ワン・フロム・ザ・ハート

劇場公開日:

解説

ラス・ベガスを舞台に3人の男と3人の女の恋と別離を描くミュージカル・ロマンス映画。グレイ・フレデリクソンとフレッド・ルースが製作、バーナード・ガーステンが製作指揮を担当。監督は「地獄の黙示録」のフランシス・フォード・コッポラ。原案・共同製作はアーミヤン・バーンスタイン、脚本はバーンスタインとコッポラが執筆している。撮影はヴィットリオ・ストラーロだが、ストラーロはアメリカ撮影者協会員ではないので撮影監督のクレジットはロン・ガルシアに与えられている。音楽はトム・ウェイツが作り、彼とクリスタル・ゲイルが歌っている。出演はフレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ナスターシャ・キンスキー、ラウル・ジュリアなど。テクノビジョンで撮影。ドルビー・ステレオ。日本版字幕は戸田奈津子。メトロカラー、スタンダード。1982年作品。

1982年製作/107分/アメリカ
原題または英題:One From the Heart
配給:東宝東和
劇場公開日:1982年8月14日

ストーリー

7月4日の独立記念日を明日に控えたラスベガスの街。旅行社に勤めるフラニー(テリー・ガー)は、ごったがえす観光客をよそにショウ・ウィンドウのディスプレーに精を出していた。同じ頃、フラニーの同棲相手ハンク(フレデリック・フォレスト)は、モーと共同経営している自動車解体工場にいた。明日はフラニーとハンクが5年前に出逢った日でもあった。夜になると、フラニーはボラボラ島行きの航空券を、ハンクは家の権利書を互いにプレゼントする。どうも、しっくりといかない。その後、ささいな事から喧嘩になり、フラニーは出ていった。ハンクはモーの所へ、フラニーは旅行社の同僚マギーのアパートに。翌日、またショウ・ウィンドウでディスプレイを手直ししていたフラニーに、ピアニストだというレイ(ラウル・ジュリア)が話しかける。一方、ハンクはサーカス一座の踊り子らしきライラ(ナスターシャ・キンスキー)に心を奪われ、9時に会うことを約束する。とあるレストランに入ったフラニー、支配人に売春婦と間違われて憤概する。と、そこへ来合わせたウェイターこそ、レイだった。ショー・タイムの合間はウェイターをしているのだという。2人は話し込み、おかげでレイはクビになる。その後、2人はステージで踊り始め、そのまま沿道に飛び出し、通行人も一緒に踊り出す。ライラと会ったハンクは工場に連れてゆき、夢のような一時をすごした。フラニーのことが気になったハンクはモーと一緒に、マギーのアパートに。マギーとモーは互いに惹かれあう。マギーからフラニーの居所を聞き出し、モテルからフラニーを奪取。家についたが、フラニーはカンカンで、ボラボラ島に行くと言って去る。マッカーラン空港に駆けつけたハンクは、フラニーにもどってくるよう訴えるが、彼女は飛行機に乗り込んでしまった。傷心の思いで家にたどりつき、暖炉の前でたたずんでいるハンク。そこへ、彼女が帰ってきた。2人は抱きあう。(東宝東和配給*1時間47分)

