モガンボ

劇場公開日:

解説

ウィルスン・コリスンの戯曲の映画化で、アフリカ大陸の原始林を舞台にしたテクニカラーの冒険メロドラマ。「クオ・ヴァディス」のサム・ジンバリストが製作し、「静かなる男」のジョン・フォードが監督した1953年作品。脚色は「クオ・ヴァディス」のジョン・リー・メイン、撮影はロバート・サーティース(「クオ・ヴァディス」)とフレディ・ヤング(「黒騎士」)の担当。なお音楽監督はなく原住民音楽、自然音をバックに使っている。主演は「栄光の星の下に」のクラーク・ゲーブル、「荒原の疾走」のエヴァ・ガードナー、「真昼の決闘」のグレイス・ケリーで、ドナルド・シンデン(「怒りの海」)、フィリップ・ステイントン、エリック・ポールマン、デニス・オディアらが助演する。

1953年製作/アメリカ
原題または英題:Mogambo
配給:MGM映画会社
劇場公開日:1954年4月1日

ストーリー

ヴィクター・マースウェル(クラーク・ゲーブル)は、アフリカ奥地で野獣を捕え動物園やサーカスに売り捌くことを業として暮らしていた。そこは週1回通ってくる河蒸気が唯一の文明社会へのつながりであった。ある日この土地に美しい女性エロイズ・ケリイ(エヴァ・ガードナー)が訪れた。彼女は紐育のショウ・ガールで、知り合いの印度の王様の探検隊に加わるためにやって来たのだが、王様は国の騒動で1週間前に帰ってしまった後だった。彼女は翌週の便船で帰国を待つ間に、マースウェルに強く心を惹かれた。彼も同じ想いだったが、所詮は世界の違う女だと諦めた。翌週の便船でエロイズと入れ違いに、英国の生物学者ドナルド・ノードリイが若く美しい妻リンダ(グレイス・ケリー)を伴って到着した。ノードリイはゴリラの生活を撮影に来たのだが、マースウェルはゴリラに接触するむつかしさを知っているので協力を断わった。ノードリイはその夜熱病で倒れ、リンダは狼狽したが、マースウェルの手当で一夜で快方に向った。そこへエロイズが河蒸気の故障でひきかえして来た。リンダはエロイズと逢って何か反撥する気持を覚え、ひとりで密林に散歩に出かけた。それを知ったマースウェルは急いでジープで彼女の後を追った。リンダは猛獣の前にさらされた身の危険を知って生きた心地なく、マースウェルに救われて彼に強く魅せられた。その帰途、激しい嵐に逢い、2人の心は深く結ばれた。マースウェルは、子供のゴリラの一対を求めるサーカスからの手紙を見て、ノードリイ夫妻の道案内に立つと言い出した。一行にはエロイズも加わったが、彼女はキナの駐在所で別れて帰国する予定だった。旅の夜を重ねるにつれ、マースウェルとリンダの仲は深いものになって行った。キナの集落についてみると原住民が不穏の形勢にあり、エロイズは一行から離れられなくなった。やがて目指すゴリラ地帯に至り、ノードリイは所期の成果をあげることができた。マースウェルはもはやリンダへの恋を隠していることができず、ノードリイに打明けようとしたが、彼の妻への愛情の深さを知ってその機会を失った。エロイズは苦しむマースウェルを慰めようと、彼のテントで酒に酔った。たまたまその場に現われたリンダは、嫉妬に燃え思わず拳銃を発射した。エロイズは駈けつけて来たノードリイにその場の機転で、マースウェルを悪ものにし、リンダをかばった。この事件でマースウェルはエロイズを見なおした。翌日、ノードリイ夫妻とエロイズはカヌーで帰国の途についた。ひとり後にのこったマースウェルは、去り行くカヌーを見送って淋しさに耐えかね、エロイズを呼び戻した。

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映画レビュー

3.5グレースケリーの高速ビンタ炸裂!

