遊星よりの物体X

劇場公開日:

解説

流行の空想科学映画の1つ、1951年度作品で「赤い河」のハワード・ホークスが自ら製作指揮をとる。ジョン・W・キャンベル・ジュニアの原作小説から「僕は戦争花嫁」のチャールズ・レデラーが脚色、新人クリスチャン・ナイビーが第1回の監督を担当する。撮影はラッセル・ハーラン、音楽は「井戸」と同じくディミトリ・ティオムキン。出演はおおむね新人が選ばれ、「頭上の敵機」のケネス・トビー、「朝鮮物語」のマーガレット・シェリダンが主演、以下ロバート・コーンスウェイト、ダグラス・スペンサー、ジェームズ・ヤングらが助演する。

1951年製作/87分/アメリカ
原題または英題:The Thing
配給:RKO日本支社
劇場公開日:1952年5月15日

ストーリー

北極に程遠からぬ極地科学研究所では、極地に航空機らしいものが墜落し、以来磁力計が狂いはじめたことを発見して、アラスカ防衛軍に打電した。司令部からはヘンドリー大尉(ケネス・トビー)の操縦する捜索機が研究所長のヘンドリー博士を同乗して飛び立ち、氷に埋もれた大円盤を発見した。熱爆弾で掘り起こそうとしたため大円盤は爆発飛散したが、一行は放り出された「物体」を、研究所に持ち帰った。その夜、「物体」は威力を振るいはじめ、飼い犬3頭を噛み殺して逃走した。その残骸の一部を調べた博士は、この「物体」が遊星より飛来した植物組織の生物で、動物の血を吸って成長し、人類より知力、腕力に優れた怪物であることを突き止めた。しかもこの切りとられた残骸の一部も次第に成長してくる勢いに、ヘンドリーは人類保護のためにも即刻撃滅を決意したが、博士は重要な研究資料としてその培養を主張してやまなかった。博士の娘ニッキーは、ヘンドリーの恋人だったが2人の間に立って苦しんだ。しかし、研究所の温室に根を下ろした「物体」はやがて所員に向かって攻撃を開始してきたので、人々はガソリンによる火焔攻撃から、ついには電気まで動員して、やっとこの怪物を鎮圧したのであった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0宇宙人SFの先駆

2024年12月15日
PCから投稿

アメリカ国立フィルム登録簿作品です。

新作を先に観た人がガッカリという感想多いですが、こちらを先に観れば十分面白いです。
忠臣蔵でも白い巨塔でも最初に観たのが基準になりますからね。

この頃の宇宙人は人間マンマの外見で違和感を感じるかもしれませんが、最近のET型だってあと何十年かして新しい型が出始めれば古臭くなります。

製作年代を考えれば十分に革新的な作品であったと感じます。展開もスピーディーでラストの特撮も水準は高いです。

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越後屋

3.0古典SFの初映像化

2024年12月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ジョン・W・キャンベル原作『影が行く(Who Goes There?)』を映像化。
その後ジョン・カーペンターが同作を再び映画化したことでも知られる。

【ストーリー】
アラスカに正体不明の飛行物体が墜落した。
アンカレッジのアラスカ空軍基地に待機中のヘンドリー大尉は、司令部の命を受けて現地にむかう。
墜落現場では彼らに調査要請をしたキャリントン博士がいた。
彼を所長とするアラスカ研究所の研究員たちによると、その物体(THING)は非常に巨大で高音。強い磁性を帯びており、高い放射線数値を示しているという。
初動の調査で墜落物は、巨大な円盤型のなにかであることが判明する。
そして、氷の下にヒト型の巨大な生物がいることも。
ヘンドリー大尉は部下に指示し、ヒト型のなにかを氷ごと四角く切りだして、研究所に運びこむ。
氷点下の倉庫に安置したが、監視につけた兵士が立ちあがった"物体"に襲われた。
物体は外のソリ犬たちも襲い、雪上に片腕をのこしていった。
その身体組織と組成を分析すると、およそ地球上の生命とはかけ離れた物であるという結果が出た。
吹雪が強さを増すなか、仲間が一人、また一人とやられてゆく。
ヘンドリー大尉たちが対策を練る中、キャリントン博士が研究対象として物体への執着を強めてゆく。

