ラストゲーム 最後の早慶戦

劇場公開日:2008年8月23日

解説・あらすじ

太平洋戦争真っ只中の1943年。戦局の悪化に伴って6大学野球は廃止され、学生に対する徴兵猶予も停止となった。そんな中、出陣直前まで野球を続けることを誓った早稲田大学野球部顧問の飛田の元に、慶応義塾塾長の小泉から"早慶戦"の申し出が舞い込み……。現代にまで語り継がれる感動の実話を、「大河の一滴」の神山征二郎監督のメガホンで映画化。渡辺大、柄本佑ら注目の若手俳優が、野球に希望を見出す学生たちを瑞々しく演じる。

2008年製作/96分/日本
配給:シネカノン
劇場公開日:2008年8月23日

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(C)2008「ラストゲーム/最後の早慶戦」製作委員会

映画レビュー

4.0 【”生きていた証の思い出を作ってやりたい。”今作は戦争が激化する昭和18年に行われた早慶戦を描いた作品である。立派な教師がいたモノであり、学徒動員など言語同断の行為である事を描いた反戦映画でもある。】

2026年5月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

■昭和18年。
 戦況が悪化する中、六大学野球連盟は解散し、リーグ戦も中止となる。学徒出陣が間近に迫り、出征前にもう一度試合がしたいという部員たちの願いを受け止めた慶應義塾の小泉信三塾長(石坂浩二)は、早稲田大学の野球部顧問・飛田(柄本明)に早慶戦を申し入れるが、田中総長(藤田まこと)から反対される。
 そんな中、早稲田の戸田順二(渡辺大)の兄が戦死する。葬儀の場で父(山本圭)は、早慶戦を強行しようとする飛田を詰るが、妻(富司純子)から”野球をさせてあげて下さい。”と訴えられ、飛田を家の外に連れ出し”大本営の報道は、信じられない。お願いします。”と頼むのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・実話ベースの物語は、説得力がある。国民が軍部に逆らえない時代に、良く小泉と飛田は”出陣学徒壮行”試合として、神宮球場ではないが、早稲田の戸塚球場で”最後の早慶戦を行うのである。

・飛田の想いを最後に汲み、”何かあれば私が責任を取る。”と言いきった田中総長も立派である。教育者は小泉、飛田、田中の如く有って欲しいモノである。
 戦時は、教育者の一部が生徒に暴力を振るっていたという書物を多数読んできたが、そういう”寅の威を借る狐”は、戦後は大人しくなったという話も、良く読んだ話である。
 特高警察を筆頭にした、官憲も同様であろう。

・今作が、哀しくも爽やかに鑑賞出来るのは、その試合のシーンの描き方である。慶応に大差を付けた早稲田大学であるが、飛田は”控えを出しましょう。”と言う進言を”相手に失礼である!”と一蹴するのである。
 真の相手に対する礼儀である。

・試合後の、両軍の応援団が相手に対し、エールを送り合うシーンは、とても好きである。涙が出そうになる。
ー 私事で恐縮であるが、私は高校野球の夏の県大会を球場に足を運んで良く見ていたモノである。愛知県には中京大中京や、東邦、愛工大名電など強豪がひしめいているが、私が足を運んだのは、1.2回戦である。
  どんなに弱くても、どのチームも必死に戦い、ゲームが終わればお互いにエールを送り合い、今作の様に抱き合って別れるのである。泣いている選手も多い。自分の高校時代を思い出して目頭が熱くなるのである。-

・ラストは学徒動員の実際の壮行のシーンが映し出される。そして、特攻機が米軍の戦艦に体当たりするシーンも映されるのである。
 戦争時に、負けているとはいえ、将来を担う学生を戦地に出す国に、勝ちはない事はご存じの炉落ちである。

<今作は戦争が激化する昭和18年に行われた早慶戦を描いた作品である。立派な教師がいたモノであり、学徒動員など言語同断の行為である事を描いた反戦映画でもある。>

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NOBU

5.0 最後の早慶戦

2022年4月26日
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アルキ

4.0 父が心配そうに息子を見つめる姿を見逃すな・・・錯覚だったかも・・・

2021年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 六十五年の時を経て永遠に語り継がれる試合がある。昭和十八年、戦局が悪化する中で、野球が敵性競技とされていた時代のことだ。四月に六大学連盟が解散させられ、九月には学生の徴兵猶予も停止され、、多くの野球部員が戦場へと駆り出されることになった。戦場へ赴けば生きて戻ってこれなくなる・・・選手たちは徴兵前に何とかして早慶戦を行って思い出を作りたかった。

 慶應義塾の小泉塾長(石坂浩二)が早稲田の野球合宿所を訪れ、早稲田大学野球部顧問の飛田穂洲(柄本明)に試合を申し出るが、早稲田大学総長(藤田まこと)は頑として拒絶する。野球部員たちの熱き思いと飛田自身の思いが早慶戦開催させる物語なのです。

