マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと : 特集
全米で2週連続ナンバーワンを獲得し、興行収入も1億4000万ドルを突破した、正真正銘の大ヒット作「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」が3月27日より日本公開。この映画がそこまでヒットした要因は、やはりおバカな犬が引き起こす騒動がおかしいから? そんな犬でもやっぱり愛くるしいから? いえいえ、決して犬だけの魅力に頼った映画ではないのです。(文・構成:村上健一)
人と犬との絆と成長。名作犬映画に連なる新たな感動作「マーリー」
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■全米大ヒットの要因は…
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雪が舞うミシガンから新天地フロリダへとやってきた、ジャーナリスト同士で新婚のジョンとジェニー。彼らは、子どもを持つ自信をつけようと、まずは犬を飼うことを決意。ジェニーの誕生日にラブラドール・レトリーバーの“マーリー”を迎えるが、マーリーはとんでもないおバカ犬だった――。
このあらすじと主演の2人、ライトコメディでおなじみのオーウェン・ウィルソン&ジェニファー・アニストンの顔ぶれを見れば、誰しも「マーリー/世界一おバカな犬が教えてくれたこと」は、“動物モノのドタバタコメディ”と思うかもしれない。確かに同作は、子犬時代の愛くるしい姿に癒されるのも束の間、主人公の制止を振り切りほかの犬や飼い主に飛びかかる、雷雨に怯えて一晩中鳴く、家具や壁をかじってなんでも食べる……そんなはた迷惑な“おバカ犬”を笑う映画である。しかし、ただ単純にそれだけの映画が、全米で2週連続ナンバーワンを記録し、興行収入1億4000万ドル突破という大ヒット作となるだろうか?
■犬だけじゃなく、人間も
多くの人を惹きつける傑作となるには、題材のキャッチーさ=間口の広さはもちろんだが、そこに描かれるテーマが、誰もが共感できる普遍的なものでなければならない。下記の表で代表的な「犬が登場する映画」を挙げてみたが、やはり評価の高いものは、単に犬が登場するだけではなく、そこに関わる人間のドラマがしっかりと描かれているものが多い。犬は主役であって主役ではなく、“絆”というドラマを形作る要素の1つなのだ。
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この「マーリー」にも、その図式が当てはまる。原作は、ジョン・グローガンの同名ベストセラーエッセイ。大ヒット作「プラダを着た悪魔」のデビッド・フランケル監督が、愛すべきおバカ犬とのユーモラスな日々で笑わせつつも、仕事、結婚、家族、そして生命の尊さ……誰もが向かい合う喜びや悩みの数々を綴っていくというスタイルそのままに、完全映画化を果たした。
ノリノリの新婚時代から子供をもうけ徐々に成熟していく夫婦を、シリアスからコメディまで演じられる芸達者なオーウェンとジェニファーが好演。マーリーの姿に笑い、そして癒されながら、彼らが築いていく家族の絆の物語として、同作を楽しんでいただきたい。
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タイトル | 登場する犬種 | 主人公とのかかわり |
![]() | 樺太犬 | 南極に置き去りにされてしまう15匹の犬ゾリ犬。米リメイク版もあり |
![]() (85/スウェーデン) | ボーダー・テリア | 主人公の少年が常に一緒にいる愛犬だが、やがて別れが… |
![]() | 秋田犬 | 亡き飼い主を待ち続ける忠犬物語の映画化。米リメイク作が8月公開 |
![]() | ジャック・ラッセル・テリア | 内気でイケてない主人公の愛犬。主役を食う爆笑必至の見せ場アリ |
![]() | ブービエ・デ・フランダース | 主人公と苦楽を共にする愛犬。涙の名作童話を98年に映画化 |
![]() | ジャック・ラッセル・テリア | 母親が内気な少年にプレゼント。少年の成長に大きく関わる |
![]() | ラブラドール・レトリーバー | 盲導犬を拒否していた主人公のパートナーに。訓練過程も描かれる |
![]() | ドゴ・アルヘンティーノ | リストラされた主人公に貰われ、彼にわらしべ長者的幸せをもたらす |
![]() (05/フランス=イギリスほか) | コリー | 少年の親友として登場。往年の名作を2005年に再映画化 |
![]() | 柴犬 | 中越地震で泣く泣く置き去りにされてしまう母犬と3匹の子犬 |
![]() (07/アメリカ) | シェパード | “地球最後の男”に寄り添う愛犬。狩りの相棒として活躍するが… |
![]() (08/日本) | ゴールデン・レトリーバー | 主人公の愛犬。靴下をはいたように白い脚から“ソックス”と命名 |
![]() | ラブラドール・レトリーバー | 主人公夫妻が子育ての練習のために飼い始めるが… |
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