クイルズ

劇場公開日:

解説

スキャンダラスなフランスの文学者、マルキ・ド・サドの晩年を描く作品。監督は「ライジング・サン」のフィリップ・カウフマン。脚本はダグ・ライト。撮影は「キャラクター 孤独な人の肖像」のロジェール・ストッファーズ。音楽は「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ウォーベック。美術は「恋におちたシェイクスピア」のマーティン・チャイルズ。出演は「TATARI」のジェフリー・ラッシュ、「グッバイ・モロッコ」のケイト・ウィンスレット、「グラディエーター」のホアキン・フェニックス、「追撃者」のマイケル・ケインほか。2000年ナショナル・ボード・オブ・レビュー最優秀作品賞、最優秀助演男優賞ほか多数受賞。

2000年製作/123分/アメリカ
原題または英題:Quills
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:2001年5月19日

ストーリー

18世紀末のフランス。猥褻文書の罪でナポレオン体制下の警察に逮捕されたサド侯爵(ジェフリー・ラッシュ)は、シャラントンの精神病院に送られる。金の力で特別待遇を受ける彼は、広い部屋で執筆の自由を与えられていた。これは理事長を務める若き理想家ド・クルミエ神父(ホアキン・フェニックス)が、サドの治療になると信じて与えた特権であった。だが好奇心旺盛な小間使いマドレーヌ(ケイト・ウィンスレット)を通して、彼の文章は世に渡り闇出版されており、その事実を知ったクルミエは、ただちに筆記具を没収。するとサドの猛烈な反逆が始まり、あらゆる手段を使って小説を書こうとする。しかし、新しく院長に任命されたコラール博士(マイケル・ケイン)はサドに残酷な拷問を加え、厳しく弾圧していく。ついに裸で監禁されたサド。そんな彼の耳に、ドア越しに囁くマドレーヌの、あなたの物語を聞きたいという声が聞こえた。患者たちを通して、サドの語る物語を密かに聞き書きしていくマドレーヌ。だが、その物語に発情した患者たちが暴れ出し、火事が発生、そして患者の1人にマドレーヌが殺されてしまう。やがてサドは獄死。その後、コラールは金がもうかるからとサドの本を出版し、クルミエ神父は患者となって邪悪な真実の物語を書きはじめるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第73回 アカデミー賞(2001年)

ノミネート

主演男優賞 ジェフリー・ラッシュ
衣装デザイン賞 ジャクリーン・ウェスト
美術賞  

第58回 ゴールデングローブ賞(2001年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) ジェフリー・ラッシュ
最優秀脚本賞 ダグ・ライト
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映画レビュー

4.0書くことに対しての愛が溢れている映画

2024年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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未佐緒00

4.0どんなお仕置きにもめげずに書きまくるエロ作家と、あれこれ手を尽くす...

2024年1月31日
PCから投稿

どんなお仕置きにもめげずに書きまくるエロ作家と、あれこれ手を尽くすも裏をかかれて彼を止められない精神医学博士&神父のいたちごっこ。
けらけら笑いながら観た。

【毒にも薬にもなるポルノ小説、世に蔓延る】
ドギツイ内容になりがちなお話なのに、なまぐさい匂いをきれいに取り除いた映画。監督の品の良さを感じる。
凄惨な時代を舞台にしながら、現実と想像の攻防をテンポよく見せてくれる手腕は、テリー=ギリアム作品を思い起こさせる。
生々しい激痛描写を抑え、演技ですよと目くばせするようなコミカル表現も良心的。
ワザと大仰に振る舞うG.ラッシュと、いろいろ滲み出すぎな無表情を装うM.ケインの、ノリに乗った演技応酬がもうたまらない♪。

その実、見やすい劇の裏にあるテーマは深刻。
冒頭、断頭台で処刑される寸前の女性が、被虐の恐怖を快楽に転化しようとして「物語」に没入するシーンが悲しい。
逃れられない現実をことばで茶化したり、闘ったり、見下してバカにしたり、嘘ついて逃げおおせたりする登場人物たち。
彼らの台詞ひとつずつが、小さな革命の火花として随所にスパークしている。

