容疑者Xの献身のレビュー・感想・評価
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独立した映画とみるか、ドラマの映画化とみるか。
一本の独立した映画としてみれば、結構楽しめる作品だが、原作を読んだ私には、主人公の堤真一がどうしても受け入れられない。
もう少し真面目で顔が悪い方がいい。
もう一つ、松雪泰子。女優の美しさが目立って幸薄いシングルマザーは想像出来ない。
まあ原作を越えたのは福山雅治の作り上げたキャラとテーマ音楽かな。
原作が、抜群に面白いのでシナリオはよっぽど下手な脚本家でない限りはまあ大丈夫。
原作は読んだ後に涙が溢れ出した。
映画はそうならなかった。
それが差。
最後に、私は柴崎コウ派です。
間違えるな!愛ではなくなってしまい、悪は空しく綻びる
巧妙な東野圭吾ワールドが堤真一によって鮮やかに!
これ、もう3、4回は観てる気がするんですが飽きませんねー。テレビ局製作の邦画だとかなり上位に入るんじゃないでしょうか。
いつ観ても初めて原作を読み終えた後にまたすぐ読み返した時のことを思い出します。「不思議に思っていたでしょう」で鳥肌がたったことも。
東野作品は初見で唸るのはもちろんのこと二回三回と伏線を確認しながら答え合わせのように楽しむのも醍醐味の一つ。
“飽きさせない”の功労者は監督や脚本ではなく原作の東野圭吾さんの構想となんといっても堤真一さんでしょう。
湯川先生「実におもしろい」とか言わない〜と思ってドラマは観てなかったんですが、常人の一歩も二歩も先を行く天才二人の対決の温かい切り口が新鮮でせつなくて見事に手の平で転がされた『容疑者X』は特に好きということもあって不安を感じながらも試聴。
堤さんじゃイケメンすぎない?と思ってたけど見事にいい感じに“石神”で(欲を言うならデ・ニーロみたいに髪まで再現して欲しかったw)、回想〜護送までの堤さんの演技には原作以上に涙が止まらなくなりました。
あと東野さんの文章ってすごい情景がイメージしやすいから実写化もスムーズに楽しめるし(『真夏の方程式』はしてほしいくらい!)、改悪も多いけれど小説ならではの「上手いなぁ」という部分や原作のページをめくる手が止まらない感じも活かしてあるしこの映像化は大成功と言っていいと思います。
本音を言うならテレビ局製作じゃないのがみたかったけど、テレビの延長って感じも極力抑えてあって好感が持てました。それに結局本当はもっと可愛いげのない(いい意味で)イメージだった湯川先生たちも今ではもう本を読みながら福山さん、コウちゃん、メガシャキwで勝手に再生されちゃうようになりました。
でも本作では内海はいなくてよかったかな。なんか商業的なだけの配役や演出はがくっときます。
そしていくらなんでもダンカンは違うでしょ〜!w
あとは爆発とか雪山とか変な付け足しをせずにもっと最初と最後の娘のくだりなんかに時間を割いたら更に良かったかなと思います。
あ、牢屋の天井の演出は素晴らしかったです!堤さんの表情も相まって。ああいう、文字を素直に起こすだけじゃない映画ならではの工夫はうれしくなります。
とにもかくにも原作ファンも充分満足できる良作です。
愛の証明
まずストーリーについて
テレビ版も楽しんで観ていたが、今作も面白くガリレオシリーズは面白いなぁと思った。
冒頭の内海が湯川に愛について尋ねることが全体の振りになっており、今回の事件がそれに対する証明となっている、というのがこの映画の構成である。
最後に内海が石神にとってあの親子の存在が生きる理由だった、というのが印象的である。
あの親子への恋心が生きる活力だったのであろう。(あの親子が石神にした挨拶などは大したことのないものだが)
常に論理的で私情を挟まない湯川は苦しむことになる。それは石神に対する愛である友情があるからである。天才として分かり合えた友情が。
論理的・科学的には説明がつかない愛の存在を一つの例として証明したのが今作であると思う。
非常に悲しい物語だ。確かに誰も幸せにならない。真実は時に残酷なものだ。
最初から死体を捨てればよかったという意見があるが、日本の警察をなめてはいけない。宿からの失踪届けから花岡の存在を突き止めかならず死体が引き揚げられたであろう。
映画について
なんといっても堤真一だろう。最後に泣くシーンは俳優ってスゴイなぁと感じさせられた。
うん、面白い
ラストでやられました!
