マイマイ新子と千年の魔法

劇場公開日:

解説

芥川賞作家・高樹のぶ子が自らが幼少時代を描いた自伝的小説を映画化。監督は「魔女の宅急便」(89)などで演出補を務めた片渕須直。昭和30年代、大自然に囲まれた山口県防府市にある旧家。おでこにマイマイ(つむじ)がある小学3年生の新子は、祖父から聞かされた千年前の町の姿やそこに生きた人々のことを空想することが趣味だった。ある日、なかなか田舎に馴染めない東京からの転校生・貴伊子と出会った新子は、次第に貴伊子と遊ぶようになり、心を通わせていく。

2009年製作/93分/日本
配給:松竹
劇場公開日:2009年11月21日

スタッフ・キャスト

監督
エグゼクティブプロデューサー
丸田順悟
製作
千葉龍平
野田助嗣
丸田順悟
岩田幸雄
企画
堀健一郎
吉田剛
丸山正雄
原作
高樹のぶ子
脚本
片渕須直
キャラクターデザイン
辻繁人
総作画監督
辻繁人
演出
香月邦夫
室井ふみえ
画面構成
浦谷千恵
作画監督
浦谷千恵
尾崎和孝
藤田しげる
メインアニメーター
川口博史
今村大樹
色彩設計
橋本賢
美術監督
上原伸一
撮影監督
増元由紀大
編集
木村佳史子
音楽
村井秀清
Minako "mooki" Obata
主題歌
コトリンゴ
アニメーション制作
マッドハウス
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(C)高樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会

映画レビュー

4.0【”千年の土地”に住む子供達が経験する、新しい友達との出会い、様々な遊び、美しい自然、哀しい出来事、大人の世界の事情などを子供目線で優しく描いたファンタジックな作品。】

2024年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■昭和中期の山口県防府市が舞台。
 快活な小学生の少女で、髪のマイマイが額の上にある新子は、クラスに馴染めずにいた転校生・キヨコを気にかけ、ウイスキーボンボンを一緒に食べて酔っ払ったりしながら、徐々に打ち解けていく。
 だが、大切にしていた金魚の「ひづる」がキヨコが付けていた香水のせいで死んでしまった事で、二人は死と言うモノを考える。

◆感想

・片淵須直監督ならではの、優しく親しみやすい絵柄で、子供達の表情がとても活き活きと描かれている。

・新子はお転婆で、空想好きだが、正義感も有り優しい女の子である。故に、誰からも好かれている。

・物語としては、男の子たちが一目置くタツヨシの警察官の父が、キャバレーで借金をしてしまい首を吊ってしまったり、大好きなチヅル先生が結婚のために東京に行ってしまったり、子供にとってはショックな出来事が描かれる。

・だが、新子はタツヨシとキャバレーに乗り込んで行くし、そこにいるキャバレーに関係する男女も、悪い人間としては描かれない。
 但し、物語としては子供が経験する”死”が金魚も含めてキチンと描かれているし、”別れ”もキチンと描かれている。

<今作は、”千年の土地”に住む子供達が経験する、新しい友達との出会い、様々な遊び、美しい自然、哀しい出来事、大人の世界の事情などを子供目線で片淵須直監督ならではの優しい絵柄で描いたファンタジックな作品である。>

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NOBU

4.0期待

2024年5月12日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

再上映にて、初見。
活き活きとした日常描写はさすがの一言。
新子と貴伊子の日々は、風や日差しすら感じられる気がするほど。特に貴伊子が新子に影響されてどんどん活発になってゆく様子など本当に素晴らしいし、後の「この世界の片隅に」のすずさんの描写にも通じる。
一方で、千年前の清少納言ことなぎ子との関連はいまひとつピンとこなかった。関係性が相似形なんだとしても、薄過ぎではないだろうか…?
そのあたりが片渕須直監督の次作「つるばみ色のなぎ子たち」で描かれるなら嬉しいな、と期待…

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ぱんちょ

4.5昭和30年の子どもたちとの地続き

2023年11月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

初めて鑑賞したのはだいぶ前だったが、ピカデリーでの上映で感想を書いてなかったのを思い出した。
昭和30年と約1000年前、平安の防府を、想像の中で行きつ戻りつ。でも派手な物語はない。
ダム遊び、想像しあう遊び、自分の子どもの頃の時代とも全然違う時代の子どもたちの遊びがなにか沁みる。
観るたびに少し温かい。

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kawa

4.0子ども向けでもファンタジーでもなかった

2023年11月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

良い噂は聞いていたし「この世界の片隅に」がとても良い作品なので、片渕須直監督の本作も興味はあった。
しかし、子ども向けそうなこと、ファンタジー色が強そうなことなどでなかなか観ずにいた。

蓋を開けてみれば、思ったほどファンタジーではないどころか、全くファンタジーなどではなく、時代のこともあって「ALWAYS三丁目の夕日」の、地方版、子ども中心版といった感じだ。
そして、噂の通り良い映画だったと強く感じた。

多くの映画監督には独自のカラーというものがある。雰囲気であったり、多用する技法であったり、脚本も自ら出掛ける場合、内容にも特色がある。
アニメーションの場合でも主に「映画」を主戦場にしているならば映画監督だ。
片渕監督にもやはりカラーはある。

「この世界の片隅に」で、すずさんの描く絵が実際に見えるものと重なるシーンなどが実にアーティスティックだが、本作においても同じような表現をしている。
二つの場面、本作では作中の現在と千年前をシームレスに移行させることで、あたかも同一の場面かのように表現する。観ていて場面切り替えによる引っ掛かりがなくなるのはある種の爽快感がある。
そして、主人公が妄想する過去として、その場に千年前を登場させてしまうのも印象的。

ほとんど関わりのない千年前が「今」かのように、千年前のお姫様が今の誰かのように錯覚できるのは素晴らしい。
この「続いている」感覚は、本作のテーマとも合致する。誰かが覚えていれば、誰かが思いを馳せれば、その人はまだ存在している。

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つとみ