フェイクシティ　ある男のルール : 特集

2009年2月2日更新

「地球が静止する日」が公開されたばかりのキアヌ・リーブスだが、早くも次なる主演作「フェイクシティ／ある男のルール」が、2月14日から公開となる。VFX満載でビジュアルの派手さが先行した「地球～」とは一転、“男のルール”を貫く刑事の姿を描いたクライム・アクションとなっている。本作であらためて、女はもちろん男も惚れる円熟味を増したキアヌのカッコイイ魅力を探ってみよう。（文・構成：平田裕介）

“男のルール”を貫く刑事役。キアヌ・リーブス主演作の見どころは？

■大人の魅力がほとばしるキアヌ・リーブスが、本当の“あぶない刑事”に！

お正月第1弾として公開された「地球が静止する日」が、初登場第1位という好調な興行成績をマークし、根強いスター性と人気の高さを証明したキアヌ・リーブス。その最新主演作「フェイクシティ／ある男のルール」は、骨太なアクションを随所に散りばめながら、“男のプライドと美学”ともいうべき己のルールを貫く、クールで実直な刑事の姿を描いたクライム・アクションとなっている。

キアヌが演じるのは、ロス市警でも群を抜く敏腕刑事でありながら、素性のわからぬ男性との不倫中に亡くなった妻のことを引きずり、朝からウォッカのミニボトルをグビグビとあおり、寝る時すら拳銃を手放せないというトム・ラドロー。その言動もさることながら、“正義のためなら手段を選ばない”という自らが敷いたルールのもと、犯人の生死などいとわない強引かつ危険な捜査を突き進める、本当の“あぶない刑事”なのだ。

「青二才はひっこんでろ！」とばかりに、ブラッド・ピットの「ベンジャミン・バトン／数奇な人生」、ダニエル・クレイグの「007／慰めの報酬」、ベニチオ・デル・トロの「チェ」2部作をはじめ、どっしりとした40代ならではの魅力がほとばしる男性スターの主演作が続々と公開されている昨今。さまざまな軋轢や重圧に屈することなく、警察内部の不正が絡んだトラブルの渦中へと身を投じ、胸の奥底に秘めたピュアな正義感をたぎらせまくる姿をキアヌが披露する本作は、そうした作品群の真打ちと言っても過言ではない！

■ジェームズ・エルロイの世界に、“人間”キアヌの魅力がプラス

また、本作のもうひとつの魅力が非常に優れた刑事映画であることだ。

そのリアリスティックで鮮烈なバイオレンス＆アクション描写はもちろん、正義を守るはずの警察内で繰り広げられている犯罪、職務よりも出世や金といった黒い欲望に忠実になってしまう警察官たちの実態も巧みにすくいとっているのは、同じロス市警を登場させた「L.A.コンフィデンシャル」「ブラック・ダリア」の原作者であるミステリー小説家ジェイムズ・エルロイが脚本を手がけているからにほかならない。

また、デンゼル・ワシントンが汚職刑事を熱演してアカデミー主演男優賞に輝いた「トレーニング・デイ」、ギャングたちの包囲網を突破しながらの護送作戦に挑む警察特殊部隊の姿を描いた「S.W.A.T.」など、秀作警察映画の脚本を執筆してきたデビッド・エアー監督ならではのツボを押さえた演出も功を奏している。

コンピューターの支配に立ち向かう救世主や悪魔に挑むオカルト探偵、そして人類に警告を与えにきた宇宙からの使者といった、人間離れした役柄が続いていたキアヌに物足りなさを感じていた人はもちろんのこと、派手なアクションを並べただけではない「フレンチ・コネクション」や「L.A.大捜査線／狼たちの街」のような胸にガツンとくる刑事映画を見たい人も満足できること間違いなしの一本だ！

◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇　◇