陽気な連中
解説
長らくの間、S・M・エイゼンシュティンと共作して作品を発表して来たG・V・アレクサンドロフが独立してからの第一回作品で、ジャズ・コメディーと銘打たれた映画。脚本、監督ともにアレクサンドロフの手になった。主役はソヴェートのジャズ界で評判のレオニード・ウチョーソフで、リュボーフイ・オルロワとM・P・ストレルロワの二人がこれを助けて重要な役を演ずるが、なおE・A・チャープキナ、F・N・クリヒンなども出演している。撮影はV・S・ニセリン、音楽はI・O・ドナェフスキー、の担任である。
1935年製作/ソ連
原題または英題:Merry Folks Vesyolye Rebyata
ストーリー
牧童のコースチャの仕事というのは愉快な歌をうたいながらカフカズの山から黒海へと家畜の群を送り出す事であった。ドイツの老人カール・イワノエチは彼にヴァイオリンの弾き方を教えたが、コースチャには生まれつき音楽の天分があった。その内に、この避暑地に有名なパラグワイの音楽指揮者レオポルト・フラスキン氏が来たというので社交界の評判になった。令嬢のエリヨーナはフラスキン氏に憧れる。ところが彼女は浜辺でコースチャをフラスキン氏だと間違えてしまう。そして彼女は彼を自分の滞在している黒い白鳥荘に招待する。で、コースチャが古い燕尾服を着て訪問すると、エリヨーナ始め母親達が大歓迎をし、その揚句、彼に一曲を所望する、そこでコースチャは携えていた牧場で使うジャレイカを吹いたところ、主人の歌が聞えて来たというので、牛、ロバ、羊、山羊などの家畜連がこの邸にドッと押しかけて来た。コースチャに恋したこの家の女中アニュータは一生懸命になってこの大軍を防いだが及ばない。結局、コースチャの身分が知れると共に彼は邸から追出される。それから数ケ月して、コースチャはモスクワに音楽の勉強に出掛けたところ、偶然の事から、フラスキン氏指揮のオーケストラの演奏のあるミュージック・ホールに紛れ込んでしまう。その上に、彼は舞台の指揮者の上るべき台の上に立ってしまった。途端に、幕が開いた。コースチャが桟敷を見るとかつて己れが恋した令嬢エリヨーナがいる。彼は身振りで彼女に話しかけると、その身振に応じてオーケストラはリストのハンガリアン・ラプソディーを弾いた。これが大喝采だったが、再びコースチャは身分がばれてそこから逃げ出す。ついで、彼は今度はジャズ・オーケストラの一員となった。だが、総稽古の時に楽士間の口論から、人々互いに楽器をぶつけ合って叩き合い大騒動となる。それから、人々は葬式の棺馬車によって演奏会場へと赴くが、途中で大雨となる。そしてコースチャはこの雨の中でアニュータとめぐり合う。さて劇場についてから、一同はずぶ濡れの楽器を棄てて、声で楽器を模してジャズをやる。これが受けると彼等も次第に元気を出して来てジャズを続け様に演奏した。しまいにはアニュータも舞台に出て歌をうたった。これもまた、喝采をうける。かくてアニュータとコースチャとは嵐の様な喝采の中に恋を成立させたのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- G・V・アレクサンドロフ
- 脚本
- G・V・アレクサンドロフ
- 撮影
- V・S・ニセリン
- セット
- A. A. Utkin
- 音楽
- I・O・ドナェスキー