ウォー・レクイエム
劇場公開日:2003年10月4日
解説
イギリスを代表する音楽家ベンジャミン・ブリテンの曲「ウォー・レクイエム」にのせて、デレク・ジャーマンが映像美で綴ったオペラ映画。本作に使われているのはブリテン自身の作曲・指揮によるロンドン交響楽団演奏のもので、ブリテンの生涯に渡るパートナーであるピーター・ピアーズがテノールを担当。そして、ソプラノにはガリーナ・ヴィシネフスカヤ、バリトンにディートリヒ・フィッシャー・ディースカウという三人の歌手を起用している。主演は「カラヴァッジオ」以来、ジャーマン作品には欠かせない存在となったティルダ・スウィントン。
1989年製作/92分/イギリス
原題または英題:War Requiem
配給:アップリンク
劇場公開日:2003年10月4日
ストーリー
1982年、フォークランド紛争勃発。フォークランド諸島を巡り領有を宣言したアルゼンチン軍に対し、イギリス軍は大艦隊で攻撃をかけた。結果はアルゼンチンの敗退に終わり、この戦争で1000人以上の死者を出す悲惨な結果となった。その後、フォークランド諸島からは石油が発見されている。デレク・ジャーマンは、戦争詩人オーエンの詩に戦争と自らのエイズをダブらせ、「ウォー・レクイエム」を1989年に製作する。20年以上経った現在も世界各地のどこかで戦争は起きている。アメリカが石油の利権を得るために始めたイラク戦争で亡くなったイラク市民は3240名だと報道されているが、正確な数字はその数十倍だとも言われている。セクシュアリティ、自らの体を蝕むエイズ、そして何よりも社会と対峙し、常に問題を投げかけられる作品を産み出しつづけたデレク・ジャーマン。今は亡きデレク・ジャーマン監督の想いを代弁するべく、イラク戦争後のこの時期に「ウォー・レクイエム(戦争鎮魂歌)」を上映するに至った。ブリテンの音楽、オーエンの精神を映像化した“ヴィジュアル・オペラ”。第一次大戦に出征し、若くして亡くなった戦争詩人ウィルフレッド・オーエンと従軍看護婦を中心に、第一次世界大戦からイラク戦争と同じく石油を巡る戦争だったフォークランド紛争まで、繰り返される戦争のイメージを引用し、戦争の不毛さと悲しみを描く。冒頭には、何よりも平和を愛したオーエンの詩がナレーションとして使われている。
スタッフ・キャスト
- 監督
- デレク・ジャーマン
- 音楽
- ベンジャミン・ブリテン