2024年7月25日
PCから投稿

非常に少人数の人間ドラマで とてもよく描けていると思った。 こういう感じの映画はいっぱいありそうであまりない 。しかも これはそのテーマだけを思いっきり全面的に描いちゃっていて何か他のストーリーに挟まっているというものではない。よく これで110分もったと思うくらいだ。監督はそこのところ、ジャングル という特殊な舞台をうまく利用して尺を稼ぎ 客の興味を引き付けた。また グレースケリーという素晴らしい女優が登場したことも成功のおおきな鍵であっただろう。 中盤以降、人兼関係がどうなっちゃうか というスリルがものすごく私を引き付けた。これはグレースケリー の女優としての素晴らしい力のおかげだろう。そして このように くしゃくしゃになっちゃった 人間関係を最後にどのように片付けるかというのが非常にサスペンスだった。それだけで引っ張った。 クライマックスで大げさな設定をしてしまうと バカバカしいものになってしまうような気がして。結局、どのようにまとめるんだろうと興味深かった。そして懸念された残念な結果ではなく最高に上手にまとめられており、ジョンフォードらしい味もでていて いい映画だったなぁという感慨が残った。描いてきた 登場人物の誰かが置いてきぼりになるのではなく、全員が上手に絡んでドラマが完成したところが見事だった。
面白いのはこの作品の次の年にヒッチコックの「裏窓」が制作されたという点だな 。ジェームズ スチュワート演じる 主人公は冒険写真家。彼女(グレースケリー)がジャングルについて行くと言い張って困っている・・というネタはここから頂いたんではないだろうか?ヒッチコック はこのような高貴な雰囲気の情熱女が好きだったみたいで グレースケリー をその後 何度も使っている。 モナコに言っちゃってからもオファーしていたという。一方 ジョンフォードではそういう女が嫌いなようだ。2度と使っていない。彼は庶民的な女が好きなのだな。
また、ついでに書いておくと グレースケリーのビンタがものすごい高速なのには納得のいく裏事実がある。彼女のパパはオリンピックの金メダリスト なのだ。彼女も運動神経が抜群だったに違いない

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タンバラライ

3.5アフリカの大自然ではなく、クラーク・ゲーブルの男っ振りではなく、グレース・ケリーの固い蕾の様な美しさではなく、エヴァ・ガードナーのearthyな魅力をこそ楽しむべき映画!

2023年5月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

①エヴァ・ガードナーがハンティンググループが集まった居間で、ピアノの前で軽く持たれて美しい肢体の線を見せながら「誰かさんと誰かさんが麦の中…」で有名な歌(勿論オリジナル)を歌うシーンに先ず魅せられる。

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もーさん

4.0アフリカを舞台に野生的なクラーク・ゲーブルをめぐるエバ・ガードナーとグレイス・ケリーの争いの勝者は意外にも

2023年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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Kazu Ann

4.0浮気の恋には雷が。

2022年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1953年。ジョン・フォード監督。アフリカで動物捕獲やサファリツアー会社を経営しているハンターの男。アメリカからやってくる気の強い女といい関係になるが、それはいつもの遊びの延長だった。ところが、次にやってきた研究者の若い妻とは浮気になってしまうにもかかわらず本気の恋になりつつあって、、、という話。同時代のアフリカ映画と比較してよくできているとは言い切れない作品。
野性味あふれるハンターに心を奪われる二人の女の違いをいかに描くかということだけでなく、大勢のアフリカ現地住民の姿、ゴリラをはじめとする野生動物たち、浮気現場の宵闇、川、雷などが少々まとまりなく表現されている。
酒を飲むときに物語が動き出す。誰と飲むか、どう飲むか、飲まないか。
アメリカの女は、画面の内外を自由に歩き回る。ハンターが一人でいるとその画面のなかにやってきて、そして画面の外に立ち去っていく。かたや、学者の妻は一人では画面の内外を行き来しない。1人でいると危険な目にあってしまう。だからエヴァ・ガードナーは怒ったら画面外に消えてしまうし、苦しむのは一人だが、グレース・ケリーは画面内で身もだえしながら苦しむ。そして大抵誰かがその場にいる。

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