“映画っぽくしてみました”が鼻につく
自ブログより抜粋で。
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直木賞受賞作が原作だけあってテレビドラマの劇場版と思えば充分面白いんだけど、テレビ的価値観による“映画っぽくしてみました”が鼻につく。
(中略)
原作未読のおかげで驚きのトリックにはまんまと騙されたし、感動の大団円も素で満喫できた。
けど、オープニングの派手なだけの実験や取って付けたような雪山登山とか、なんか「頑張って映画スケールにしてみました」っていうあざとさが気になってしょうがなかった。
山小屋が顕著なんだけど、照明がよくないのか撮り方が嘘くさいのか、セットがあからさまに作り物だし、湯川と石神の挑戦的な別れ際のスローモーション撮影も演出過剰ではったりにしかなっていない。
推理モノとしてのトリックの全貌がわかったときはさすがに唸らされたけど、そこに至る推理過程は観客を置いてけぼり。
もう少しヒントなり、ミスリードなりを用意してくれないと傍観するしかない。別の言い方をすると、真相は予想できなかったにもかかわらず“やられた感”は乏しいのだ。
また、脚本の詰めの甘さからか石神にあまり天才らしさを垣間見れられないのも物足りなさを感じた。
トリックそのものは天才らしい周到なものだったけど、前提となる石神という孤独な天才キャラクターを描き切れていない。
机上で難問を解くとかではなく、もっと日常的なところで凡人との違いを見せつけなければいけないんじゃないの?
役者に目を転じると、堤真一の役柄をわきまえた抑えた演技はよかった。実質的な主役は彼。
松雪泰子と金澤美穂ちゃん親子もいい。松雪泰子はいい女優さんになったなあ。
福山雅治も悪くないんだけど、堤真一らと対峙するとやはり格の違いを感じてしまう。
柴咲コウはたくさん映画に出てる割に演技の幅が少ないなあってのが正直なところ。でも今回は案内役ということでそれはあまり気にならない。ただ、唯一の見せ場といえる福山雅治に真相を問い詰めるシーンが演出のまずさもあって台無しなのが惜しまれる。
総じて最近あまりない本格的な推理モノとして悪くはないんだけど、素直に褒める気になれない歯がゆい作品。
コミカルを封印したヒューマンドラマです。
お、重い・・・・
火曜サスペンス劇場です
友達がスマステで稲垣くんが絶賛してたから観たい、とのことで一緒に観ました。
ドラマを知らないし、原作も知らない。
でも、この程度の出来のサスペンスならテレビで十分満たせます。
天才物理学者VS天才数学者という高度な頭脳戦を期待できる設定も、途中からあまりにもその二人の人物造詣を崩しすぎです。天才物理学者、湯川は「愛」ですらも数式にするキャラクターだから面白いんであって、それを崩して、途中から人間味あふれるキャラクターにするなんて都合よすぎです。結果、ありふれた推理ドラマになったという感じ。さらにそこから安易に泣かしにかかる典型的な日本映画の悪癖。これ禁じ手にして欲しい。
その設定を活かせるほどの頭脳をこのシナリオは持っていなかった、という事に、本作を見る限り解釈するしかないですね。CM以外あまり知らなかった福山雅治は収穫。柴咲コウは良くも悪くもないが、役的に本作では緊迫感に水を差す存在でした。
ちなみに友達はテレビのほうが全然面白かったと言っておりました。
しばらく街並みを眺めて考えました・・・
東野圭吾原作のテレビドラマ「ガリレオ」は、そのキャストの豪華さで話題を呼んだ。
福山雅治と柴咲コウという生活臭を感じさせないコンビが、月9の枠で華やかに舞っていた。
その延長上にある今作にも、テレビ規格そのままなステレオタイプとエンターテイメント性を、半ば求めてみた。
しかし、大きな誤算だった。
