1968年にブームを巻き起こしたというGSは、私はこの映画で初めて知りました。いやー、時代ってすごいね、だってどう考えてもダサイもん。何このマッシュルームカット。でもダサイけどなんかいい味出してるんですよね~。そして日劇。私は映画館の日劇しか知りませんが、日劇って日本劇場の略だったんですね。そして当時は歌謡ショーをやっていたらしい。
栗山千明が男装と聞いたので、どんだけ男装するのかと思いきや、全然できてませんでした。だいたいバンドを組むことになったシュンなんて最初っから絶対お前女だろって言っちゃうぐらい、普通に女の子。それでも梶井は無理矢理ミクを男としてデビューさせちゃうからすごいです。
しかし最初「ザ・ダイヤモンズ」としてデビューした彼らの歌は全くヒットせず。このザ・ダイヤモンズのジャケットがねー、ウケます。シュンの顔が写ってないの。グループ名間違ってんの。
そして大の大人達がヒットを狙って真面目に考えに考え抜いた結果、が「ザ・タイツメン」。タイツを履いた王子様。いやー、かなり恥ずかしいです、この格好。それでもレコード会社に言われるまま「ザ・タイツメン」にグループ名を変えてデビューしたらこれが意外や意外、大ヒット。タイツを履いた王子様。中でもミクがすごい人気者に。
でも彼らがやりたかったこととは明らかに方向が違うんですよね。レコード会社に言われるまま、自分達がやりたかった音楽ではないものでヒットしてしまう。これはデトロイトメタルシティ と同じ現象です。売れるのと好きとは違うからなぁ。それでも大勢のお客さんの前で演奏して歌を歌い、拍手をもらえるというのはやっぱりうれしいものなんですよね。方向が違くてもやるきゃないって前向きにやる姿は、このダサイ格好でも格好良かったですから。
映画の中でこの姿でデビューした彼らも偉いけど、実際に栗山千明、石井卓也、水嶋ヒロ、浅利陽介の4人も本当偉いと思う。この格好、いくら役とはいえ、相当恥ずかしいと思いますから。
映画はかなり笑えるシーンがあったのですが、私が一番面白いと思ったのは「ザ・タイツメン」のテレビ番組での紹介。「ザ・タイツメン」4人が花壇の前で並んで歩いたり、野球したりする映像を紹介する番組で、そういうの、考えてみたら今もあると言えばあるんですが、ともかく古臭いんですよ。番組が。映像も語りも一昔前という感じで、それが妙にツボでした。
あとはレコード会社の企画会議が面白かったです。岸部一徳、最高!
宿敵、「ザ・ナックルズ」のボーカル役の高岡蒼甫は本当最初から最後まで腹立たしかったですよ。ここまでムカツク役を演じられるのはある意味すごいことかも。私もジュース頭からぶっかけてやりたかったわ。
正直ストーリーは陳腐といえば陳腐なんですが、なんだろうな、この面白さは。GSを知らない私でもかなり楽しめるし、GSを知っている時代の人たちは懐かしい気持ちで観れる映画なのではないかと思います。そしてブームは過ぎ去るもの。そんなちょっぴり切ない青春を感じたりもできます。
でね、「ザ・タイツメン」のデビュー曲「海岸線のホテル」がいいのか悪いのかわからないですが、すっごい耳に残るんですよ。映画の帰り道はずーっと頭の中にこの歌が流れてたし、今も歌えちゃうぐらい。1回映画観ただけなのに、これはすごいインパクトある曲ですよ。
本当笑って楽しんで元気になれる映画でした。私が生まれる前のブームを知れたのもなんだかちょっぴりうれしかったです。