クイルズ

劇場公開日:

解説

スキャンダラスなフランスの文学者、マルキ・ド・サドの晩年を描く作品。監督は「ライジング・サン」のフィリップ・カウフマン。脚本はダグ・ライト。撮影は「キャラクター 孤独な人の肖像」のロジェール・ストッファーズ。音楽は「リトル・ダンサー」のスティーヴン・ウォーベック。美術は「恋におちたシェイクスピア」のマーティン・チャイルズ。出演は「TATARI」のジェフリー・ラッシュ、「グッバイ・モロッコ」のケイト・ウィンスレット、「グラディエーター」のホアキン・フェニックス、「追撃者」のマイケル・ケインほか。2000年ナショナル・ボード・オブ・レビュー最優秀作品賞、最優秀助演男優賞ほか多数受賞。

2000年製作/123分/アメリカ
原題:Quills
配給:20世紀フォックス

ストーリー

18世紀末のフランス。猥褻文書の罪でナポレオン体制下の警察に逮捕されたサド侯爵(ジェフリー・ラッシュ)は、シャラントンの精神病院に送られる。金の力で特別待遇を受ける彼は、広い部屋で執筆の自由を与えられていた。これは理事長を務める若き理想家ド・クルミエ神父(ホアキン・フェニックス)が、サドの治療になると信じて与えた特権であった。だが好奇心旺盛な小間使いマドレーヌ(ケイト・ウィンスレット)を通して、彼の文章は世に渡り闇出版されており、その事実を知ったクルミエは、ただちに筆記具を没収。するとサドの猛烈な反逆が始まり、あらゆる手段を使って小説を書こうとする。しかし、新しく院長に任命されたコラール博士(マイケル・ケイン)はサドに残酷な拷問を加え、厳しく弾圧していく。ついに裸で監禁されたサド。そんな彼の耳に、ドア越しに囁くマドレーヌの、あなたの物語を聞きたいという声が聞こえた。患者たちを通して、サドの語る物語を密かに聞き書きしていくマドレーヌ。だが、その物語に発情した患者たちが暴れ出し、火事が発生、そして患者の1人にマドレーヌが殺されてしまう。やがてサドは獄死。その後、コラールは金がもうかるからとサドの本を出版し、クルミエ神父は患者となって邪悪な真実の物語を書きはじめるのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第73回 アカデミー賞(2001年)

ノミネート

主演男優賞 ジェフリー・ラッシュ
衣装デザイン賞 ジャクリーン・ウェスト
美術賞  

第58回 ゴールデングローブ賞(2001年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) ジェフリー・ラッシュ
最優秀脚本賞 ダグ・ライト
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映画レビュー

2.5やっぱり馬鹿な私には難解だった

2021年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

小説、文芸、エロスドラマ、宗教的、オカルト、精神病院、舞台劇の映画化・・・こういった類のものには全く興味がないバカな私ですが、とりあえずケイト・ウィンスレット、マイケル・ケインを知ってるので、この二人を中心に何とか観れるかなと思って鑑賞。

・K.ウィンスレットに対し、本を読みたければキスしないと次のページを見せないぞ! と偉そうなジジイ(苦笑)
→ナポレオンの命令で変態小説を書く癖を治すため投獄されたジェフリー・ラッシュ

・M.ケイン院長は孤児の女(アメリア・ワーナー)と結婚
→いい人役だろうなと思ったら「カゴに閉じ込めておきたい」と、こちらも変態だった

 そして、わいせつ小説なのに、なぜK.ウィンスレットはハマッてしまうのか・・・。
「私は本に救われている。精神患者相手の仕事は辛い。日々疲れ果てて・・・。本の中に身を置くの。役を演じるのよ。売春婦や人殺しになって。本の中なら悪女になれるから身を滅ぼさずに済む」--- どこかで発散する術がないと務まらないということかなぁ。ホアキン神父は、文字を教えたのにそんな活用をするとは思いもしなかったけど、どこか同情する部分が印象的である。まぁメロメロってことで。
 観る前から私にとっては「理解するのが難しい映画だろう」と思っていたので、こうしたわかりやすい部分は大事でした。

純心に思えた可愛いアメリア・ワーナーもM.ケインの支配欲に気付いたのか、あっという間に他の男と行為するし、とにかく皆さんが病的、本能のままに思える。憎しみが欲望に火をつける流れですかね。

 そして、死ぬ直前の儀式?で十字架を飲み込んじゃうJ.ラッシュ。無念のホアキン神父が以心伝心したかのように「変質者扱い」にされちゃう展開は、私は弱者の抵抗のように思えた。J.ラッシュの意志を継ぐかのように紙とペンを手にし、権力者M.ケインの操縦を打ち破れるのか、そんなふうに見える。いや単に暴露がしたいだけかなぁ・・・。逆に、全てを支配できる人が居ないと、人間は皆「欲のまま生きる淫らな存在」として滅びることになるだろう。そんなメッセージ性も感じちゃいましたね。

衣装はもちろん、病院(屋敷)のムードは良かったので映像的な違和感はなく楽しめると思いますが、ほぼ全部と言っていいほど「中での話」なので退屈に感じる人も多いと思う。外の景色も観たかった。
 まぁ二度は観ませんね(苦笑)

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はむちん

3.0サド侯爵の闇

2018年9月10日
Androidアプリから投稿

ナポレオンによって、精神病院に投獄された サド侯爵のその後の物語
侯爵は その内容とともに「悪徳の栄え」ることを、繰り返し提唱していたので 怒りを買ったのだろう
(その前は 数々の暴行事件で、収監された)

当時の病院の劣悪な環境は よく判る
サディスティックな拷問(治療)を 受けるサド侯爵(笑)
ただ、彼の物語によって欲望を暴走させる者もいる事実…

醜悪さも含めて、彼の「物語」は 我々の思想に一石を投じたことは確かだ
製作者側は「表現の自由」に触れたいのだろうし、俳優陣が 全身を晒して頑張っているが、いまいち 入り込めないのは、何故だろう
我々が計り知れない程、マルキ・ド・サドの闇が、深いからかも…

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jarinkochie

4.0何が何でも書き続ける

2016年5月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

興奮

羽ペンやインクを没収されても、どこに収容されても、どんな環境でも決して書くことを諦めないマルキ。
彼にとって、書くことは呼吸と同じ、つまり生きること。
止めるわけにはいかないのだ。

次は、何を使ってどこに書き、外の世界にどう発信するのか、わくわくしながら観た。

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Arco

3.5変人

2014年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

難しい

実在人物、サド伯爵の壮絶人生。
とにかく生々しく、息を潜めながらでも一気に見てしまう中世史実のリアルな世界観です。サド伯爵の死の直前までの執筆に対する凄まじい執念と、対抗する妖しい魅力の神父、彼を擁護する小間使いそれぞれの心理描写が観る者を引き付けます。
サド伯爵のジェリー・ラッシュ、神父のホアキン・フェニックス、小間使い役、ケイト・ウィンスレット、更には悪徳博士、マイケル・ケインと…もうそれはそれは演技達者な実力俳優人が役を演じきっているというのでしょうか、すごい迫力!
題材が「サディズム」の語源となったサド伯爵の晩年ですから、決して万人向けではないですが、興味あれば面白く観る事が出来ると思います。濃い内容です。

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sonje
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