あの物理学者の湯川という主人公、何とここでは華麗な推理力と鋭い洞察力、鍛え抜かれた計算力という「お決まりごと」を、一先ず、そっちに置いていたからだ。
規則正しさが崩れたら、その事後処理を如何にするか?・・・それがこの映画の背景だ。
この物語のキーマンである石神という天才数学者、陽の当たらない陰湿な雰囲気の彼に起きた悲劇は、やがて思わぬ方向に進んでいく。
人間の奥に眠るいくつかの感情、それらが登場人物たちを左右していく。
やがて各々に重く圧し掛かるのだ。
石神の隣の部屋に弁当屋の女主人とその娘が住んでいる。
そこへ別れた元夫が突如現れ、娘に暴力を奮いだす。
やがて、二人は元夫をやむなく殺してしまう。
騒々しい物音に気づき駈けつけた石神は、二人の事件隠ぺいの為に数学者としての才気を活かし完全犯罪を思惑する。
一見冷静で完璧なはずな計画も、湯川の推理の下で次第に解き明かされていくのだが・・・という流れだ。
主人公は当然ガリレオ・シリーズでの福山雅治ではあるが、むしろこの劇場版に至っては石神役の堤真一であると言える。
かつて湯川と同じ帝都大学に在籍した天才数学者が、どこかで人生を踏み外し息を潜めるかのような毎日を送っている。
草むらでひっそりと生息する動物や微生物のように思えてならなかった。
スタイリッシュで若々しく背筋の伸びた湯川に対して、猫背とハの字に歪んだ眉の石神、その冴えない風体を堤は自然に演じ切っている。
ハイライトシーン、二人が警察の取り調べ室にて相対するカットが、ものすごく印象的だった。
そういえば勝ち組負け組なる言葉もあり、何となくそんな図式に見えてならなかった。
そんな石神にも、湯川に負けない部分がいくつかあった。
数学への愛着、登山(これは劇中のみ、原作にはないものらしい・・・)そして湯川には到底解明できない(ことになっている)「ある難問」である。
なぜ故に石神は完全犯罪を企んでまでこの親子を守ろうとしたのか?
そもそも、隣人という立場上からして無関係だったにもかかわらず、石神をそこまで駆り立てた本当の理由・・・そこが最大な見せ場だ。
きっと男女関係なんかではない!(当初はそう思ったが)
もっと人間らしさの奥深い場所にそれは眠っている。
眠ってはいるが、ちゃんと起きている・・・いや、目を覚まさせてくれるほど尊いものだ。
その例えを劇中では「難しい微積の問題じゃなく、単なる関数の引っかけ問題」というような言い方で表していた。
あるいは「隣り同士が同じ色に染まってはいけない・・・」と半ば諦めた感じに。
日陰の動物にだって時折陽が射す。
それを本当は捉えて離したくないのだろうか?
草食動物でもたまには肉を平らげてみたいものなのか?
そうではないのだろう・・・自然の摂理だ。
いつもの場所で規則正しく、そして明日をひたすら待つ・・・本当はこれが一番難しいのだ。
だからこそ尊いのだと思う、日々が無事に済むというのは。
石神の様々な仕掛けに対し湯川は次々と仮説を立てて刑事の薫に話すのだが、どうもテレビ番組でのあのガリレオらしさとは違って見えた。
おかしいな?解せない思いで劇場を後にしつつ、改めて考えた。
ドラマシリーズでは、大概このような流れだったかと・・・
『推理、仮定仮説、そして実験による立証』
ところが、この事件は仮説の段階で結局止まっているのだ。
実験など出来る由もない。
仮にしたとしても誰も幸せになれない虚しさ・・・それを一番知っていたのは湯川本人だ。
最後に見せる石神の「慟哭」シーンは、湯川にとっての「慟哭」でもあったのだろう。
湯川が望んだ本当の解決を得られなかった。
唯一の未解決事件なのかもしれない・・・そんな彼の「慟哭」にも気づいてしまった。
幸せを求めたり、希望を見出したり、それらを当り前に描くのが人の常だ。
そして、僕らはひたすら一途に生きている。
ただ単に、そう思える日々が愛おしくないか?
堤さんスゴイ! 泣けました・・・!!
