蜜の味

劇場公開日:

解説

人生のなにげない流れの断片を描いたイギリスの少女作家シェラ・デラニーの戯曲「蜜の味」の映画化。脚色はデラニーと「土曜の夜と日曜の朝」のトニー・リチャードソンが担当し、リチャードソンが監督した。撮影は「狂っちゃいねえぜ」のウォルター・ラサリー、音楽はジョン・アディソン。出演者は無名の少女リタ・トゥシンハム、ドラ・ブライアン、舞台のマレー・メルヴィン、ロバート・スティーブンスなど。この映画は六一年度英国アカデミー最優秀映画賞、脚色者のシェラ・デラニーとトニー・リチャードソンは脚本賞、ドラ・ブライアンは主演女優賞、リタ・トゥシンハムは新人賞を、またカンヌ映画祭でリタ・トゥシンハムとマレー・メルヴィンは俳優賞を獲得した。その他、六二年度アメリカ映画監督組合賞、ニューヨーク・タイムス・ベストテン入選、米ゴールデン・グローブ賞などを受賞した。製作は前記リチャードソン。

1961年製作/イギリス
原題または英題:A Taste of Honey
配給:昭映フィルム
劇場公開日:1963年7月13日

ストーリー

幾月も部屋代をためたヘレン(ドラ・ブライアン)と娘ジョー(リタ・トゥシンハム)は、逃げるように部屋を引越した。引越した先は裏通りにある古びた家だった。その夜、ヘレンは化粧して街へ行った。男友達ピーター(ロバート・スティーブンス)に会うためだ。ろくな調度品もない小さな部屋にジョーは一人とり残された。彼女はいつも一人ぼっち。そんなジョーの心を慰めてくれたのは黒人水夫ジミーだ。彼は友達になった記念に指輪を買ってくれた。無味乾燥な生活と利己的で浮気な母への反抗から、ジョーはジミーの胸に体を投げだしていた。全身が火のように燃え上った。ヘレンはピーターと結婚することになり、部屋を出ていった。ジミーも長い航海に出発した。もう二度と会うことのない別れだ。また一人ぼっちになったジョーは靴屋で働くことになった。そうしたある日、彼女は靴を買いに来たジョフリーと知り合い、部屋へ泊めてやった。そして二人の間には、いつしか奇妙な愛情が育っていった。ジョーがジミーの子を宿しているとわかったとき、ジョフリーは心から彼女をいたわってくれた。その頃、ヘレンとピーターの間には、もう冷たいみぞが出来ていた。そして間もなく、愛情に敗れたヘレンはジョーの部屋へ帰って来た。ヘレンはジョフリーをジョーの傍から引き離すと、不潔なもののように部屋から追い出してしまった。またジョーとヘレンだけの砂のようにざらざらした生活が始まった。ジョーにとって母のいなかった短い間の夢のような幸福は、蜜のようにはかない甘さでしかなかった。もうすべてが遠い遠い想い出になってしまったのだ。

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