ジョン・W・キャンベルの『影が行く』初の映画化ですね。
「物体」こと「THING」。
やや大きめのヒト型で、白っぽくて、切っても血を流さず、そして時間と共に再生する。
質感ふくめて、なんとなくウドっぽいなと。
ほら、大きくて、妙にもろいし。
ウド鈴木ではありません。あの、食べるほう。
こっちのウド、人類よりも知性が高い設定となってます。
そのわりに、行動はイマイチ行き当たりばったりなんですが。
1951年の映画ですから、今見るとホラーやサスペンスとしてはゆるーい出来。
それでも航空機は実機を使って撮影しているし、アラスカ基地でのホラーシーンは結構怖く作ってます。
難をおぼえるのはやっぱりストーリーで、クライマックスもサラッと済んで、わーいわーいヽ(=゚ω゚)ノでサクサク終わっちゃうんですが。
もひとつ、美人科学者とのロマンスも適当にプラスしただけで、特にストーリーと絡まないし。
SF設定のいい解説役になりそうだったのに、もったいなや。

それでも、SFとしては中々野心的な作品ですよ。
白黒映画ながら、人類を襲うTHINGの設定もちゃんとしてます。
中でスーパーニンジンとか呼ばれてますけれど、まあそこはご愛嬌ということで。
原作に忠実なのはカーペンター版で、こっちはスプラッタSFの傑作となっております。
心臓の強さに自信がある方は、ぜひぜひ。

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かせさん

5.0傑作の82年カーペンター版より、ちょっとイビツなこちらの方が好き。

2020年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

クリスチャン・ナイビー監督作品となっているが、どう見てもハワード・ホークスの映画になっているのが判る古典SF恐怖映画。

傑作の82年カーペンター版より色々なところが古くて当時は技術的に妥協している部分などで映像リテラシーのいる映画だが、めげない男たちの快活で陽気な振舞いや理知的な女性の姿が良い。

個人的に見どころは、宇宙人の円盤が、氷の下に閉じ込められている低予算ゆえに視覚化の難しい場面で、円盤の形を確かめる為に皆で縁に立って円盤の形が判る斜俯瞰から見た場面などは、ビジュアル的に分かりやすく見栄えする映像表現などがあり低予算でも知恵を使う事を教えてくれる。

ネタバレあり

ドア開けたら怪物が襲いかかってくるなどのショック描写もあり、放射線測定器をレーダー代わりに索敵して戦う準備する対決前のサスペンスありと演出も好調。

特に、灯油を怪物にかけて火を放つ場面は、凄まじい炎の火達磨スタントと相まって迫力があり、当時の撮影もかなり危険だったと想像出来る。

新聞記者が、発信するラストメッセージは、多く映画研究者の指摘する当時のソ連共産主義への警告を示しているのもその時代の空気なども含めて色々と考えさせられる。

ただ、根本のストーリーで、問題が有るとすると、宇宙人は、特に悪行してないので、地球人に一方的に悪と決め付けられて、追われるのは、どう見てもアンバランス。

映画評論家の町山智浩氏も指摘している通り、殆ど悪い事をしていない宇宙人を、地球人がボコる展開に、共産主義の恐怖と警戒を訴えているのだが、相手への理解や折合いなどせずに、叩こうとするヒステリックな姿勢は、赤狩りを連想させる。
その部分を取ると西部劇的対立構造や閉鎖空間での闘いなどが浮上してまさに『リオ・ブラボー』などの後年の傑作をを連想させる。

そういえば、1982年に『遊星からの物体X』(傑作)を監督したジョン・カーペンターが、1976年に撮ったアクションスリラー『要塞警察』(これも傑作)はホークスの『リオ・ブラボー』の現代版リメイクな作品で、比較するのも面白い。

本作は1951年制作なので、当然CGなども無い時代で特殊効果がショボく感じるのだが、上記にある、ちょっとしたビジュアルへの気配りやリドリー・スコット監督の『エイリアン』のように対象をあまり見せない演出などは中々。

あとカーペンター版よりユーモアもあるのは、作家の資質違いもあるけど、個人的にはこちらがいい。

最初はビデオテープ時代に鑑賞して、名画座などでも再見しているが、今回鑑賞したテレビ放送時の日本語吹き替え版入りのDVDソフトは、とても画質が良好で新鮮な気持ちで見れた。

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ミラーズ

2.0タイトルは知られている

2020年1月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

しかし、当時の特撮技術の限界は間違いなくあって、今観るとやはり確認作業になってしまうのだろう…。

今も電撃がビリビリ来てる映像だけが妙に頭にこびりついてる。

本作では恐さを感じるのは難しいと思うので、懐古趣味的な視聴をする人は観てください。
遊星~のタイトルを続けて見れば変化を楽しめると思います。

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うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)