ハラハラと崩れるように鳴き落ちる堤真一の演技に鳥肌がたちました。
本作は、テレビドラマ『ガリレオ』の劇場版です。小地蔵は、テレビ版は全然見ていません。それでも楽しめましたからこれから見る人もご安心を。
本作は、推理ドラマとしては異色の犯人と犯行を冒頭で明示してから進行します。しかし犯人には、完璧なアリバイがあり、捜査は行き詰まりますが、見ている方もアリバイに捕らわれすぎました。
本編を支配する数学的ギミック。簡単に言うとある面ばかりしか考えない思い込む人間の習性にギャフンとさせられるのは捜査陣ばかりではありません。
容疑者の数学教師・石神は、観客にも数学的思考を要請しているように思えました。そしてストーリーテーラーとなる物理学者の湯川学の解説を通じて、本作の事件を別な視点で推理する必要を痛感しましたね。
頭脳派二人がぶつかるとき、無言に近い以心伝心の対決が見物でした。そして数学=最初に真相回避の命題を開示して、それを実現する公式を次々編み出していく発想法に対して、物理学はひたすら実証と推論を繰り返して、真相に近づいていくという二人の立場の違いが鮮明になったと思います。
さて、犯人の花岡母子は、別れた夫にアパートを突き止められ、二人ははずみで前夫を殺してしまいます。隣の住人だった石神は犯行を察知して、花岡宅に乗り込みます。てっきり脅迫するのかと思ったら、共犯のリスクがあるのに石神は、事件の隠蔽とアリバイ作り、そして警察への対応を完璧に母子に指示し、捜査を攪乱してしまうのです。
観客にとって大きな謎は、冒頭に元夫殺しを見せつけているのに、警察の特定した死亡推定時間には、親子で映画を見ていたという完璧なアリバイが出来ていたことです。石神はどんなトリックで、アリバイを作り上げたか。
この謎はラストまで引っ張り、犯人母子も知らなかった容疑者Xの常識を越える献身ぶりが、明らかになって行きます。
真相がわかったとき、思わずそんな手があったのか!と思われるでしょう。
そしてホームレス街にポツンとベンチに取り残された荷物が意味なくアップされる、中盤のワンシーンに隠された重大な意味に気づかれて、あっと驚かれるのに違いありません。
もう一つの謎は、なぜ容疑者Xは見返りを求めず犯人母子に献身しようとしたかです。これもドラマとともに次第に明らかになります。単なる恋心でなく、母子に出会ってもたらされた生きるための意味が、彼にとってどれほど大きなものであったのかしれなかったのです。
そのために決定的なのは、石神という人物のキャラクターです。堤真一はこれまでのネアカで活動的なキャラを覆し、陰の深い数学オタクの教師役をリアルに演じていました。クライマーズ・ハイとの余りの違いに、当初は別人だと思ったくらいです。
そして圧巻は、東野圭吾作品のヤマ場。仕込んだトリックが崩壊して、犯人が号泣するお約束のシーンで、ハラハラと崩れるように鳴き落ちる堤真一の演技に鳥肌がたちました。犯行が張れただけでなく、全知全能を尽くして仕立てた自分の献身が音立てて脆くも崩れてしまった刹那だったのです。
反面福山雅治は、湯川という役柄を作り込みすぎている感じがしました。石神と心を通わせる後半は、ずいぶん馴染んできたような落ち着いた演技になっていました。
それにしても、伝わってくる思いメッセージは、真実を暴くことが正しかったかということです。それでは誰も幸福になれないではないかという石神の言葉が、湯川を追い込んでいきました。
物理学者は、立証してなんぼの商売。聡明な湯川でも、論理を超えた情という不確定因子の前には、自分の信念が揺らいで、後味の悪さばかりが残ったことでしょう。
映画『ビック・フィッシュ』のテーマでもありますが、事実よりも作られた記憶の方が重要な意味を持つことも考えなくてはいけませんね。
おもしろい!
TVドラマは1話も見ていません。原作は読みました。
映画、面白かったです!
原作を読んでいて、「そ、そういうことかぁぁ!」と思わず唸ってしまったほどのトリックと献身。原作のままではないですが、見事に表現されていたと思います。
残念ながらドラマ版を見たことがないので、そちらとの比較はできませんが、映画は原作を読んで受けた印象に近いものでした。登山のシーンは若干ポカーンとしましたが…。必要だったのかなぁ。。。
キャストも良かったと思います。堤真一さん演じる石神も、見事に陰湿で暗い男になっていました。(観る前はかっこよすぎるのでは?と思ってた)松雪泰子さんもすごくキレイ。
原作好きな人には物足りない部分もあると思いますが、「そもそも原作を100%完璧に再現するのはムリがある」という前提で観ると十分楽しめると思います。
全136件中、101~120件目を表示