 主人公は戸田順治(渡辺大:渡辺謙の息子)。彼の兄も野球をしていたが陸軍へ志願していて、自分の叶わなかった夢を弟に託す。父親には山本圭。いつもの印象とは違い、軍国主義にどっぷりと浸かった人物にも見えるという意外性。そして母親には富司純子。息子が出征することを誇らしいとは言えずにいたが、「立派な母親ではありません」と一気に自戒を解く台詞が感動的でした。

 この戸田一家を中心に展開するものかと思っていたけど、順治と同室の黒川(柄本祐)の淡い恋、食堂の娘(原田佳奈)が部員の憧れの的だったという挿話などもあり、飛田の熱心な交渉と腹を決めた決断が“出陣学徒壮行早慶戦”開催に結びつくのが中盤における感動の頂点となっていた。もちろん、号泣できるのは試合後に応援歌、校歌を相手の応援団が歌うところ。

 北京五輪における星野日本が世間や報道で非難轟々だったのですが、なぜここまで非難されるのか不思議でしょうがない。金を獲ること、強豪国に勝つこと。元々彼の強気な発言や豪華な職業野球人を揃えたことへの反動もあるのだろうけど、こうした非難こそ国力の顕示を求めた、いわば競技という名を借りた戦争といった印象が残ってしまう。野球そのものが平和の象徴であるとか、純粋に試合を楽しむといった原点を思い出させてくれるこの作品を観てしまうと、「試合を楽しむだなんて恥知らずだ。勝たなきゃ駄目」とのたまった、憎たらしい政治家の顔まで思い出してしまいます。

 この実話の映画化は初めてなのかと思っていたら、一九七九年に岡本喜八監督の『英霊たちの応援歌/最後の早慶戦』で一度映画化されているようです。特攻隊を描いた部分もあるらしいのですが、今回の神山征二郎作品では戦争描写が最後に実写映像が出てくる程度。戦争の恐怖や悲惨さよりは、徴兵を余儀なくされる若者の理不尽さや、平和を願う人間愛を強烈に感じました。

 渡辺謙の息子の演技は、卒は無いが強烈な印象もないといった感じ。山本圭や富司純子は見事に感動を与えてくれるのですが、それよりも際立った演技は柄本明。“一球入魂”という言葉を残し、学生野球の基礎を作った功績のある飛田穂洲という人物にも興味が出てきます。

【2008年8月映画館にて】

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kossy

2.5 ブランド

2021年7月8日
PCから投稿

最後の早慶戦がこんにちまで語り継がれるドラマとなっているのは、それがワセダとケイオウの話であるからに他なりません。
でなければ歴史の隅に追いやられ、何十年も経て映画化されることは有り得ないでしょう。

無関係のにんげんにとって「だからなに」や「それがどうした」になること──そんな疎外感を多くの日本人が、知っているのは、この国のほとんどの時事が東京の話題で占められているからだとわたしは本気でおもっています。

ご存知のとおり、この国の地方都市はどこへ行ってもシャッター街です。都市圏とイオンだけに人がいる国です。

たとえば新型コロナウィルス禍とオリンピック。とうぜん関係ないとは言いません。しかしどうでしょう。
まんえん防止や緊急事態宣言が、1ミリも関係ない地方が、この島には、事実上たくさんあり、そこにも大勢のにんげんが住んでいます。

オリンピックにしても、どこか地方に住んでいたら、恩恵も、受難も、なんにもありません。ばあいによっては東京オリンピックと言ったら市川崑の映画のことだと思う人だっているかもしれません。(冗談です)

この国でメインストリームの階梯を昇りたいばあい『ブランド』が重要です。(本気です)

どんな野望があるにせよ、賢明ならば、16か17歳あたりで「おや、この国、東京に出なきゃ話にならんぞ」と気づきます。東京はブランドです。そこに住むことはブランディングです。

ユーチューバーが稼いでいる現代では、勘違いしてしまう人もいますが、きほんてきに、いい大学へ行き、いい会社へ入り、出世することが、今もわたしたちの人生の王道だと思います。

出陣する学徒を壮行するエピソード、日の目を見なかった野球と戦争のドラマが日本中に星の数ほどあったに違いありませんが、後世に伝えられるのは最後の早慶戦だけです。
わが国の私立二大ブランドである「早」でも「慶」でもない人が、この映画を見る理由・根拠・由縁・事情がありますか?なんにもありません。「けっ、なにが最後の早慶戦だよ」と毒づきながら、見るほかありません。

で、思ったのです。
みんながウィルスで困窮している今、オリンピックの開催は、「早」でも「慶」でもない人にとっての早慶戦のようなものです。

じぶんに、いっさいの関わりを持たない東京以外の日本じゅうで「けっ、なにが東京オリンピックだよ」と毒づきながらオリンピックを見るんだろうな──と思ったのです。

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津次郎

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