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映画レビュー

4.0大コケしたことを忘れて観るべき映画

2024年12月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画は、パリのアメリカ人(1951年)など、ハリウッド映画の黄金期である50年代のミュージカル映画を前提に、米国の人たちに勇気を与えるべく1982年に作られた映画。戦争中に作られた「カサブランカ」なども引用される。フランシス・フォード・コッポラは、莫大な資金をかけて、巨大なスタジオの中にセットを組み、当時の最新の映像技術(ビデオの採用など)を駆使して撮影した。 この映画の価値は既に定まっている。直接の後継として「ラ・ラ・ランド(2016年)」がある他、91年の「テルマ&ルイーズ」も設定が似ているし、「ソフィア・コッポラ」の都市の景観の撮り方にも引き継がれている。 では、なぜ公開当時、メディアの酷評を浴びたのか。それは、米国の状況を思い出せば、容易に理解されるだろう。米国はベトナム戦争の苦衷から抜け出すことはできず、社会は疲弊していた。LAの市内は、昼間でも歩く所ではないと注意を受けたし、NYのハーレムでは、廃墟が目立って、カラスの住みかとなっていた。人種差別も残り、女性の権利も今とは比べものにならず、喫煙も相変わらずだった。そんな状況で、この映画を見せられても、「金にあかして作った(語るまでもないような)安易なストーリー」との批判を受けるのは必定。しかし、英国やフランスでは、それほどでもなかったと聞く。映像は美しかったし、当時から音楽は評価されていた。 確かに、中年に差し掛かっている主人公ハンク(フレデリック・フォレスト)は、自動車解体工場を経営しているとはいえ、廃車の山が写るだけだし、ウエイトレスあがりの30歳代のフラニー(テリー・ガー)は、旅行会社のウインドーのディスプレイ作りがせいぜいか、それなのに、二人はラスベガス郊外の立派な家に住んで、それほど手間を掛けているとは思えないのに室内もきれいで、結構、派手な暮らしぶり。やや不可解な印象。 それでは、どこが印象に残るのか。前半では、背景になっているガラスに情景が写りこむと、今度は、ガラスの向こう側で、新しい場面がすぐに展開される。心の中では、ずっとつながっているのに、売り言葉に買い言葉で、引っ込みがつかなくなってしまった二人がどうなるか。それこそ、ワン・フロム・ザ・ハート(心からの思い)がぴったり。 倦怠期に差し掛かったお二人や、過去にそれを経験したことのあるお二人に、おススメ!

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詠み人知らず

4.0今更初見。 支持、必見。 極々凡庸な恋物語を態々巨大セットを建て並...

2024年9月1日
iPhoneアプリから投稿

今更初見。 支持、必見。 極々凡庸な恋物語を態々巨大セットを建て並べて撮る。 莫大な無駄の終点に辿り着いて 初めて恋物語に切実なリアルが宿る。 もう誰も撮らぬ撮らさぬ唯一無二。 コッポラ狂気黙示録なロケからの 極端な反動でこそ産まれた 映画史の恥部で且つ珍作怪作快作。

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きねまっきい

3.0有楽座で鑑賞

2024年6月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

主役はテリー・ガーだが、覚えているのはナタキン。

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ムーラン

5.0初公開時に殆どカラッポの有楽座で鑑賞、兎に角、映像の綺麗なのが印象的だった

2023年12月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

ロードショー公開された時に、当時日比谷にあった有楽座にて鑑賞。 その素晴らしい映像美と、トム・ウェイツ&クリスタル・ゲイルの曲との相性による、なんとも切ない感あるこの作品の独特の世界観にハマりました。 主演の2人の、もう人生の旬の時代は過ぎ去ってしまった感じの、気怠いような互いに冷めきった感が、若々しいナスターシャの美しさとのギャップにより際立ち、“限られた空間”と“限られた登場人物”と、そこにミュージカルの如く主人公たちの心の内を代弁するかのようなトム・ウェイツ&クリスタル・ゲイルの歌唱により織りなされる、幻想的でもある作品空間。 あの有楽座の、70mm対応の大スクリーンでこの作品を映像体験出来たこと、本当に幸せな限りです。 作品世界に取り込まれるような感じでした。 全てがスタジオ内の構築したセットで撮影されたという異色作品で、その前の『地獄の黙示録』とちょうど真反対の作られ方の作品ということで話題にだけはなったものの、興行的に大失敗して、コッポラ氏は全てを失ったという、曰く付きの作品でもあった。 個人的には、とても気に入っていて愛着のある作品となったので、鑑賞後には直ちに輸入盤でサントラLPを買って愛聴していたし、大変残念、かつショックでもありました。 コンセプト的に、まだ“早すぎた作品”だったのかもしれず、大衆の理解や支持を得る事が出来なかったのかな、とも。 現在では、その後再評価の機運もあって、ある程度復権出来ているように思われますが? 公開から既に40年以上経ってしまってるんですね、なんだか時々あの映像世界が懐かしく思い出され、久しぶりに観て観たくなる作品です。 隠れた名作かな、これも?

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アンディ・ロビンソン

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