ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 : インタビュー
「アルマゲドン」「パール・ハーバー」などヒット作を連発し、さらには「パイレーツ・オブ・カリビアン」3部作の世界的大ヒットで、ヒットメーカーの名を欲しいままにするプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマー。「ナショナル・トレジャー」もまた、そんな彼の手により世界各国で興行的成功を収めた。第2弾となる本作は、前作同様アメリカの歴史に焦点を当てながらも、舞台はロンドン、パリにも広がり文字通りスケールアップ。本作の影のキーパーソンともいえる彼に、ヒット作製作の秘訣を聞いてみた。(聞き手:編集部)
ジェリー・ブラッカイマー インタビュー
「私はただ、自分が絶対観たいと思う映画を作っているだけなんだ」
――“続編は前作を超えられない”とよく言われますが、そうした中でより良いものを作るために注力したのは?
「一番大切なのは、なによりもストーリーが面白いということだよ。また、魅力的なキャラクターがいてこそ、1作目も受け入れられたと思っているから、今回はキャストにヘレン・ミレン、エド・ハリスというオスカー受賞、ノミネート俳優を加えた。この映画には、オスカーを受賞またはノミネートされたことのある俳優が5人(ニコラス・ケイジ、ジョン・ボイト、ヘレン・ミレン、エド・ハリス、ハーベイ・カイテル)出演しているわけだが、そうした素晴らしい俳優を揃えることも大事なんだ。そしてもうひとつ、同じスタッフを揃えるということもね。前作と同じエンターテインメントのレベルをキープし、前作とクリエイティブな面での繋がりを大事にすることが、続編を作る上では重要なんだ」
――ベストセラー小説、グラフィックノベルなど原作付きの映画化作品や、名作のリメイク作品が増えている中で、あなたが手掛ける作品にはオリジナルが多いですね。
「リメイク作品も原作がある作品も作ったことはあるが、出来るだけオリジナルを追求していきたいと思っているよ。ただ、オリジナルにしろ原作があるものにしろ、こだわっているのは、それが“いい題材”であるということだね」
――日本のコンテンツがハリウッドで映画化されるものも増えています。「トランスフォーマー」もヒットしましたし、そうしたものに興味は?
「『トランスフォーマー』は日本でもヒットしたのかい? なるほどね。もちろん日本のコンテンツに興味もあるけど、そのためには、まずはいい題材を探さないとね」
――大ヒットを連発していますが、企画をみて「これは行ける!」と思う基準があなたの中にあるのでしょうか?
「私はただ、自分が絶対観たいと思う映画を作っているだけなんだ。あなたが何を観たいのか、あるいは観客が何を観たいのかというのはわからないから、とにかく自分が観たいものを作っている。そして非常にラッキーなことに、私が観たいと思うものを作ると、観客も観たいと思ってくれている。今は運良くそれで上手くいっているけど、いつか誰も観たくないものを作ってしまうかもしれないよ(笑)」
――今回はロンドンでのカーチェイスシーンが迫力ありましたが、大変だったところは?
「ロンドンでのチェイスシーンの撮影は、ものすごく苦労したよ。あれだけ交通量が多い大都市だから、日曜の早朝しか撮影の許可が下りなかったし、それまでに警察や政府機関、フィルムコミッションなど、いろいろなところに行って交渉し、やっと許可をもらったんだ。アメリカ国内でも、ラシュモア山、議会図書館、ホワイトハウス前……ほとんどが撮影が難しい場所ばかりだったよ(笑)」
――クライマックスのラシュモア山といえば、「北北西に進路を取れ」が有名ですが、“ヒッチコックを超えてやるぞ”というような意識は、スタッフ間であったのでしょうか?
「ノー(笑)。彼は名匠だから、さすがにそれは無理だよ(笑)。でも、少しでも近づきたいという意識はあったけれど……そうなっていれば幸いだね」