妖精たちの森

劇場公開日:

解説

二十世紀初頭、イギリスの田園風景の中にそびえ立つ大邸宅に住む人間たちが織りなす相剋のドラマ。原作はヘンリー・C・ジェームズの「ねじの回転」で、一九六一年のデボラ・カー主演、ジャック・クレイトン監督「回転」に続いて二回目の映画化。製作総指揮はジョゼフ・E・レヴィン、製作・監督は「チャトズ・ランド」のマイケル・ウィナー、脚本はマイケル・ヘイスティングス、撮影はロバート・ペインター、音楽はジェリー・フィールディングが各々担当。出演はマーロン・ブランド、ステフアニー・ビーチャム、ソーラ・ハード、ハリー・アンドリュース、ベロナ・ハーベイ、クリストファー・エリスなど。

1971年製作/イギリス
原題または英題:The Nightcomers
配給:ブエナ ビスタ
劇場公開日:1973年4月21日

ストーリー

早春のある日、ブライ邸の応接間では、これからロンドンにでかけようとするこの屋敷の後見人(H・アンドリュース)が家政婦のミセス・グロース(T・ハード)に、今後の指示を与えていた。このブライ邸はロンドンの郊外に広大な領地を持つ大地主だったが、幼い姉弟、フローラ(V・ハーベイ)とマイルズ(C・エリス)の両親はインド滞在中、自動車事故で死亡したため、姉弟が財産を管理できるようになるまで、伯父が後見人になっているのだ。両親の死は、まだ二人に知らされていなかった。後見人がロンドンに立ったあと、この広大な邸には、姉弟と、家庭教師のジェスル(S・ビーチャム)、ミセス・グロース、下男のピーター・クィント(M・ブランド)の五人が残された。クィントは無知で粗野であり、後見人には嫌われていたが、屋敷内でただ一人の男性ということで、辛うじて首がつながっていた。しかし、幼い子供たちにとって、クィントの占める地位は大きかった。外での遊びはすべてクィントに教えられ、実生活での知恵もすべて彼によるものだった。従って、二人はクィントのいうことを盲目的に信じて行動していた。その迷信のような知恵はときとしてミセス・グロースを困らせた。だが、それだけならまだしも、クィントは乱暴で邪悪な心の持主だった。家庭教師のジェスルは、ある晩、クィントに犯され、以来肉体関係をしいられ続けてきた。心ではクィントを憎悪しながらも、夜ごとの侵略を拒みきれず、いつの間にか愛欲の世界に溺れていた。その上、クィントはサディストだった。ある日、たまたま寝室をのぞき見したマイルズは、二人のからみ合う姿を目撃し、それがどういうことかとも判らないまま、姉のフローラをさそってクィントとジェスルの真似をするようになった。こうした好奇心のかたまりのような子供たちの言動はクィントとジェスルを追いつめていった。教会の墓守として、貧しいが誠実な父の許で育てられたジェスルは罪の意識にさいなまれ、一日として心の安らぐ日がなかった。二人の関係はミセス・グロースに知られてしまい、烈火のごとく怒った彼女のためにクィンドは出入禁止にされてしまった。グロースに問いつめられて自分の罪を恥じたジェスルも、この屋敷を去る決心をした。そんな彼女のもとにクィントからの手紙が届いた。別れる前に一度あいたいので、庭にある池のそばまできてくれというのだ。これが子供たちの計略とも知らず、池に浮いていたボートに乗ってこぎ始めた。そのボートは子供たちの手によって穴があけられていたためにたちまち沈みだし、泳げない彼女は溺死した。一方、クィントもさそいだされ、池の中に浮かぶジェスルを発見した。呆然として森をさまようクィントの胸に、マイルズの放った矢がつきささった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5純粋無垢で無知

2023年1月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

萌える

ベルトルッチの『ラスト・タンゴ・イン・パリ』で演じた役柄や官能的な場面などマーロン・ブランドにとってお手の物でしかなかった、ショッキングな結末に二人の純粋さが邪悪へと『小さな悪の華』を想起しながらも本作の方が早い。

羞恥心すら感じない、無邪気に性行為の真似事を姉と弟で繰り広げる様に罪の意識すら学べない、善と悪を意識する程に誰も悪くない、全てを魔に受ける行動で、無防備な大人が純粋な子供に殺される。

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万年 東一