自由の魂(1931)
解説
「仮染の唇」「結婚双紙」と同じくノーマ・セレト・ジョンの筆になる小説をベッキー・ガーディナーが改作し、「仮染の唇」「結婚双紙」のジョン・ミーハンが撮影台本に組み立て、これに基づいて「アンナ・クリスティ」「インスピレーション」のクラレンス・ブラウンが監督にあたったもので助演者は「私の殺した男」「キートンのエキストラ」のライオネル・バリモア、「無冠の帝王」「秘密の6」のクラーク・ゲーブル、レスリー・ハワード、「滅びゆく凱歌」のジェームズ・グリーソン、ルシー・ボーモンなど。カメラは「アンナ・クリスティ」「仮染の唇」のウィリアム・ダニエルスが担任。
1931年製作/アメリカ
原題または英題:A Free Soul
ストーリー
ジャンは評判の美人で近代的なそして強い性格の女性であった。彼女の母親は既に病没して彼女は父親のスティーブンと淋しく生活していた。スティーブンは法曹界でも鳴らした有名な弁護士であったが非常な酒呑みで、それが故に実家のアッシュ家にいる彼の老婆はじめ家族とは疎遠になりがちだった。スティーブンはある時、殺人の嫌疑で裁判に附されたエースという男を弁護して彼を救ってやったことがあった。それ以来エースはスティーブン家をたびたび訪問するようになった。そして娘のジャンと相知る仲となり、いつか二人の胸には恋が芽生え始めた。だが娘の個性を尊重し、自由な養育法を採っていたスティーブンはこれに対してなんとも干渉せずジャンの気ままに任せていた。スティーブンの母親アッシュ老夫人の誕生祝いの宴が張られた時スティーブンはジャンはもちろん、酔ったまぎれにエースまでも連れて実家へ乗り込んで行った。その際かねてから話のすすんでいたジャンとドワイト・ウィンスロープとの婚約が発表された。その席上エースは賭博者であるというので人々から非常な屈辱をうけた。これに同情したジャンは許嫁者のあることなどは無視して席を蹴って飛び出してしまった。エースが賭博を開帳している際、警察の手入れがあった。エースのアパートも賭博場と同時に調べられたがその時スティーブンは娘のジャンをアパートに発見して、彼ははじめて自分の娘に対する教育の方法が誤っていたことを悟るにいたった。彼女も父親の酒癖を心配していたので若し父が禁酒するならば彼女もエースとの交際を絶つことを誓った。そこで親子は山中に身を隠して浄かな生活に入ることになった。がスティーブンはついに酒の誘惑に負け、ジャンの眼を盗んで街に出かけた。ジャンも父の後を追って街に出た。実家では彼女を排斥しているのでジャンはエースを訪れた。エースはジャンに正式の結婚を申し込むがそれは斥けられるのでエースは更に暴力に訴えると彼女を脅迫する。この時、折りよくも姿を現したウィンスロープは彼女の幸福のために一身を犠牲にしてエースを射殺し、罪を一身に負うた。やがて彼は公判廷に廻され審議の日がやってきた。まさに彼の罪が断ぜられようとした時スティーブンは極力無罪を説いた。熱弁の結果彼は弁論中卒倒し介抱の甲斐もなく息を引き取ったがスティーブンの努力報いられてウィンスロープは無罪となった。その後間もなくジャンとウィンスロープは晴れて結婚することとなった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- クラレンス・ブラウン
- 脚本
- ジョン・ミーハン
- 脚色
- ベッキー・ガーディナー
- 原作
- アデラ・ロジャース・セント・ジョン
- 撮影
- ウィリアム・H・ダニエルズ