星マイナス1は、サド侯爵の主張に疑問が残ったため。
本作の文脈上、抑制の強い社会でこそインモラルな欲求が高沸するということならば、
過度に露悪的な欲求が人間の本性か?どうも腑に落ちなかった。
あくまで、置かれた環境から相対的に生じた一面でしかないと思うので。

自由奔放な表現は悲劇を生む危険性も孕んでおり、時として書き手の大切な人でさえも傷つけかねないということをきちんと劇中で描いているところが、とてもフェアだなと思った。
サド侯爵の肉体は滅びても、作品はあんな方法で、魂はこんな方法で、それぞれ生き続け、世に蔓延る。
オチのブラックさもぎらりと光る、非情にセンスの良いw映画だった。

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雨丘もびり

2.5やっぱり馬鹿な私には難解だった

2021年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

小説、文芸、エロスドラマ、宗教的、オカルト、精神病院、舞台劇の映画化・・・こういった類のものには全く興味がないバカな私ですが、とりあえずケイト・ウィンスレット、マイケル・ケインを知ってるので、この二人を中心に何とか観れるかなと思って鑑賞。

・K.ウィンスレットに対し、本を読みたければキスしないと次のページを見せないぞ! と偉そうなジジイ(苦笑)
→ナポレオンの命令で変態小説を書く癖を治すため投獄されたジェフリー・ラッシュ

・M.ケイン院長は孤児の女(アメリア・ワーナー)と結婚
→いい人役だろうなと思ったら「カゴに閉じ込めておきたい」と、こちらも変態だった

 そして、わいせつ小説なのに、なぜK.ウィンスレットはハマッてしまうのか・・・。
「私は本に救われている。精神患者相手の仕事は辛い。日々疲れ果てて・・・。本の中に身を置くの。役を演じるのよ。売春婦や人殺しになって。本の中なら悪女になれるから身を滅ぼさずに済む」--- どこかで発散する術がないと務まらないということかなぁ。ホアキン神父は、文字を教えたのにそんな活用をするとは思いもしなかったけど、どこか同情する部分が印象的である。まぁメロメロってことで。
 観る前から私にとっては「理解するのが難しい映画だろう」と思っていたので、こうしたわかりやすい部分は大事でした。

純心に思えた可愛いアメリア・ワーナーもM.ケインの支配欲に気付いたのか、あっという間に他の男と行為するし、とにかく皆さんが病的、本能のままに思える。憎しみが欲望に火をつける流れですかね。

 そして、死ぬ直前の儀式?で十字架を飲み込んじゃうJ.ラッシュ。無念のホアキン神父が以心伝心したかのように「変質者扱い」にされちゃう展開は、私は弱者の抵抗のように思えた。J.ラッシュの意志を継ぐかのように紙とペンを手にし、権力者M.ケインの操縦を打ち破れるのか、そんなふうに見える。いや単に暴露がしたいだけかなぁ・・・。逆に、全てを支配できる人が居ないと、人間は皆「欲のまま生きる淫らな存在」として滅びることになるだろう。そんなメッセージ性も感じちゃいましたね。

衣装はもちろん、病院(屋敷)のムードは良かったので映像的な違和感はなく楽しめると思いますが、ほぼ全部と言っていいほど「中での話」なので退屈に感じる人も多いと思う。外の景色も観たかった。
 まぁ二度は観ませんね(苦笑)

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はむちん

3.0サド侯爵の闇

2018年9月10日
Androidアプリから投稿

ナポレオンによって、精神病院に投獄された サド侯爵のその後の物語
侯爵は その内容とともに「悪徳の栄え」ることを、繰り返し提唱していたので 怒りを買ったのだろう
(その前は 数々の暴行事件で、収監された)

当時の病院の劣悪な環境は よく判る
サディスティックな拷問(治療)を 受けるサド侯爵(笑)
ただ、彼の物語によって欲望を暴走させる者もいる事実…

醜悪さも含めて、彼の「物語」は 我々の思想に一石を投じたことは確かだ
製作者側は「表現の自由」に触れたいのだろうし、俳優陣が 全身を晒して頑張っているが、いまいち 入り込めないのは、何故だろう
我々が計り知れない程、マルキ・ド・サドの闇が、深いからかも…

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jarinkochie