々と殺されていく。
松本清張の原作は読んだことがなく、犯人もわからないまま鑑賞したのですが、観る前にこの人が犯人なんじゃないの?と思っていた人が犯人でした。ただその殺人に至る動機などについては全くわかっていなかったので、普通にサスペンスとして面白く鑑賞しました。まぁ2時間ドラマでも十分だったのでは?という気がしないでもなかったですが。
相手のことをほとんど知らないまま結婚する、というのは今を生きる私たちにとってはちょっと理解しがたいものがありますが、この当時はよくあることだったようで、結婚してから相手のことを知っていく、という感じだったみたいです。
これからこの人と生きていくと決めたのに、その夫が一週間で失踪。そして探しはじめて、初めて夫のことを何も知らなったことに気付く禎子。
夫はなぜ失踪したのか?連続殺人事件の犯人は?
すべては禎子が知らなかった憲一の過去にさかのぼります。戦後、日本が米国の占領下にあった頃の立川。お嬢様育ちで何不自由なく暮らしてきた禎子とは違って、当時生きるために必死だった人たちの姿。その時代に翻弄された人々。そして夫の知られざる金沢での生活。
そして、これから新しい時代が切り開かれようとしている、日本は変わろうとしている。そんな時代の変わり目に、開かれた未来への夢を抱いたことが、悲劇を招いてしまったのかもしれません。
何も殺さなくてもいいのに、と思ってしまいましたが、自分を守ることで必死だったのかもしれません。その犯人の壊れ方がまた見事でした。
全体的にわかりやすい展開で、中谷美紀と木村多江の演技も良かったのですが、面白かったかと聞かれると正直ちょっと微妙。悪くはないけど期待していたほどの面白さはなかったのも事実で、なんとも評価が難しい感じです。
なんかちょっとおしい。
広末さん、新妻の初々しさが出てて良かったと思います。世間で言われてるあの甘ったるい声も、私はさほど気にならなかった。もう少し原作にあった新婚旅行の様子などが映像にあったら、二人の夫婦の絆が観客にも感じとれたのではないでしょうか。原作を読んでしまった私として残念なのは室田夫妻の描かれ方。
あれはちょっと、変えすぎでは。主人公の禎子がストーリーテーラー的な役割だったから、作品にインパクトを加味するためかもしれないけど。佐知子役の中谷さんに、やたらオーバーな演出でちょっと食傷気味。原作にない登場人物を二人も出すなら、せっかく西島さんをキャステングしたんだから憲一の内心にもっと迫った脚本を書いてほしかったです。監督のインタビューによると「憲一は謎がある雰囲気を出せる西島さんに」と決まったようですが、あの程では人物像も観てる方としては、摑みにくいでしょう。木村さんの薄幸な役を観るのも飽きてしまった。「この人にこういう役をやってもらえば安心」みたいな感じ。文句ばかり書いてしまいましたが、昭和の風景や北陸の風景は良かったし、二つの殺人事件の演出も良かった。女優さんは綺麗だし、西島さんの筋肉にも見惚れた(ミーハー心も満足できた)なんか、つまらないとは言いきれない作品。だからこそ、役者の持っている実力にに頼らず、その役者の魅力をもっと引き出すような脚本や演出が欲しかったです。
怖くて美しい
なんとなく広末さんの声が作品から浮いていたような気がしないではないんですが、全体的には、とても楽しめました。
とにかく映像がきれい。
そして中谷美紀がきれい。
追い詰められるような怖さ。
そして中谷美紀の美しすぎる怖さ。
とにかく、中谷美紀がすごい!笑
彼女の妖艶さを見るだけでも価値があると思わせてくれました。
演出の焦点。
あまりに有名な原作は、これまで映画化されているし、
幾度かドラマ化もされているので、内容を知り尽くした
往年のファンも多いだろうと思う。
私も何度か観たことがあるので、結末は知っていた。
ただ今回の映画化で監督が犬童一心というのに驚いた。
え?この人がやるような映画かなぁ…^^;と。
案の定、サスペンス映画としては物足りない(爆)
ヒロイン3人も上手くさばき切れていないというか、
やたらアカデミー賞女優だと謳いあげているのもヘンだ。
中谷美紀はホラー映画も真っ青の怖い演技を見せるが
木村多江はいつもの薄幸演技、広末は言うまでもない。
上手い下手以前にアンサンブルとして活きていないのだ。
なので演出とか演技力などではなく、原作が描いた
その時代の持つ特異な哀しみを感じる方が無難である。
女たちが辿った哀しい過去。
その、少しあとに生まれ(かなり歳の差を感じるけど^^;)
苦労すら見えるにも足らない恵まれた淑女の笑顔。
見合い結婚なんて、確かに相手のことなどを知る前に
決まってしまうような時代だったかもしれない。
過去を拭い去るために?選んだ結婚がひょんなところで
過去との接点を作ってしまい、やがて報復されるという…
あ~怖い。やっぱりこういう裏切りは罰あたりになるのだ。
とてもいい教訓になる作品である^^;
そういえば先日の侍映画で妙にトロピカルな海を見せられ
閉口したが、今回は寒々しい海と断崖に打ちつける波が
絶句させるほどの恐ろしい寒さを感じさせてくれ良かった。
地方の季節感と雰囲気はサスペンス劇には欠かせない。
あとは…本田博太郎の喋りが聞き取れなかったくらいか。
(ワルい鹿賀丈史を続けて観てしまった気がして疲れた。。)
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