劇場公開日 2009年1月9日

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ヘルボーイ ゴールデン・アーミー : インタビュー

2009年1月5日更新

ギレルモ・デル・トロ監督インタビュー
「僕はホビットじゃなくてドワーフさ」

トランクいっぱいにフィギュアを詰め込んで帰るという生粋のオタク、ギレルモ・デル・トロ監督
トランクいっぱいにフィギュアを詰め込んで帰るという生粋のオタク、ギレルモ・デル・トロ監督

2つのスーツケースを持って来日、1つには着替えなどが入っているが、もう1つはカラで、日本で買ったフィギュアを入れて帰るため。さっそく中野ブロードウェイで数時間を過ごしたとの噂だが、彼自身も2頭身のSDフィギュアにしたいようなキュートなルックス。そして、どんな質問にも笑顔で答えてくれる。

「原作コミック『ヘルボーイ』は、原作者マイク・ミニョーラが、彼も僕も大好きなマレーシアや中国などの神話や伝説をモチーフに、50年代のコミック作家ジャック・カービィの画風を使って、現代的な物語を描いた作品。僕はそれを50〜60年代の特撮映画の神様レイ・ハリーハウゼンのタッチを使って映画にしたんだ。さらに僕の好きなサーカスやオペラの雰囲気も加えてね。クリーチャーにもオマージュがあるよ。石の大きな巨人は『アルゴ探検隊の大冒険』に出てくる青銅の巨人タロスへのオマージュなんだ。

石の大きな巨人は「アルゴ探検隊の大冒険」に 出てくる青銅の巨人タロスへのオマージュ
石の大きな巨人は「アルゴ探検隊の大冒険」に 出てくる青銅の巨人タロスへのオマージュ

今回は音楽もハリーハウゼン映画へのオマージュで、『アルゴ探検隊の大冒険』などを担当してるバーナード・ハーマンっぽい音楽にしてる。昔のアドベンチャー映画ふうの音楽さ。そのために、音楽をいつも組んでるマルコ・ベルトラミじゃなく、ダニー・エルフマンに頼んだ。エルフマンにはそういう遊び心があるからね」

そして、すでに発表されているように、この映画は第3作も企画中。

「今回のストーリーは『パート3』を前提に考えた。リズが死の天使とした約束が『パート3』にも登場する。『パート1』でラスプーチンがヘルボーイが実現するはずだった終末のビジョンを見せているけど、『パート3』はヘルボーイが世界を滅亡させるという話になる。もちろん、その前に何かが起きるところが、おもしろいんだ。『パート2』は『パート1』よりもコミカルで人間的なストーリーだけど、『パート3』は悲劇的で苦痛に満ちた物語になる。3作はそれぞれ違う雰囲気の作品にしたいと思ってるんだ。そして全3作を続けて見ると、大きな映画の3つのパートになっているようにしたいんだ」

さて、本作の原作はコミックだが、監督がお気に入りのコミック原作映画はどんな映画だろう?

「うーん(と少し考えて)、コミックの映画化作で好きなのは、『ゴーストワールド』と『アメリカン・スプレンダー』だ。この2作は原作コミックの真髄を捕らえていると思うよ」

ではスーパーヒーロー・コミックの映画化作なら?

「(即答で)まず、『スーパーマンII/冒険編』、それからリチャード・ドナー監督の『スーパーマン』。この2作は僕のお気に入り映画だよ」

BPRDの面々と撮影中のデル・トロ監督(右)
BPRDの面々と撮影中のデル・トロ監督(右)

気になるのは、現在製作準備中の「ロード・オブ・ザ・リング」の前を描く「ホビットの冒険」。これにもクリーチャーはたくさん登場するが、デル・トロ監督が特にお気に入りのクリーチャーがいる。

「ドラゴンのスマウグだよ。というのも、僕の干支は辰年だから、前からドラゴンには惹かれてて、グッズを集めたりしてるんだ。ドラゴンは北欧神話の影響を受けた存在だけど、トールキンはそれにユニークな特徴を与えてスマウグという魅力的なクリーチャーを生み出した。彼は貪欲で、わがままで、強大な力を持ったドラゴンなんだ」

その「ホビットの冒険」はまだ脚本の開発中で、脚本が出来上がるまで出演者は未定だそう。ちなみに製作と共同脚本を務めるピーター・ジャクソンは、自分はホビット族だと語っているが、デル・トロは違う。

「僕はギムリと同じドワーフ族だね。ホビットはきれい好きだけど、ドワーフはきたなくても平気。ホビットよりもうるさくて、粗暴なところも似てるしね」

ドワーフは美しい手工芸品や建築を創り出す種族でもあるが、それは自分では言わないところもデル・トロ監督らしいのではないだろうか。


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