火星人メルカーノ
劇場公開日:2005年2月26日
解説
アルゼンチンに不時着した火星人が主人公のシュールなSFアニメーション。火星人であるメルカーノの視点を通して、現実のアルゼンチンでも問題になっている貧富の格差、失業問題、犯罪などの社会問題を浮き彫りにしている。監督のフアン・アンティンは、アルゼンチンとカナダでアニメーションを学び、手描き、2D、3Dコンピューター・グラフィックスをミックスした独特の手法を用いて本作を作り上げた。
2002年製作/75分/アルゼンチン
原題または英題:Mercano, el marciano
配給:アップリンク
劇場公開日:2005年2月26日
ストーリー
火星で平和に暮らしていたメルカーノは、ある日ペットの火星犬が地球から来た火星探査機ボイジャー号の下敷きにされ殺されてしまう。復讐のため地球へと向かうが途中で宇宙船が故障、アルゼンチンのブエノスアイレスに胴体着陸して帰れなくなってしまったのだった。犯罪や暴力のやまない街でみじめな姿で暮らすメルカーノは、インターネットを使って火星に暮らす恋人と仲間に助けを求めるが、彼らは自業自得だと取り合ってくれない。地球の生活に耐えられなくなったメルカーノは、インターネット上に懐かしい火星をバーチャル世界として作り出す。火星を上機嫌で散歩していたメルカーノは、偶然サイトに接続したフリアンという少年と出会う。ブエノスアイレスの大企業の社長である父、プチ整形で美貌を保つ母と暮らす、でっぷりと太った少年である。なんでも思いのままに創造できるバーチャル世界に興奮するフリアン。次第に2人は仲良くなっていった。しかしメルカーノの存在を知ったフリアンの父は、そのバーチャル世界を自らのビジネスに利用しようと考えた。フリアンの父はビジネスパートナーとしてメルカーノに話を持ちかける。「火星に帰る宇宙船を用意してあげよう」という嘘の提案に騙されたメルカーノは、シャンパンを飲まされて酔っぱらい捕まってしまう。彼らはメルカーノの脳から手に入れた火星人の持つ瞬間移動の能力を使い、「パポライザー」という、瞬間移動通販装置を開発した。これによってパソコンの前で欲しい商品の名前を言うだけで、何でも取り寄せられるようになったのだ。世界中にばら撒かれたパソコンによって、人間はパソコンの前にくぎづけになっていった。一方、メルカーノが捕まったことに気づいたフリアンは、メルカーノを助けるために会社へと乗り込んだ。実験装置からメルカーノを連れ出し、警備員から逃げる2人。メルカーノの銃の前では警備員はなす術を持たなかった。やがて2人がたどり着いたのは商品を世界中に届ける「パポライザー・センター」だった。商品の冷蔵庫と一緒に瞬間移動で脱出した2人は、「テクノロジーは世界を破壊する」と持論するブエノスアイレスの若者と出会う。騙されていたことを知らされたメルカーノは、若者達とパポライザーを管理するサーバーを破壊するために再び会社に乗り込んだ。警備員との闘争ののちサーバー室にたどり着き、怒りをあらわに次々とサーバーを破壊するメルカーノ達。そこに現れたのはフリアンの父をはじめ会社の幹部だった。そして彼らの一人が「サーバーを破壊すれば世界中のパソコンに仕掛けた爆弾が爆発し、地球が粉々になるのだ」と告げた。その男を一撃で粉々にするメルカーノ。やがて空から明るい光が降り注ぐ。それはメルカーノを迎えに来た火星の仲間達だった。地球人に見送られメルカーノは宇宙船に乗り込んだ。しかしその時には爆弾の爆発までのカウントダウンが始まっていた。地球を救うには青か緑の銅線を切るしかない。青か緑か…どうする、メルカーノ?!
スタッフ・キャスト
- 監督
- フアン・アンティン
- 脚本
- フアン・アンティン
- ラウタロ・ヌニェス・デ・アルコ
- 製作総指揮
- マリオ・サントス
- 原画
- アジャール・ブラスコ
- 音楽
- レアンドロ・フレスコ
- ロベルタ・アインステイン
- 動画
- アジャール・ブラスコ